220万人が水に閉ざされるー遠隔地に届かない援助ー
2020年07月17日付 Prothom Alo紙


 クリグラム県ウリプル郡のシャヘベル・アルガ・ユニオン(地区:近隣の9村で構成される。バングラデシュの地方行政の最小単位)では、およそ2万人が水に閉ざされた状態になっている。郡庁からブロンモプトロ(ブラマプトラ)河にある多くの砂洲から成るこのユニオンへのアクセスには、小舟で約3時間かかる。これまで3度救援物資が送られたが、そのほとんどは住民のもとには届いていない。
 シャヘベル・アルガ地区に住むカレダ・ベゴムさんは、郡庁はじめ多くの地域から救援物資が送られてきているとは聞くものの、彼女のもとにはひとつも届いていないと語った。家を離れられないので物資も受け取れない。「近所の人たちから食料をもらってやり過ごしています」とカレダ・ベゴムさんはいう。
政府の調査では、これまでに18の県でおよそ200万人が水に閉ざされた状態となっており、8人が死亡している。洪水の被害者の多くは砂洲や低い土地に住む人々で、家の屋根や近隣の道路、堤、比較的高い場所で避難生活を送っている。しかし料理の設備は十分でなく、また多くの地区では雨が続いている。そのため人々は乾燥食糧で何とか飢えをしのいでいるとプロトム・アロ紙のロングプル、タラゴンジョ、クリグラム駐在の記者たちは伝えてきている。記者たちの報告によれば、郡庁所在地やユニオンの中心部までは救援物資は確かに届いているものの、遠隔の砂洲は行政の核となる地区から離れているため、物資輸送に支障が生じているという。
 この理由として現地の関係者たちは、コロナ対策としての救援活動や労力提供の対価として食料品を供与する場合には、物資を地元住民に送るための別の予算が計上されているのに対し、洪水の被害者に援助物資を届ける活動は比較的多額の費用が掛かるのにかかわらず、予算があらかじめ設けられていないことをあげる。その結果、遠隔地の多くには援助物資がきちんと行きわたらない。
この問題についてエナムル・ロホマン災害救援対策担当国務大臣はプロトム・アロ紙に「政府としてはコロナ関連の援助を届けるために二千万タカ以上の予算措置を行った。洪水被害のため予め予算の分配はおこなわれていないものの、遠隔地への緊急物資輸送のための費用については、請求があれば支払うようにしたい」と述べた。
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洪水被害区域への援助物資輸送の費用が出ない
 
遠隔地には援助物資が届いていないため、洪水の被害者たちは乾燥食糧でしのいでいる。本紙はクリグラム、ラルモニロハト、ロングプルやガイバンダ県の援助管理を担当している12人の責任者の話を聞いた。12人の中には2人の県知事も含まれる。担当者の話では、洪水の被災地に援助物資を輸送するにあたっては、これまで長年それに必要な資金は現地で調達するという、文書化されていない規則が流布していた。例えば米を送る場合にはその一部を売却して輸送のための費用にあてることが行われてきた。
1マウンド(約37㎏)の米は25袋に相当するが、物資輸送の終わりにそれらを1袋当たり20から25タカで売却して輸送費に充てていた。
『労力の対価として食料品』計画などでは1トンの食糧輸送のために230タカの予算がつけられている。しかしクリグラム、ジャマルプル、ロングプルなどの北部各県には、郡庁から道路や川で20キロから25キロ行かなければならない地域も少なくない。こうした地域にトロール船を使って物資を届けようとすると2~3千タカの費用が掛かる。そうした場合援助物資の一部を売却することになるのだ。
この問題についてクリグラムのレザウル・コリム県知事はプロトム・アロ紙の取材に「通常輸送費は援助予算から支出され、地方行政担当者や地方の代表たちがそれを配分する。遠隔地の行くことが困難な地域で水に閉ざされている住民に援助物資を供給するのはかなり困難だが、我々はそれを実践しようとしている」と語った。
一方、洪水予知警戒センターによれば、ブロンモプトロ河の上流地域では降水量が減少しているため、増水のペースは遅くなってきているものの、ブロンモプトロ河から下流のジョムナ河に水が流入してきているため、ジョムナ河沿いのタンガイル、シラジゴンジョ、ボグラなど8つの県で洪水が起きる状況となっている。今後2~3日でさらに増水するものとみられている。また7月12日から上流で降雨があったためブロンモプトロ、ティスタの両川の流域地帯では再び川が増水し、今月終わりまでは洪水が続くと見られる。
この点について洪水予知警戒センターのアリフッジャマン・ブイヤン・エグゼクティブエンジニアはプロトム・アロ紙に次のように語った。「洪水を引き起こす水がブロンモプトロ河から下流に流れ出してはいるが、ジョムナ、ポッダの両河川では今後2~3日は増水が続くだろう。また3~4日のうちにブロンモプトロで再び水かさが増して今後1週間は危険水域に達するかもしれない」
気象庁が今日金曜日発表した予報では、ロングプル、ラジシャヒ、ボリシャル、チョットグラムそれにクルナの各県の広い範囲で雨になるとされている。首都ダカを含む他の地域のでも雨天の予報が出ている。昨日木曜日に降水量が最大となったのはポンチョゴルで、49ミリの雨を記録した。 

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(翻訳者:陳映桐)
(記事ID:906)