送迎サービスアプリの女性ドライバー
2017年11月29日付 Prothom Alo紙


 携帯電話で申し込むと、バイクで一人の女性が現れた。目的地を聞くと混雑した大通りを走り抜けていった。彼女はオンラインのバイクシェアリングアプリ「パタオ(送ってね)」の女性バイカーなのである。彼女の名はラベア・ボショリ。(ダカにある)スタムフォード大学経営学部で学んでいる。ドライバーとしてパタオで働き始めたばかりだ。以前はこのアプリを利用する側だった。毎日自宅のあるジャットラバリからダンモンディの大学まで往復するのに、ダカの渋滞にはまって、多くの時間が無駄になっていた。それに公共交通機関を利用するのも大変だった。それから解放されるために最初はパタオを利用していた。しばらくして自分でスクーターを購入し、それに乗って毎日通学するようになった。また、親戚や友達をあちこちに送り届けたりもした。そうするうち、これで自分の小遣いや学費をまかなうための収入を得ることができるのでは、というアイディアが頭に浮かんだ。
この仕事をするうえでの問題についてたずねてみると、「一番大事なのは自分自身の勇気で、それこそが第一の安全対策なんです」との答えが返ってきた。「たくさんの人にからかわれたりするかもしれないけれど、そんなのは受け流すことです。そして、家族や友人らが味方をしてくれると、自信はさらに増します」。
 ラベアは3人姉妹の末っ子だ。小さいころからおてんばだった。社会の中でひとりの人間として確立したいと思っている。女性だからとか男性だからとかいった社会的なしがらみは意識しなかったと言う。
運転席に座って様々なことを経験したとラベアは言う。良い体験が多い。つらいことがあれば自分のもっている知恵でなんとかしなければならない。パタオの仕事の時間は決まっておらず、それがラベアにとっては都合が良い。自分の好きな時間と場所を選んで働いている。今のところ行先はダカ市内のジャットラバリ、モティジル、ポルトン、ダンモンディ、モハモドプル、カロワンバジャル、テジガオ、ボナニ、グルシャンに限っている。
 女性に優しい環境が不足しており、そのためにいろいろな問題があることも意識している。毎日職場にかようことが女性たちにとっては大変なんです、とラベアは言う。アプリを利用した送迎サービスに女性たちはまだそれほど慣れていない。知らない男性のドライバーに乗せてもらうとなると、安全が一番の問題となってくる。なんとなく落ち着かない気がする。それで多くの女性客が今ラベアのサービスを利用したいと思っている。しかし、一番の問題は時間を合わせることだ。多くの人たちがラベアの送迎サービスを求めて、彼女に個人的に連絡してくる。「パタオのアプリでラベア・ボショリの名を見つけた時からこのサービスを利用するようになりました。男性ではなく、女性が運転するバイクの後ろに座ることはとても安心感があります」とプロトム・アロ紙に語ったのは香港上海銀行に勤めるリニ・ラジウンだ。しかしいつでもラベアに頼めるわけではないことが残念なのだという。「もっと女性がもしこの仕事を始めたら、皆が利用しやすくなるんですけどね」とリニは言った。
 ラベアのもう一人の顧客の名前はプリティ・モジュムダルだ。通学のために毎日ジャットラバリからダンモンディに通わなければならない。彼女にとってラベアは、渋滞やバスでの不快から解放の別名だ。
ラベアは言う。この仕事をそんなに複雑に考えないで、他の仕事のように単純に見ればいいんです。そうすれば社会の見る目も変わってくると思います。それには男性のお客の役割が大きいです。今はバイクを運転しているけれども、将来はバイクのトレーニングセンターを開きたいとラベアは思っている。そうすることでより多くの女性がこの職業に参入することができるように。
パタオのフセイン・モハンモド・イリアスCEOは言う。「ラベア・ボショリは今はアルバイトとして私たちと一緒に働いていますが、彼女とならんでさらに多くの女性がこの仕事にやってきてくれればと願っています」。

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(翻訳者:山田竣也)
(記事ID:712)