ウラン濃縮問題─ヨーロッパはイランに交渉復帰を要求 シャルグ紙
2005年10月05日付 Sharq 紙

【政治部】中国の新華通信は、EU外相会議がイランに対し交渉の席に復帰し、核燃料サイクルの活動を全面的に中止するよう求めていることを報道した。新華通信は、月曜日にルクセンブルクにおいてヨーロッパ各国の大臣らによって発表された最終文書に言及し、次のように記した。「EUは、昨年11月に締結されたパリ合意文書の枠組内で交渉を開始することを目標としている。ヨーロッパはイランに対して、この目標を達成するために必要なステップを踏み出すよう求めている」。

 EU外相らは、9月24日に採択されたイランの核問題に対する国際原子力機関(IAEA)理事会による決議に満足の意を示しつつも、却ってこの決議書が、イランに機会を与え、イランの動き次第で国際社会の次のステップが左右されるような状況を作っていると指摘している。ヨーロッパはイランに対して、IAEAから要求されたすべての措置、特に、核燃料サイクルに関連するすべての活動の再停止を実施について、この機会を利用するよう求めてきた。これに加え、EUは依然として、イランの核開発目標に関して国際社会が抱く懸念に対し、外交的手段を取ることを支持している。というのも、このような手段をとることで、EUは国際社会全体との関係をより良くする環境を獲得できるからである。

・ソラナ氏:安保理がIAEAの機能を強化することを期待する

 現在、EU共通外交・安保政策上級代表ハビエル・ソラナ氏は、「われわれは、イランの核問題に対処することを念頭に、安保理がIAEAの機能を強化させたいと望んでいる」と述べている。

 ISNA(Iranian Students News Agency)の報道によれば、ロシアのインターファクスの通信員が、次のように付け加えたという。EU共通外交・安保政策上級代表ハビエル・ソラナ氏が、EU・ロシア間の会議開催を控え、この通信員に語ったところによると、「EUとロシアはイランの核問題に対して相互に協力しており、両者間で、イランの核武装化阻止は、戦略的重要性があるとの合意に至っている」。同氏はさらに、「ロシアがイランと平和的な核エネルギー開発の面で協力しており、平和利用以外の目的に核開発計画を悪用することを予防する非常に重要な取り組みを進めており、われわれもこれを高く賞賛している」と付け加えた。

 ソラナ代表は、「したがって、われわれは必要事項に関してはすでに合意が得られており、現在すべきことは、この目的に達するための適切なアプローチについて、互いに合意を得ることである。」と語っている。さらに、「それゆえ今や、イランにおける生産[ウラン濃縮]活動の開始や、イランがヨーロッパと締結したパリ合意を受け入れないことに対する回答方法に関して濃密な交渉を行っているところである」と付け加えた。

 ソラナ代表は、「イランがNPT(核不拡散条約)に基づく義務を遵守しないことは、非常に重大な問題である。われわれは、安保理がIAEAの機能をこのイランの問題に対処しうるよう強化することを期待する。」と主張し、さらに、「他方、もしイランがこういった国際社会の意思を認知し、ウラン生産[濃縮]活動を中断し、再び全面停止を履行する構えが整えば、EUはイラン政府との交渉を開始する準備に入るであろう。」と続けた。同氏は、「イランがこの機会を利用し、イランの核開発の意図に関して国際社会が抱いている懸念や信用の欠如に対し回答するよう期待する。」と述べた。

・戦術の相違

 現下のところ、EU共通外交のコミッショナー、ベニータ・フェレロ・ワルドナー〔オーストリア外相〕氏は、「イランの核計画を巡るロシアとEU間の相違は、戦術の問題に関係する。」と述べている。インターファクス通信の報道によれば、ワルドナー氏は、EU・ロシア間の会議開催を控え(その際に両者で検討される最重要問題は、イランの核計画となろう)このように述べている。「ヨーロッパ3カ国の見解によれば、EUとロシアの間で、イランの核問題を巡って主立った相違は存在していない。また、核開発能力を有する新たな国の出現を防止するために、EUとロシアがあらゆる措置をとることで合意を得ている」また彼は、「唯一われわれの間に相違が存在するとすれば、それは戦術の問題であろう。」と付け加えた。

 同氏は、「将来、核問題が安保理に付託されるべきことを提案するIAEA理事会の決議案をEUは支持する。」と述べ、「われわれが支持する理由は、この決議案を通じてIAEAの権限を強化し、ウラン濃縮関連の活動を再び停止させるようイランへ圧力をかけ続けることが可能だと確信しているからだ。」と続けた。

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( 翻訳者:柴田愛子 )
( 記事ID:1015 )