アメリカとインドの関係継続はイラン次第 シャルグ紙
2005年09月25日付 Sharq 紙

2005年9月25日付シャルグ紙5面
〔注:下記記事は、9月23日付米インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙のAnand Giridharadas記者執筆の記事のペルシア語翻訳版を邦訳したものである。ペルシア語の英文翻訳は省略や書き換え、恣意的な解釈が横行しており、まったく正確性を欠くため、英文の元記事とは内容や論調においてかなりの違いが見られる点を、予めご了解頂きたい。なお、英語の元記事はhttp://www.iht.com/articles/2005/09/23/news/india.phpで読むことができる〕

【インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙:アーザーデ・エフテハーリー訳】アメリカの外交官や専門家、議員らの話によると、アメリカは現在、イランとその核開発計画に対するインドの対応に注目しており、それをふまえてインドとの新たな友好関係のあり方を検討しているところであるという。彼らの発言によれば、ブッシュ政権は、イランの核問題を安保理に付託するためには国際社会の支持が必要であると感じつつも、他方でマンモハン・シン・インド首相に対しては、《対イラン政策》及びアメリカに対する立場を明確に示すよう求めている。

 実際、アメリカはインドの対イラン政策如何で、インドをアジアの中で信頼の置ける同盟国とみなすか、あるいはその場限りの友人とみなすか、のいずれかを決めることになろう。現在、アメリカとインドの間で先日調印された核に関する合意をめぐり、アメリカ議会からはインドの対イラン政策を標的とした圧力が増している。
 
 アメリカ〔下院〕議会の国際関係委員会の委員を務めるトム・ラントス(Lantos)民主党議員は、「インド側が、われわれとの新たな友情関係を、一種の相互関係と捉えてくれることを願っている。この関係なしには、インドはアメリカ議会の信頼を得られないだろう」と語り、「われわれがインドに対してインセンティヴを与えることについて、なんらかの決定を下すことになるような場合には、イランのようなセンシティヴな問題に対するブッシュ政権の政策をどの程度支持しているのかが、まずは明確化されなければならない」と付け加えた。

 他方、インドに与えられている選択肢は同国にとって歓迎すべきものではない。特に現下の状況下では、インドが必要とするエネルギー源を確保するためには、イランとの関係を拡大する必要があるからだ。インドの政府関係者は、イランとアメリカ両国とプラグマティックな友好関係を継続させることに関心を有しながらも、それと同時に、最近のアメリカとの核に関する合意が、独自外交というインドの長期的な目標に影響を与えかねないと、度々指摘してきた。ニューデリー在住のある欧米の外交官は、「今回の件は、インドにとってひとつの試金石である」と述べる。そして、「インドが超大国にのし上がる夢をかなえるチャンスでもあり、現実にインドは、着実にその方向へと向かっている様子だ」と付け加えた。

 他方、外交関係筋の専門家らは、「インドを待ち構えている選択肢は、簡単に乗り越えることのできるものではない」と語る。かつてアメリカとの関係に関しては、いかなるものであれ慎重であったインドは、最近ではアメリカとの関係を拡大することで、安保理常任理事国、そして世界の〔正式な〕核保有国として仲間入りを果たすことが可能となると考えている。しかしインドのある高官は、このようなアメリカとの関係は、インドにとって利益の大きいイランとの友好関係を危険にさらすと指摘する。インドは、エネルギー資源をますます必要としており、そのような観点からイランを無視できない。さらに、イランは、インドと中央アジアとの貿易関係にとっても、最適な経由地である。アメリカは、対イラン政策に対する支持を得るために、インドに対して圧力をかけており、現在インドはまさに岐路に立たされている。

 あるインドの専門家は、次のように語った。「これはアメリカの成熟への拒絶を示す、古典的な例である。なぜなら、アメリカはいまだに、有無を言わさぬ忠誠を同盟国に求めるからだ」。同氏は次のように付け加えた。「インドは21世紀に、ドイツや日本のような変身を遂げることは不可能だ。もしイランとの関係を停止させれば、インドはアジアにおける信頼を失うことにもなりうるし、アメリカの外交政策にとっても良いことではないだろう」。シン首相の側近の一人は、「われわれは、イランを孤立化させることを考えてはいない。なぜなら、イランはインドの近隣国であるからだ」と述べた。

 一部の専門家は、インドは勝利を見込めないゲームには参加しようとはしないだろうとみる。一部のインド政府関係者もまた、インドはイランとの関係を徐々に弱めることになるだろうが、このことはイランを敵対視することを意味しないと主張する。たとえば、イランの天然ガスをパキスタン経由でインドへ輸送するパイプラインの建設計画に関し、アメリカからの停止要求を理由としてではなく、あくまで計画の技術的問題を理由に、このプロジェクトを中止しようと考えている。インドの元駐米大使であるナレシュ・チャンドラ氏は、ワシントンで次のように語った。「インドは、ワシントンから核支援を享受するために、イランを孤立化させるのではなく、一般論として核兵器の拡散に反対するという立場を採る可能性はある」。インドの元駐ジュネーヴ大使も、「われわれは、長年アメリカと親しい関係を有してこなかった。現在は情況を検討している段階である」と語った。

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( 翻訳者:柴田愛子 )
( 記事ID:957 )