まとまった曲のまとまらないビデオ
2019年06月20日付 Prothom Alo紙


ジャスティン・ビーバーとエド・シーランが一緒に歌えば、ヒットしないはずがない。しかし、この二人の歌手が歌う”I Don’t Care”は、曲の素晴らしさばかりでなく、その一風変わったミュージック・ビデオでも話題になっている。ポップのジャンルに属するこの曲”I Don’t Care”は徹頭徹尾恋の歌である。だがビデオは恋愛ばかりでなく、少々おかしな要素も含んでいる。新曲が発表されると同時にファンたちが慣れない手で作るビデオは「ファン・メイド・ビデオ」と呼ばれるが、そんな雰囲気の素人っぽい演出でビーバーとシーランの歌“I Don’t Care”のビデオを作ったのはエミール・ナヴァ監督である。
ビデオではエドが結婚式の衣装をまとったり、ビーバーがお化けの格好をしてみたり、あるいは2人でバナナの上でスキーをして見せたり、プールサイドにチープなCGを使った格好で現れてみたりする。歌と同様、ビデオもしっちゃかめっちゃかという感じだ。実は監督の狙いもそこで、だからこのごちゃごちゃの出来栄えに満足しているというわけだ。CGで映像を製作するときに使われる緑色の背景(グリーンバック)があるが、エミール・ナヴァはそれも時々登場させている。何もかもあけっぴろげで、編集も間違いを隠そうともしていない。視聴者はビデオを見て絶対笑わずにいられない。
エドとビーバーはこのビデオのためにいつもとは全く逆の道を行かなければならないことを最初から理解していた。大金をかけて完璧に製作されたビデオが実はいかにまやかしに満ちたものなのか、ふたりはそれを示してみせた。しかしながらナヴァがこんな手法を取ったのはこれが初めてというわけではない。これ以前デュア・リパの”One Kiss”の歌のミュージック・ビデオの撮影でも、最初に使われたグリーンバックをそのまま登場させた。しかし今回ほどではなかった。
ビーバーとシーランは友人同士なのだろうか?ふたりとも結婚の直後にどうしてこんな歌を歌う決断をしたのか?疑問が次から次へと浮かんでいる。ビーバーとシーランはお互いとても違うところがある。ひとりはカナダ人で、もうひとりはイギリス人である。共通点はきわめて少ない。しかしだからと言ってふたりが一緒に仕事をすることに驚くことはない。これ以前にも”Love Yourself”で一緒に仕事をしている。その時はエド・シーランがビーバーのために曲を書いて提供したのだ。今のビデオの画面から流れる歌声には、ふたりの友情が感じられる。

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(翻訳者:是松イサム)
(記事ID:835)