小さな手に家族の責任
2014年12月07日付 Prothom Alo紙

歳は8歳から12歳ぐらいだ。コックスバザールの海岸に隣接するジャウ(日本名ギョリュウ)の大きな森の中を、子どもたちが朝から夕方まで歩き回っている。ジャウの落ち葉や枯れ枝を集めて回っているのだ。小エビを取っている者もいる。1日働いて得られる収入が家計を支えている。子どもたちの小さな手には、家庭という舟の舵が握られているのだ。
11月25日午前11時、海岸の糖尿病専門病院ポイントに近いジャウの森に、8歳のリドゥアンの姿があった。4歳の弟、ロムジャンも一緒だ。朝の7時から昼の11時までに二人はふたつの袋いっぱいの落ち葉を集めた。袋ひとつが60タカ(約84円)で売れる。この稼ぎが一家の1日の生活費となる。
リドゥアンは、自分の生まれは海岸近くのナジラルテクだが、父方の祖父の家はクトゥボディア島にあると言う。父親のアブドゥル・マレクは妻を捨てて出奔した。母親のムンニ・アクタルは再婚してチョットグラム(チッタゴン)で暮らしている。今はそこで縫製工場に勤めている。ふたりの兄弟はナジラルテクにある母方の祖母の家に住んでいる。そこから葉を集めに毎日やってくる。リドゥアンは小学校の3年生だが、学校にはもう5か月間行っていない。
その理由をたずねるとリドゥアンは「勉強なんていいよ。それより仕事をしなきゃ。でないと食べていけないもんね。本当は勉強したかったけど、父さんのせいでその夢もあきらめた」と答えた。こうした子どもはリドゥアンやロムジャンだけではない、貧困のなかで惨めな生活を強いられている家庭の何百人もの子どもの人生が、ジャウの森につなぎとめられてしまっているのだ。森の監視員に見つかって追い出されたら、子どもたちはその日何も食べずに過ごさなければならない。
もうひとり、モバレカという6歳の女の子とも話をした。父はセリム・ウッディンといい、干し魚の行商をしている。しかしその収入だけでは5人の家族の生活は立ち行かない。だからモバレカも落ち葉を集めて稼がなければならない。「前は学校に行っていたけど、今は無理。ジャウの森の中に学校があれば、ちゃんとした人になれるのにな」とモバレカは言う。サルマン(8)とメヘディ・ハサン(6)も同じ理由で勉強をあきらめ、落ち葉を拾っていると言った。ジャウの森のとなりにあるバハルチョラ中高学校のヌル・モハンモド校長は「学校からドロップアウトしてしまった子どもたちに教育の光を当てる必要がある。モラル教育を受けなければ、子どもたちの性格に問題が生じる可能性がある」と語った。
コックスバザール地方行政機関の地区評議員、アクタル・カマルは「地区の住民7万人のうちほとんどが極度の貧困状態にある。自然災害で家屋や財産を失った人たちが、県のさまざまな沿岸地域から海岸近くのナジラルテクやフォドナルデイル村に避難の場所を求めて移ってきている。そうした人たちの大半は男女を問わず干魚製造所で働くのだが、何千人という子どもたちが十分な庇護を与えられず、放りっぱなしにされている。多くの子どもたちが学業を捨て、金が稼げる仕事についている」と語った。

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(翻訳者:伊藤巧作)
(記事ID:364)