インダス川水利協定の停止など言語道断
2025年05月16日付 The daily Jang紙

インダス川水利協定の撤回はインドにとってその甘い考え程容易いことではない。これはパキスタンにとって生命線であり、同国はそこではいかなる形であれ一方的挑発の余地はないという明確な立場をとっている。インダス川水利協定は1960年にパキスタンとインドとの間で国際的な調停役の監視下で締結され、これまで約65年に亘り機能し続けてきた。それをインドはパヘルガーム事件を口実として4月23日に断停止すると発表してきたのである。パキスタンはその措置に対する抗議の書簡の中で、インドに対して、停止に関して使用された文言などは条約の中に存在もしていないと指摘した。世界銀行もインドの主張を退けつつ、インドはインダス川水利協定を中断することなど出来ないと断言した。アジェー・バンガー世界銀行総裁が言明したところでは、条約にはそれを一方的に停止する、乃至は破棄するという条項は無く、条約の内容を修正する、あるいはこれを破棄するためには両国双方の同意が必要であり、そのための条件は条約文中にあるとのことである。インドは技術的に条約を棚上げにした。条約の締結済み手続きの遵守は必須である。しかし、インドの主張によると、世界銀行にはインド・パキスタン両国間の紛争おいて決定を下したり、あるいはこれに干渉したりする権限は無く、その役目は、両当事者が要望した場合、紛争の解決に向けて中立的な専門家集団や調停委員会を設置することのみであるという。世界銀行のこの明言を受けて、インドによる条約の一方的な停止を正当化する余地は残っていない。この条約は完全に実施に支障がなく、その違反は容認し難い。これは両国の間の水利問題に関して戦争や紛争を防ぐための歴史的条約である。これは国際的な責任の1つであり、その遵守は両当事国に不可避である。

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(翻訳者:吉田智哉)
(記事ID:1206)