銀幕に希望の光
2021年01月16日付 Prothom Alo紙


 コロナ禍の中、国際映画祭がダカで始まる。映画館の数が減少したこの国で、自己隔離の時期に行われるこの映画祭は、深い暗闇に刺しこむ一筋の光のようなものだ。今日土曜日(1月16日)午後、第19回ダカ国際映画祭が開幕する。開会式が終了すると、国立博物館の大講堂の明かりが落とされ、スクリーンを輝かせて上映が開始される予定である。
フランス人女優兼監督のスザンヌ・ランドン(Suzanne Lindon)による最初の長編映画である『春の花(Spring Blossom)』が、今回の映画祭のオープニングを飾る。これは一人の初老の男とある娘の関係を描いた映画である。この映画をはじめ、世界中の73カ国から集められた様々な物語をつづった映画をダカで見ることができる。またショットジット・ラエ(サタジット・レイ)の不朽の名作を映画館の大画面で見たことがない人たちにとっては、昨年生誕100周年を迎えたこの監督への敬意を表すための企画は、ショットジット・ラエの作品群を観る絶好の機会となろう。それ以外にも、バングラデシュ人監督による短編、長編合わせて41本の映画が上映される。ヒンディー語映画と西ベンガルで制作されたベンガル映画も今回の映画祭で上映される。
映画祭での上映リストを読み始めたら、自国、隣国そして遠い国々の映画を観たい気持ちにおそわれるだろう。上映作品は、シャム・ベネガル(Shyam Benegal)の 『マハトマのメイキング(The Making of the Mahatma)』、ミラ・クドラヤショワ(Mila Kudryashova)の 『私だけのドラゴン(My Personal Dragon)』、クララ・ピカソ(Clara Picasso)の 『主人公(The Protagonist)』、スリジット・ムコパッダエ(Srijit Mukhopadhyay)の『匿名(Gumnaami)』、ファクルル・アレフィン(Fakhrul Arefeen)の 『境界(Gondi)』、マスド・ハサン・ウッジョル(Masud Hasan Ujjal)の 『四十九の風(Unoponchash Batash)』、 ムリッティカ・グン(Mrittika Goon)の『黒雲のいかだ(Kalo Megher Bhela)』他。児童向け作品としては、オビク・ロイ(Avik Roy)の『先生(Mastermosai)』、モーガン・バヤット(Mojgan Bayat)の『地球の誕生(Born of the Earth)』、フィラス・コウリー(Firas Khoury)の『マラドーナの足(Maradona’s Legs)』など、多くの作品が上映される。今回の映画祭は、コンペ部門、世界を変えた伝説的なリーダー、トリビュート(記念)作品、過去の名作、バングラデシュパノラマ作品、世界の映画、児童映画、スピリチュアル映画、女性監督作品、短編及び自主映画のカテゴリーで構成されている。10のカテゴリー、225本の映画のほとんどは無料で鑑賞できる。他50本の長編映画といくつかの短編映画は30タカ(およそ40円)で観られる。 世界中の価値ある映画作品を自国で楽しむことができるこの機会を逃したいと思う人はいないだろう。
コロナの脅威にもめげず今年の映画祭を開催することは大きなリスクを伴っていた。外国人ゲストは今回ダカに来ることはできない。上映会では、席を一つ飛ばしにして座ることになっている。また、マスクを着用せずに講堂に入場することはできない。さらに、希望すればオンライン登録をして自宅で映画を見ることもできる。様々な困難の中で今回の映画祭を開催する苦労について、映画祭のディレクターであるアハメド・ムジトバ・ジャマル氏は次のように語っている。「世界で多くの大規模な映画祭が、オンライン上もしくは実地にて開催されています。私たちもそれに倣って開催の準備に努めました。外国人ゲストが来ないこということで、予算を半分に減らしましたが、スポンサーがコロナウイルスの影響でつきにくく、予定金額の60%しか集めることができませんでした。しかし、映画祭は開催する必要があります。コロナの流行で人々は心理的に難しい状況の中にいます。人々に文化的な活動に参加してもらい、日常を取り戻すことが私たちの社会的責任です」
ダカでは1992年からレインボーフィルム・ソサエティー(Rainbow Film Society)によってこの映画祭が開催されて来た。今日午後4時、A. K. アブドゥル・モメン外相がチーフゲストとして第19回映画祭の開始を宣言する。開会式の特別ゲストとして、MD.ムラド・ハサン情報副大臣、インドのビクラム・K. ドライスワミシャミ大使が臨席することになっている。

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(翻訳者:渡邉香帆)
(記事ID:934)