22の県に広がるマンゴーの王国
2016年05月13日付 Prothom Alo紙


市場や広場、道端―マンゴーの木はどこにだってある。ラジシャヒからチャパイノバブゴンジョを経由し、ノオガオンに至る道の両側は、ただひたすらマンゴーの王国だ。この北ベンガルの土地に限ったことではない。チャパイノバブゴンジョにある地域園芸研究センターの統計によると、バングラデシュの22の県で現在、商業ベースでマンゴーの生産が行われている。国の樹木であるマンゴーの木は北ベンガル地域を超えて、南西部の塩分の多い土地やチョットグラム(チッタゴン)丘陵地帯の山地でも、どこにもマンゴー王国が広がっている。チャパイノバブゴンジョとラジシャヒを訪ねたところ、マンゴー園には鉄条網が張り巡らされ、警備員が配備されるなど、思っていた以上に厳重な警備体制が敷かれるのを知った。農業省の統計によると、バングラデシュのマンゴー栽培面積は毎年8000ヘクタールずつ増えている。生産量も5万トンのペースで増加している。さらに、国連の食糧農業機関(FAO)は、マンゴーの生産量でバングラデシュは3年連続で世界8位の好成績を残しているとしている。過去10年で国内のマンゴー生産は4倍の100万トンに増加した。2005年にはバングラデシュの生産量はわずか25万トンで、世界の14位にとどまっていた。それが今や、年間115万トンを生産して世界の7位にあるブラジルに間もなく追いつく勢いである。
マンゴー生産や商取引関係者たちは、国内の栄養面での需要を満たすだけでなく、マンゴーは主要な輸出産品になりうると話している。昨年、バングラデシュは世界的に有名な小売業者であるウォルマートにマンゴーを販売することで、世界のマンゴー輸出国のリストに名をつらねた。中東、ヨーロッパ、アメリカの市場を合わせると、昨年にはバングラデシュから821トンのマンゴーが輸出されている。
バングラデシュのマンゴー生産者・取引業者組合のアブドゥル・ワへド事務局長は、今年は3000トンのマンゴーを輸出したいと語っている。輸出のこの新たな可能性は、バングラデシュのマンゴー栽培の分野に新たな指標を付け加えることになるとマンゴー関連業者たちは考えている。
(この記事がかかれた時点では)チャパイノバブゴンジョの大部分の農園では、まだマンゴーは完熟していない。しかし同県のカンシャト、シブゴンジョ、ボラハトなどを回ってみると、こうした場所では未熟のマンゴーの取引がすでに始まっていた。
国内でマンゴー生産地となっている各県の中では、今もチャパイノバブゴンジョがトップの地位にある。この県ではおよそ2万5000ヘクタールの土地でマンゴーが栽培されている。次に続くのがラジシャヒ県である。ラジシャヒでは今年、1万6519ヘクタールの土地でマンゴーが育てられている。この2つの県が、バングラデシュにおけるマンゴーの商業的生産発祥の地であると言われている。
バングラデシュマンゴー生産者・取引業者組合の統計によると、現在マンゴーの国内市場は、およそ500億タカ(700億円)に達している。チャパイノバブゴンジョだけでも、マンゴー関連の取引額は毎年150億から200億タカ(205億~275億円)に及んでいる。しかしながら、80年代からはチュアダンガ、シャトキラ、ジナイドホ、クシュティヤ、メヘルプル、ノライルにもマンゴーの商業生産が広がった。販売向けのマンゴーの栽培が広がっている。ここ5~6年、チョットグラム丘陵地帯でもマンゴー栽培が急速に増加している。バンドルバン、カグラチョリ、ランガマティでは今年はマンゴーの栽培面積は約1万ヘクタールとなっている。これ以外にも、ポンチョゴル、ナトル、ノオガオン、タクルガオン、パブナ、ディナジプル、ロングプル、ジョショル、ゴパルゴンジョ、タンガイル、ジャマルプルでも商業生産が行なわれている。
政府の統計では、5月から8月までのマンゴーの時期には、国民たちはひとり平均3キロのマンゴーを食べている。しかし5年前にはその量は2キロに及ばなかった。これに関し、農業振興庁のㇵミドゥル・ロホマン長官はプロトム・アロ紙に「バングラデシュは世界の中でもマンゴー発祥の地のひとつだ。我が国にもともとあった品種のほか、バングラデシュの科学者たちが開発したかなりの数の品種が現在では広い人気を集めている。科学的な方法でどのようにマンゴーの栽培ができるのか、そのために私たちは農業従事者たちにその方法を指導している。その結果として、急速にマンゴーの生産が増えている」と語った。
チャパイノバブゴンジョ地域園芸研究センターの統計によれば、バングラデシュではこれまでに800種に及ぶマンゴーが栽培されたことが分かっている。これ以外にもバングラデシュ農業調査研究所の科学者たちが11種の、バングラデシュ農業大学の研究者たちが21種の新種のマンゴーを開発している。こうした品種のなかでアムロパリという種類が、いま一番の人気になっている。

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(翻訳者:小俣 美香子)
(記事ID:551)