イラン・欧、今日ブリュッセルで会談
2005年05月24日付 Sharq 紙


イラン・欧、今日ブリュッセルで会談
イラン:交渉決裂でも特に何も起きないだろう

(2005年5月24日シャルグ紙第5面)

 パリ、ロンドン、ブリュッセル、それともジュネーブか? どの都市が、イランがヨーロッパにとって最後の機会としている、イラン・ヨーロッパ間のハイレベルな核交渉の開催地となるのだろう?これまでのところ可能性がもっとも高いパリで開かれたとしても、このこと自体は大して重要ではない。英仏独外相との運命の交渉が果たして来週行われるのかも、いまだはっきりしていないと、イラン側外交団のスポークスマンを務めるホセイン・ムーサヴィヤーンは述べているからだ。彼の言によれば、この交渉が行われるかどうかは、双方の専門官が将来相互に受け容れ可能な合意に至るかどうかにかかっている。ブリュッセルの専門官交渉が望ましい結果に至れば、ハサン・ロウハーニー国家安全保障最高評議会書記は、ヨーロッパの都市のいずれか、おそらくはジュネーヴに向かうだろう。キャマール・ハッラーズィー外相は今週の交渉をイラン・ヨーロッパ3カ国間の最後の交渉だと述べた。

 イラン側は、もし双方が合意に至らなかった場合、エスファハーンの施設でのウラン転換活動を大統領選の前にも再開するだろう、と述べている。外交筋は、欧州がイランとの協議の中で追求している戦略は、イランの大統領選挙までこの協議を長引かせ、イランに原子力活動の停止を継続させることであると見ている。しかし、アリー・アーガーモハンモド国家安全保障最高評議会広報委員会書記は、原子力活動は選挙よりも重要でありうるし、われわれの核問題はそう簡単には解決を見ないだろうと、イラン北東部の都市マシュハドで述べていた。イラン外交高官は昨夜、調整会議を開くため代表団をベルギーの首都ブリュッセルに向かった。

 先週、IAEA事務局長との会談のためにウィーンを訪問したスィールース・ナーセリー核問題交渉担当高官は、同訪問を終えて数時間後、シャルグ紙に対して、イランは近々開かれる予定のヨーロッパとの交渉にはあまり期待していない旨語った。イラン交渉団のスポークスマンを務めるホセイン・ムーサヴィヤーン前駐独大使は、民主党との関係が近い米ニューヨーク・タイムズ紙に対し、イランが欧州との交渉に悲観的である理由として、会談で生じたEU・イラン間の行き詰まり感を挙げ、欧州がイランに原子炉10機提供協定を持ちかけるなど、重要な動機付けとなるものを提示するのでなければ、この行き詰まりを解消できないだろうと述べた。彼は、〔欧州との交渉で〕提示された特権で最大のものが、航空機の中古スペア・パーツを提供する用意があるとの米の発表であり、3ヶ月間の協議の結果としては、まるでジョークのようだ、とも述べた。さらに、たとえイランが交渉の期間中濃縮活動を中断したとしても、すべての核燃料サイクルの停止はあとほんの数ヶ月間だけであろう。外務報道官も、交渉の成果があったか否かを試すために、あと2、3ヶ月間停止する用意はあると述べている。

 しかし、先週木曜の夕方、英ロイター通信はイランが欧州に対し、新たな提案をするであろうと報じた。ロイターによると、イランはロシアが転換されたウランをロシア国内で濃縮するよう、提案したという。提案の本質は、イランがイエローケーキをエスファハーンで六フッ化ウラン・ガスに転換し、〔イラン国内では〕ウラン濃縮を自粛し、その代わりロシアに移送してそこで濃縮するというものだ。

 このことについてロイターに語った複数の外交官はさらに、ロシアで最終のウラン濃縮をするという提案は、イランの原子力活動が平和利用を目的としていることに対する疑念を軽減するための一時的な措置であり、時が経てばイランは自らウランを濃縮できるよう求めることになるだろうと述べた。このニュースが伝えられた数時間後、スィールース・ナーセリーはニュースを認めたうえで、イランの〔原子力活動に必要な〕ウラン濃縮をロシアで行うという提案は、〔イラン側からのものではなく〕モスクワからの提案であると述べた。

