シュンドルボン一帯の環境は変化しやすく、トラにとって最適の生息地ではない
2022年02月03日付 Prothom Alo紙


(プロトム・アロ紙2021年11月9日付)
ジャハンギルノゴル大学生物学科のM.A.アジズ教授は、シュンドルボンのトラについての研究で、イギリスのケント大学から博士号を取得した。2019年に発表されたトラに関する最新の統計では情報分析と結論作成で中心的役割を果たした。2019年から20年にかけては森林局の予算により、シュンドルボンのトラ生息可能数をテーマとした研究を行っている。シュンドルボンでトラの死体が見つかったという報道を目にすることが時折ある。最近ではこの日曜日にシュンドルボン西部のシャトキラ生息地にあるコイカリ・ステーションのダンカリ地区で、森林管理者らが1頭の雌トラの死骸を発見した。プロトム・アロ紙はシュンドルボンのトラについてアジズ教授にきいた。

質問: シュンドルボンでトラの死体が発見されたという報道を時々見るが、トラの死の背後にはどんな理由が在り得るのだろうか。
ジャハンギルノゴル大学教授M.A.アジズ: 自然環境の中でトラが死ぬ理由はさまざまだ。例えば、老衰(歯が折れてしまえば狩りができなくなるため、楽に狩りを行うために村を狙う)、自分の縄張りを支配しようとして他のトラと戦いケガをする、シカ狩りのための罠にかかって傷つく、あるいは毒餌を食べる、などがあげられる。最後の2つの理由によるトラの死は、シュンドルボンでも既に確認されている。

質問: シュンドルボンでトラにとって好ましい環境が縮小しつつあると思われるとのことだが、その背後にある理由は何だろうか。
M.A.アジズ: シュンドルボンの環境は極めて変化しやすいものだ。実際、トラにとって最適な生息地ではない。時の流れとともに北部にあった森林地帯が破壊され、トラはやむを得ずシュンドルボンに安住の地を求めた。世界の他のトラの生息地と比較して、シュンドルボンではトラの狩りの対象となる動物の種類はきわめて少ない。主な動物はアクシスジカとイノシシの2種類だけだ。さらにアクシスジカ(トラの食料の78パーセントはこのシカである)の密猟はトラにとって脅威となっている。また森の質の低下がある。これらのことを総合して、トラはシュンドルボンで様々な圧力にさらされていることは間違いない。

質問:シュンドルボンでは塩水化が進行し、淡水のある区域は減少している。このことがトラのライフサイクルに影響する懸念はあるか。
M.A.アジズ: シュンドルボンにおけるトラのライフサイクルについては、研究者たちは多くの情報をもっているわけではない。その主な理由は研究が十分に行われていないことだ。塩水がトラのライフサイクルにどのくらい影響を与えるか、私たちにはよく分かっていない。だが気候変動により、シュンドルボンに住むトラの長期の生存への影響についてはかなりの懸念がある。例えば、サイクロンや高潮などの自然災害はシュンドルボンに悪影響を及ぼすと同時に、森の様々な動物の生活にも影響すると言える。シュンドルボンを含む沿岸地域では、こうした自然災害の発生率は一貫して増加傾向にある。このため、シュンドルボンで70パーセントを占めている土地の大部分がこれらの自然災害の時には水に浸かってしまう。その結果シュンドルボンの淡水の水源地(掘削した池)の水に塩分が混ざり、野生動物にとっては不向きになっている。トラを含む哺乳類は大きな問題に直面している。

質問:トラの繁殖、成長、生存に好ましい環境を保全するにはどのような手段をとるべきか。M.A.アジズ: シカの密猟を防止しなくてはならない。また現地の住民たちの生活の質を向上させることで、そうした人々の森への依存度を下げる必要がある。シュンドルボンで淡水確保のために池の改善を進めたり、新たな池をつくったりする必要がある。池の岸を高くすれば、災害時にトラやその他動物がそこに難を逃れることができるようになる。これらの点について、研究の機会を創出し、取り組みを行う必要がある。

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(翻訳者:菅原夏希)
(記事ID:1024)