たくさんの店にある名前とは?
2017年05月18日付 Prothom Alo紙


(5月14日付)家から外へ出てみると、路地の入口すぐのところの商店の名が「ママの雑貨店」だった。そう、このような、「ママ」とか「お母さん」とかいう名前がついた店がない通りなど、一体あるのだろうか。通りに出てちょっと注意してみれば、一つ二つどころなく、多くの店の看板に「ママ」という言葉が使われていることに気づくだろう。
首都ダカのモハンモドプルのノボドエ住宅地区に、携帯電話の修理、販売を行う店がある。看板には「ママ・テレコム」と書かれている。店を経営しているのは二人の兄弟だ。弟のカマル・ホセンさんと話をしてみた。どうしてママ・テレコムという名前を付けたのかという問いに、少し恥ずかしそうな様子で、「皆がそうつけているから」と答えた。お母さんはこのことを知っているのかと聞くと、知らせていないとの答えだった。
どうして「ママ」だの「お母さん」だのいう名前を店につけたのかと問われると、皆の顔に感謝の気持ちがこもった笑顔が浮かぶ。モハンモディア住宅地区のある店の前にはプラスチック製の花で作った花輪がかけてあった。店は明るく輝いている。赤い看板には白い文字で「お母さんの祝福ホテル」とある。中にはアブドゥル・ロブという男性が座っていた。二人の経営者のうちの一人である。ホテルは開業からまだ18日しか立っていないという。名前の由来については、「経営者の我々二人で決めたんだ。あいつもいいねと言ったし、僕もこれで行こうと思った。母親っていうのはいつも子どもの幸せのために祈っていてくれる存在だからね」と語った。ロブさんの母親は既に他界しているそうだが、母親からの祝福を受けてこのホテルを経営していきたいという。
「いつも子どものことを思っている、そんなのは母親だけさ。この店はおふくろへの贈り物だと思っているよ」こう語るのはカラバガンのレイクサーカス通りに面した「おかあさん商店」を経営するアブ・コラムさんだ。同居する母親は歩くことができない。「おふくろのためならなら何も苦にならないよ。この店だってそうさ」とコラムさんは言った。
西ダンモンディにある「お母さん薬局」にいって由来を聞くと、店主のモハンモド・サレヒンさんの顔に微笑みが浮かんだ。「この名前が一番だね。店の名前を決めようとしたとき“お母さん”ていう言葉が浮かんだんだ。誰だってこの言葉には弱いからね。これを見れば皆がいいなと思うのさ」
多くの人が母親のことを考えて店の名前を決めているが、なかには特に考えもなしに「ママ」としたケースもある。しかしそうした人に由来を聞くと考え込んでしまう。そうした人のひとりがモハンモド・ソヘルさんだ。ダンモンディのモドゥバジャルにあるソヘルさんの店の名は「ママ・仕立て店」だ。「店の名前を決めるときには特に考えもしなかったよ。あんたに聞かれて考えて見ると、〝ママ“ってつく店はずいぶんあるね。まあ誰だって母親のことが一番好きだからじゃないのかな」と記者に語った。
この地区には、ほかにも、「お母さんの祝福のビリヤニ」というビリヤニ(肉や香辛料を炊きこんだごはん)の店がある。オーナーのカムラン・ホセンさんは、他の人からこの店を買い取ったという。店名を変更しないのかと聞くと、「どうして変えるんだい?母親からの祝福を受けずにやっていけるわけなんてないだろう?」と答えた。
「母」を名乗る店は枚挙にいとまがない。生活必需品に属する商品を扱う店舗なら必ず「母」を名前に使っている商店がある。リキシャの後部にも2か所に「お母さん」と小さく書いてあるし、CNG(圧縮天然ガス)で走るオートリキシャのボディにも「母の祝福」とかいてある。つまり、お母さんはどこにだっているのである。

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(翻訳者:高瀬麟太郎)
(記事ID:633)