ヤギは木から降り、オルナの代わりに体重
2017年07月16日付 Prothom Alo紙


(7月6日付)大きな批判を浴びて、木に登ったヤギがおろされることになった。小学校の教科書に載っているヤギのイラストの話である。また「『オ』はオルナの『オ』」に代わって「『オ』はオジョン(体重)の『オ』」という言葉と挿絵に変わる。国家カリキュラム教科書委員会(NCTB)はこうした改訂をさらにいくつか行ったうえで、来年版の教科書を出版することを決定した。
一方、中学校用の12種類の教科書では不正確な記述が訂正され、内容も平易になる。これに関し政府が立ち上げた専門家委員会は、イスラム原理主義を標榜する宗教団体・ヘファジョテ・イスラム(イスラム保護協会)の要求によって削除された内容を再び教材に登場させることを提案する予定だ。委員会はすでにその提言内容とりまとめの作業を終えている。

 今年度版の小学校と中学校の教科書では、特にベンガル語(国語)の教科書と副読本であるアノンドパートで、ヘファジョテ・イスラムの要求を容れて大きな変更が行われた。小学校の教科書では間違いや妥当でない記述は多くはなかったが、いくつかの内容は微妙な問題を含んでいたため問題とされた。そのひとつとして、1年生の教科書の文字の練習で、「オ」にあたる文字を使う例として「オルナ」(女性が用いるスカーフ)をあげたことが批判の対象となった。このような問題に教育省、初等大衆教育省そしてNCTBは困惑することになった。ヘファジョテ・イスラムが削除を要求した事項のほぼすべては、今年度版の教科書の内容変更にあたって姿を消している。ヘファジョテ・イスラムは19項目にわたって付け加えや削除を求めたが、それらのうち大半が受け入れられた形となった。
教育省は今年4月、9、10年生用(6~10年生が日本の中学生に相当)の12種類の教科書を読みやすいものにする目的で12の専門家委員会を発足させた。このうち国語部会は去年までの教科書に掲載されていたものの、ヘファジョテ・イスラムの要求に沿った形で今年の教科書では削除された5編の詩と短編小説ひとつを再び掲載する提言をまとめた。
プロトム・アロ紙とのインタビューでヌルル・イスラム・ナヒド教育大臣は「教育の専門家たちには教科書を学びやすいものにするようにとお願いしてある。専門委員たちの提言を受けて次の決定を行うことになる」と語った。
NCTBの筋によると、NCTBは来年度用の教科書出版のため今年3月ワークショップを開催した。そこでは問題とされた項目を教科書から削除することが決められた。今年度の小学1年生用の国語の教科書「わたしのベンガル語」の文字の学習(第7課)でベンガル語アルファベットの最初の文字「広いオ」学習のためとして雄ヤギを意味する「オジュ」があげられ、ヤギのイラストが添えられた。しかしこの教科書の別ページのイラストではヤギが木に登っている姿が描かれていることが激しい批判の的になった。なぜなら、当然のことながらヤギは木に登ることができないからである。今回そのイラストを修正し、ヤギが木の下を歩いている絵が掲載されることになった。
 同じ教科書の第12課には「(狭い)オは『オルナが欲しい』のオ」と書かれており、オルナをまとった女の子の絵が添えられている。これに対して、1年生の児童の身体的および精神的な状況に「オルナがほしい」という文言はそぐわないとの批判が寄せられた。さらに男児もこの教科書を使って勉強することから、今回は「オはオジョン(体重)の『オ』」に差し替えられ、体重計の絵が描かれることになった。訂正されたイラストでは女の子が体重計に乗っている様子が描かれていて、「体重をはかってごらん」とのキャプションがある。
 また3年生用の「わたしのベンガル語」では、バングラデシュの国民詩人と言われるカジ・ノズルル・イスラムの「進め、進め、進め」という詩をもとに、結合文字を使って新しい単語を作り読む課題が与えられているが、今回それが削除されることになった。これについてNCTBのある幹部はプロトム・アロ紙に「この部分は複雑で難解だったために除外されることになった。しかし他の部分に変更はない。現行の教科書ではいくつかの詩で数行削除されているが、来年の教科書では復活させることが決まっている」と語った。これ以外では、訂正一覧によれば3年生用国語教科書で、クシュムクマリ・ダシュの詩「理想の男の子」が来年からは正しい形で掲載される。間違いが見つかったためしばらく前からは正誤表による訂正が行われていた。これらの修正を施した教科書の原稿はすでに出来上がっている。
 これに関してNCTBの委員(カリキュラムと小学校の付加的責任)を務めるモハンモド・モシウッジャマン教授は、来年度用の小学校教科書で内容が一部訂正になることを認めた。しかし9年生、10年生の教科書に関する専門家委員会の提言については明言を避けた。

