宇宙に飛び立つ日本の木製人工衛星
2020年12月30日付 Prothom Alo紙


宇宙では日に日にゴミが増えている。ゴミといっても家庭のゴミではない。寿命を迎えた人工衛星の部品など様々な物だ。この問題を解決するために、日本の科学者たちが新たな技術を導入した。木材の人工衛星を開発しようとしているのだ。この試みが成功すれば、世界で初めての木製の人工衛星となる。
日本の京都大学と住友林業という建設会社の研究者が人工衛星開発に取り組んでいるとのニュースを英国のニュースメディア・BBC が伝えた。2023 年を目途に衛星を作るのが研究者たちの目標だ。
住友グループ傘下の住友林業は 400 年前に創業した。住友林業は木の成長と宇宙での木材使用についての研究にすでに着手していることを明らかにした。今後世界中の様々な厳しい環境で、色々な種類の木材のサンプルについて、京都大学と共同研究を進める予定だ。同社はまた、気温の変化への適応性や日光への耐久性に優れた木材開発に目指している。
研究者たちによると、宇宙に打ち上げられる人工衛星の数は増え続けている。世界経済フォーラムによれば現在約 6,000 個の人工衛星が地球の周りをまわっているが、そのうち 60%がすでに寿命を迎えた、つまり宇宙のゴミとなってしまったということだ。それ以外にも地球から打ち上げられた宇宙船の部品等、様々な機械部品も宇宙のゴミ増加の原因となっている。ユーロコンサルトという研究機関によると、今後 10 年で毎年 990 個の人工衛星が打ち上げられる見込みだ。つまり 2028 年までに約 15,000 個の人口衛星が地球を周回することになるのだ。
宇宙ゴミは小さなものであってもすさまじい速度で進む。専門家は、それらの速度は時速 22,300 マイル以上になると見ている。つまり、それらの微小な宇宙ゴミは甚大な被害を生み出す可能性をもっている。2006 年には小さな宇宙ゴミが国際宇宙ステーションに衝突し、宇宙ステーションのきわめて強固に接続されている窓の一部が脱落した。
こうした中、木製の人工衛星は一つの解決策になりうる。大気圏との摩擦で木は燃え、危険な物質をまき散らすことがないからだ。さらにこうした人工衛星が帰還する際に「部品の雨」を降らすこともない。
京都大学教授で宇宙飛行士の土居隆雄さんは BBC に次のように語った。「地球に戻ってくる人工衛星はすべて、大気圏に突入する際摩擦熱で燃えるときにアルミナ(酸化アルミニウム)の微小な粒子をまき散らします。これらの粒子は大気圏の上の層に何年も残留する可能性があります。この問題について私たちは大変憂慮しています。なぜなら、それらの粒子は地球環境に望ましくない影響を与えることになるからです」。
土居隆雄さんは2008年3月に宇宙飛行士として国際宇宙ステーションを行っているが、その時宇宙でブーメランを投げる実験を行っている。ブーメランはごく小さな重力でも飛ぶように設計されていた。
(訳者注:土居飛行士は 2018 年 3 月 18 日に国際宇宙ステーションのモジュール内でブーメランを投げる実験を行い、その様子を動画で公開した)

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(翻訳者:高橋瑞季)
(記事ID:930)