 ヨーロッパ側の複数の外交官はここ数日の間、匿名で「これまで2年間もの歳月をかけて行ってきた交渉のテーブルに就かせるために、このことについてイランと交渉することになるだろう」と語った。

 イラン外務報道官はもっとも最近の記者会見で、イラン・欧州間のハイレベルな会談を前に、「テヘランはモスクワの提案を水曜日に検討する予定である」と述べた。ロンドン国際戦略研究所の分析官でビル・クリントン米前大統領の顧問を務めていたゲイリー・シームールは、「欧州はこのアイデアを受け入れないだろう。濃縮関連活動の中止を弱めることになりかねないからだ」との考えを示した。しかし、国家安全保障最高評議会外交委員会書記でスポークスマンを務めるホセイン・ムーサヴィヤーンは、「原子力活動の一部再開というテヘランの決定は変わらない」と発表した。ちょうどこのころ、ヨーロッパ3カ国外相とハサン・ロウハーニー、及びEU外交の責任者であるハヴィエル・ソラナの会談のおそらくは主催国となるフランスは、〔今週行われる可能性の高い〕英仏独欧州3カ国との会談の数週間前、イランはセンシティブな原子力活動の一部を再開すると脅したものの、それを実行しないよう希望する旨述べていた。これに対しムーサヴィヤーンは、「イランは100%柔軟に対応し、話し合い、どのようなメカニズムについても妥協する用意があるが、〔濃縮〕停止については受け入れられない」と言っている。

 ちょうどこの時、ニコラス・バーンズ米国務省政務次官は、「ヨーロッパはイランに核開発計画から手を引くよう説得しているが、この努力から満足の行く結果が得られたとは言い難い」と述べた。BBCは「バーンズは、米上院外交関係委員会で証言して、この問題における欧州の努力を支持した」と報じた。ニコラス・バーンズは、「米がイラン核兵器開発計画とするものから、イラン側が手を引くべく何らかの戦略的意思決定を下したというような兆候は、まったく見られない」と述べた。

 イラン・欧州間の核問題をめぐる交渉の責任者を務めるハサン・ロウハーニーは以前、「イランは原子力関連活動を再開するとの自らの決定を、たとえ数週間先延ばしすることはあっても、変更することはない」と述べたことがある。ロウハーニーは今回の交渉の直前、「イランは原子力発電所で2万メガワットの発電をする計画があり、もうこれ以上待つことはできない」と表明した。彼はロイター通信に対し、次のように述べた。「もし、ヨーロッパ側が合意を実行する気があり、また同様に彼らがこの時間を無駄にしたくないと考えているとの感触が得られるならば、エスファハーンの原子力施設での原子力活動再開を数週間延期するのは難しくないだろう」。彼はさらに、次のように強調した。「この施設の運転再開は絶対である。エスファハーンの原子力施設でウラン濃縮関連活動が行われるだろう。数週間前警告したように、イランは、欧州諸国の反対に関わりなく、この施設での活動を再開するつもりである」。イラン国家最高評議会広報委員会書記も、欧州3カ国とテヘランの交渉が決裂した場合に言及し、「交渉が決裂したとしても、特に何も起きないだろう」とした。彼の言によると、「イランはヨーロッパ外相の要請に対して非礼とならぬよう、この誘いを受け入れたのであり、たとえ交渉から何の結果も生まれないとしても、欧州に与えた機会というものは、イランにとっては特権を与えたようなものだったと、あとで考えられるようになるだけである」。アリー・アーガーモハンモドは、「彼らとはいかにしても妥協し得ないとの結論に至ることになるだろう。その場合、当然、われわれは然るべき道へ、すなわち15日前に決意した行動へと、戻るだけである」。ロウハーニー氏もまた、次のように語った。「今の段階で交渉可能なのは、エスファハーンの原子力施設の運転再開の条件とそれに関わるタイム・スケジュールであり、他には何もない」。

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( 翻訳者:南龍太 )
( 記事ID:93 )