コラム:責任者の不在 シャルグ紙
2005年12月28日付 Sharq 紙

2005年12月28日付シャルグ紙27面

〔訳者注:一部事実の誤認・混乱が見られるが、原文をそのまま訳しておいた〕

【サイーデ・イスラーミーイェ】世の中には、第三世界でしか起こらないような事件・事故というものがある。それは、自然災害の場合もあれば、人為災害の場合もある。例えば、オランダでマグニチュード7の地震が起こり、数万人が亡くなったとか、ニュージーランドで1台のバスが事故を起こし10人以上が亡くなったとかいうニュースを聞いたことがあるだろうか?

 彼らには神がいるが、我々にはいない、などと考えてはいけない。しかし、このような災害・事故が第三世界でのみ起こっているのも事実だ。イランやパキスタンでは、大地震で多くの死者をだした。またインドでは、定員20〜25人のバスが事故を起こすと、死者100人以上、負傷者50人以上といった大惨事もめずらしくない。イランや一部のアフリカの国々では、飛行機がいとも簡単に墜落し、数十の家族が悲しみに明け暮れる。そしてもちろん、人為災害(つまり予見不可能な自然災害以外の出来事のことだ)が起きたとき、責任者が一切の責任を取らないのは、もちろんイランや第三世界だけなのである。

 4月に電車脱線事故を起こしたJR西日本の社長は、事故の責任をとって辞任した、というニュースが報じられた。4月に起きたこの事故は、朝の往来の激しい通勤時間帯に電車が脱線し、マンションに衝突したというものだった。この事故で、100名以上が亡くなり、500名以上が負傷した。

 昨日、「JRイースト」と呼ばれる別の鉄道会社の特急列車が脱線し、4人が亡くなり33人が負傷したのを契機に、JR西日本の社長は辞任することを決めた。専門家による最近の見解では、この事故の原因は悪天候であり、技術的欠陥や人的ミスといった種類のものはなかったという。JR西日本の社長は今年2つの事故が発生したことを謝罪し、引責辞任することになった。

 さて、我が国の責任ある地位にいる者たちはどうか。引責辞任などあり得ないだろう。もし飛行機が墜落すればパイロットの責任になり、もし列車が脱線し爆発したら駅長の責任になり、‥‥といった具合だ。これらすべてが第三世界、発展途上国の置かれている状況なのである。

〔注:「飛行機が墜落すればパイロットの責任になり」は、100名以上の死者を出した先日のC-130軍用機墜落事故(死者100名以上)を指し、「電車が脱線し爆発したら」は2004年2月にイラン東部で起きた列車脱線・爆発事故(死者300名以上)を指す。軍用機墜落事故では、国会で国防相を喚問・弾劾する手続きが進められていたが、現在延期となっている〕

Tweet
シェア


現地の新聞はこちらから

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:大石容子 )
( 記事ID:1606 )