ミャンマーで「ロヒンギャ」と法王が言わなかった理由
2017年12月03日付 Prothom Alo紙


ミャンマーで行った演説で、ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王は一度として「ロヒンギャ」という単語を発しなかった。一方で法王は「それぞれの民族に対して尊崇」を示すよう促した。このため法王はかなりの批判を受けることとなった。しかしどうしてこの物議をかもすような決断をしたのか、この出来事が起きた1週間後になって法王はその説明を行った。
「『ロヒンギャ』という言葉を前もって発すれば、ミャンマーの指導者たちとの対話の道が閉ざされてしまう恐れがあった」と法王は語った。その危険を冒したくなかったためにその言葉を発しなかった、というのだ。
CNNの報道によれば、昨日土曜日(12月2日)、バングラデシュの訪問を終えて帰途についた法王は、ジャーナリストたちからの質問に対する答えとして、このように決断の理由を説明した。
「私がもしこの単語を発したら、ミャンマーの指導者は真っ向から対話を行う道を閉ざしてしまっただろう。この問題についての私の考え方は誰もが知っているとおりだ。私的な複数の会談を私は台無しにしたくなかった。会談が行われたことで満足している。さらに会談では『ロヒンギャ』という単語を発しなくても、主要なメッセージは伝えることができたと思っている」と法王は述べた。
フランシスコ法王はさらに「ミャンマーを訪れたのはロヒンギャ危機について話し合うためだ。難民キャンプは行きたかったが、考えられるであろう理由で訪れることはできなかった」と語った。
CNNの報道ではさらに、(ダカで行われたロヒンギャ難民たちとの対話の際)主催者たちは然るべき敬意を払ってロヒンギャの人々を連れてこなかったことで法王は心を痛めたと伝えられた。法王はロヒンギャたちの話を注意深く聞き、また自ら進んで発言したとされる。「ロヒンギャの人たちの話を聞いて私は泣いた。しかし、涙は見せないようにした。ロヒンギャの人たちが自分の苦しい状況を語ろうとして泣いてしまったからだ」と法王は記者たちに述べた。
また法王は、ミャンマーのシン・アウン・フライン国軍司令官との話し合いは実りあるものだったと述べた。「会談では私は全く妥協することなく、真実のみを語った。そしてミン・アウン司令官はそのメッセージを大事に受け取ってくれた」
フランシスコ法王は11月28日にミャンマーを訪問した。ミャンマーで行ったスピーチでは法王は直接ロヒンギャに言及はしなかったが、少数民族の権利を守ることの必要性について断固とした立場を表明した。「ミャンマーはもちろん平和にならなければならない。社会のすべての構成員の地位と権利を基礎として民族の平和がもたらされる」と述べた。
スピーチを行う前にフランシスコ法王はミャンマーアウンサンスーチー国家顧問と会談した。アウンサンスーチー氏もスピーチで直接ロヒンギャ・ムスリムに触れることはなかった。しかし国家顧問は、ラカインの状況が「広く世界の注意を引きつけると認めた。

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(翻訳者:田中南歩、鈴木麻友)
(記事ID:710)