削除された内容復活の案

 教育省の決定に従い、9、10年生の12種類の教科書は改訂されより平易なものになる。それぞれの教科書の改訂作業の指揮をとっているのは、「ベンガル文学」ではショヒドジャヤ・シャモリ・ナシュリン・チョウドゥリ、「現代英語」でソイヨド・モンズルル・イスラム教授、「バングラデシュと世界の国々」はアクタルッジャマン教授、「バングラデシュと世界文明」はタシュリマ・ベゴム前ダカ教育委員会議長、算数・高等数学・一般科学・物理・化学・生物の6教科ではムハンモド・ジャフォル・イクバル教授とモハンモド・カエコバド、会計学はミジャヌル・ロホマン教授、経済ではM・M・アカシュ教授の各氏である。委員会関係者によれば、専門委員たちの作業はほぼ終わっているという。教育者たちはその間に自分たちの仕事をだいたい終わらせた。ソイヨド・モンズルル・イスラム教授はプロトム・アロ紙に以下のように語った。「前回の教科書作成の際に行なわれた改訂は不要のものだったと考えています。教科書に宗教や民族などの共同体的な観点を持ち込むのは不適当です」。教授はさらに、英語の教科書の間違いを訂正したうえですでに提出したことを明らかにした。
 専門家委員会の責任ある地位にある関係者によれば、委員会は9、10年生の国語の教科書からヘファジョテ・イスラムの要求に従って削除された短編小説や詩をすべて、来年の教科書に掲載するよう提案する考えだ。この2学年でヘファジョテ・イスラムの要求で現行の教科書に載らなかった5編の詩はギャンダシュの「幸福のために」、バロトチョンドロ・ラエグナコルの「我が子」、ラロン・シャーの「時を逃せば高みには達しえない」、ロンゴラル・ボンドパッダエの「独立」とシュニル・ゴンゴパダエの「橋が揺れている」である。また(ションジブチョンドロ・チョットパッダエの)旅行文学「パラモウ」も削除された。これらに代わりシャー・ムハンマド・ショギルの「賛歌」、アラオルの「礼賛」、アブドゥル・ハキムの「ベンガルのメッセージ」、ゴラム・モストファの「生の代わりに」そしてカジ・ノズルル・イスラムの「ウマル・ファルク」の詩が現在は掲載されている。
 その他の教科書を改訂する責任にある教育者たちのほぼ全員が、ベンガル語の教科書の内容を以前のものに戻す案を支持している。経済の教科書担当のM・M・アカシュ教授は「専門家委員会は、ヘファジョテ・イスラムの要求により落とされた内容を再び掲載することを提案する考えだ」とプロトム・アロに語った。これより前、教育省で開かれた会合で彼らも専門委員会がヘファジッテ・イスラムの要求に従って除外された内容を復活させる提案をすることを願っている。これ以前に教育省で開かれたある委員会でムハンモド・ジャフォル・イクバル教授が同じ趣旨の発言をしている。
 詩人、エッセイスト、ジャーナリストとして知られるアブドゥル・モメン氏はプロトム・アロ紙の取材に次のように答えた。「ヘファジョテ・イスラムの考えは宗教に限定された狭い視点から来ている。だが教科書は私たちの文化、言語、文学的な価値観をもとに作成されるべきだ。のプラボンディクとショングバディック・アブル・モメンはプロトム・アロに対してこのように語った。「ヘファジット・イスラムの意見は単なる宗教的観点からのものにすぎない。しかし教科書は私たちの文化、言語的価値そして文学的価値があるかどうかをもとに作成されなければならない。しかもそれは1種類か2種類かの教科書に限定されず、すべての教科書にこうした考え方が生かされるべきだ」

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(翻訳者:大塚圭華)
(記事ID:671)