深夜に最高裁判所の彫刻を撤去
2017年07月12日付 Prothom Alo紙


(5月26日付)イスラム原理主義団体ヘファジョテ・イスラム(イスラム保護協会)他各宗教団体による継続的な要求により、最高裁の構内から彫像の撤去が始まった。昨日木曜日、深夜に始まったこの作業は午前2時半にこの記事を書いている間も行われていた。複数の関係筋は、今夜の間に像が撤去されることを確認した。
各宗教団体は、断食月が始まる前に問題の彫刻を撤去しなければ抗議行動に訴えるとの威嚇を行なってきた。各団体はこれまでにもデモなどを実施してきている。一方で「71年の独立時の裏切り者やパキスタン側の代理人を根絶やしにする委員会」などの進歩的団体や反イスラム原理主義を目指す人たちは、像の撤去に反対の声を挙げていた。
昨日深夜に現場では、彫刻の作者であるムリナル・ホク氏が像の撤去作業を見守っていた。最高裁とその付近には治安部隊の隊員が配備されていた。(中略)
夜12時半過ぎに記者が行ってみたところ、最高裁構内の門はすべて閉じられていた。ジャーナリストたちが最高裁の東門の外に集まっていた。
中では3、4人の作業員が彫刻の台座あたりでハンマーやバールで作業しており、10人ほどがその様子を見守っていた。そこで携帯電話で話をしている人がいた。この彫刻の作家、ムリナル・ホク氏である。プロトム・アロ紙が連絡を取ってみたところ、ムリナル・ホクの話を聞くことができた。その日午後、彫像を撤去するようにと言われたとのことだった。作業が始まったのは夜11時半だった。撤去の際に像が傷つかないよう見ているという。撤去した後像はどこに置かれるのか。この質問にホク氏は「最高裁の別館の近くに設置されることになるだろうと聞いています」と答えた。当面は最高裁判所の裏側に置かれている。
夜1時15分、最高裁判所敷地内でムリナル・ホク氏は記者たちに涙声で次のように語った。「コメントすることは何もありません。私に圧力をかけて彫刻が撤去されようとしているのです」。ある記者の質問にホク氏は「サリーを着ているこの像がどうしてギリシャ彫刻ということにされるのか、訳が分からない。これはベンガルの女性だ。この調子だと、次はオポラジェオ・バングラ(敗れざるベンガル:1971年の独立戦争の戦士たちの姿をモチーフにした彫刻。ダカ大学のキャンパス内に設置されている)を撤去せよとの命令が出るでしょう」。国の平和を守るために心をこめて彫像を撤去しているとホク氏は語った。(中略)
今年の2月に、ヘファジョテ・イスラムの指導者、アッラマ・シャー・アハモド・ショフィ氏は、最高裁判所の中庭から彫刻の撤去を求めてメディアに声明を出した。声明では彫刻は偶像であると述べられている。この後ヘファジョテ・イスラムは彫刻撤去を要求する運動を進めてきた。「偶像」を撤去しなければ、シャプラ・チョットル(スイレン広場。ダカの金融の中心地、モティジルの交差点内にある。スイレンをかたどった大きな彫刻がある)を包囲する抗議計画を再び実行するとした。2013年の5月5日、このシャプラ・チョットルでは13項目の要求を掲げたヘファジョテ・イスラムの抗議行動をきっかけに大規模な破壊行為と暴動が起こっている。直近では、5月18日にヘファジョテ・イスラムのジュナエド・バブノゴリ事務局長と、アジジュル・ホク・イスラマバディ組織局長が共同名義で出した声明で聖なるラマダン月が始まる前に彫刻を撤去するように要求した。これを撤去しなければ、抗議計画を実行に移すと述べた。声明は最高裁長官に対しても同じ要求を行なっている。
去る4月11日、首相官邸で行われた公認マドラサ(イスラム教を旨とする教育機関)の各レベルの代表との会談で、シェーク・ハシナ首相は、最高裁判所の敷地の前に建設されたギリシャ彫刻を撤去することに賛成であると語った。首相は「私は個人的にはこれはここにあるべきではないと考える」と述べ、さらに「私たちの最高裁判所の前にギリシャ神話のテミス像が設置された。正直なところ、私自信これを好きになれなかった。ギリシャ神話のテミス像がなぜ私たちのこの場所になければならないのか」と語った。

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(翻訳者:大角麻亜紗、八木みずき、井倉愛穂)
(記事ID:669)