南アフリカ提案に反対せず:ラーリージャーニー書記
2005年10月20日付 Sharq 紙

2005年10月20日シャルグ紙2面

【IRNA(イラン国営通信)】アリー・ラーリージャーニー国家安全保障最高評議会書記は、「イラン・イスラーム共和国は、ヨーロッパ3カ国との核交渉再開に悲観的であるわけではないが、他国が交渉の枠組みを決定し、イランに強要するようなことは受け入れられない」と述べた。

 同書記は、昨今イランの核問題をめぐる交渉の再開に対して前向きな反応がみられることについて、「私も交渉再開には前向きであり、それが実現されることを望んでいる。われわれも交渉が問題解決にとってよりよい方法であると信じている」と語った。一方で彼は、「交渉は、目的と枠組みを有する形で、かつイラン国民がこの交渉から権利を得られたことを一定期間後に明確に意識できるような方法で、なされるべきである」と強調した。

 ラーリージャーニー書記は、「われわれにとって重要なことは、イランの核技術利用の権利が公式に認められることである。これはイランの特権などではなく、IAEA(国際原子力機関)とNPTに加盟するすべての国家が保有する権利であることは疑う余地がない」と強調した。同氏はまた、「イラン・イスラーム共和国は、IAEAに対して自らの義務を履行してきた。したがって当然のことながら、核技術の分野におけるイラン国民の権利が保護されることを期待している」と述べた。

 国家安全保障最高評議会書記は、イランが考える交渉の理想的な条件について、「交渉は、明確な目的と枠組みを備えている必要がある。この枠組みを強制するようなやり方でイランに課すべきではなく、すべての国に通用するような共通の法や規則を、イランに対しても適用すべきである」と語り、「もし各国に対し、それぞれ特別な法秩序が課されるようなことになれば、結果として世界の国の数だけ核分野での法秩序が生まれ、世界はある種の法的アナーキズムに直面することになるであろう」と警告した。

 国家安全保障評議会書記は、9月のIAEA理事会で決議が採択されて以降複数の国家との間で行ってきたイランの外交交渉の成果を肯定的に評価した上で、「各国、中でもロシアや中国、南アフリカは、最近の協議においてイランの権利を擁護する立場をとってくれた」と述べた。そして同書記は次のように付け加えた。「EUでさえ最近の声明で交渉の継続について語っている。そしてわれわれも同様に、公式声明において、国民の権利獲得のための交渉を行う用意があると述べている」。さらに続けて、「これまで行われてきた〔国内の〕全協議では、様々な意見が表明されているとはいえ、交渉継続に前向きな方向で話し合われている。もちろん、われわれとしても、イラン国民が原子力を活用する権利を獲得するために交渉を行うという方針に対しては、歓迎したいと考えている」。

 同氏はイランの核問題に関して南アフリカ共和国大統領と行った会談に言及し、次のように述べた。「大統領はこれまでと同様に、明確、透明で公正を重んじる立場から、原子力技術の所有は、IAEAとNPTの全加盟国の権利であると強調された。われわれは、同大統領が変わることなく、核問題について確固たる立場を取られていることを嬉しく思う」。

 国家安全保障最高評議会書記は、イランの核燃料サイクルの共同管理という方法でイランの核問題を解決すべきとの南アフリカ側の提案について、「この提案について、意見の相違はない。ただ、当然のこととして、関係各国はそれぞれが抱えている状況に応じて、同提案ついての決定を下すことになろう」と述べ、「私が見るところ、2国間協力の分野で新たな可能性が開かれたように思われる。南アフリカは国際問題の解決に、より積極的に関与しようとしているようだ」と付け加えた。

 南アフリカの提案がイランの核問題を打開するものとなりうるかとの問いに対し、同書記は「本質的に、南アフリカ大統領の提案は問題解決の糸口となることは間違いない。しかしこの提案に潜在する多様な側面を考えると、〔同提案が核問題の解決に資するかどうかは〕この提案に対する他国の反応如何である」と答えた。

 ラーリージャーニー書記は、11月のIAEA理事会での決定をイランがどの程度楽観視しているかについて、「ある程度は楽観的に見ている。ただし国際社会の舞台では、油断禁物であり、あらゆる仮定を考慮に入れねばならない」と語った。

 国家安全保障最高評議会書記は、イランの核問題に対して一方的な対決姿勢を取る可能性を示唆する、アメリカ政府の脅迫めいた発言への反応として、「コンドリーザ・ライス国務長官や、ジョン・ボルトン国連大使といった人物が弄する発言のほとんどは、心理作戦にすぎないと私は考えている」と語った。

 同書記は次のように続けた。「国会は、〔9月のIAEA決議に対する報復として、NPT追加議定書にもとづく抜き打ち査察を自主的に受け入れる等の信頼醸成措置を停止するよう、イラン政府に義務づける〕法案を用意している。もちろん、われわれとしても国会に対して、この問題には冷静に対処するよう促してきた。しかし、国民の代表たる国会議員が確固たる信念として表明しているのは、もしイランの核問題が今後ともありもしない疑惑で非難されるようであれば、イランは追加議定書にもとづく措置を停止することになる、ということなのである」。

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( 翻訳者:柴田愛子 )
( 記事ID:1157 )