イラン安保理付託に前向きな国は米仏のみ シャルグ紙
2005年09月07日付 Sharq 紙

2005年9月7日付シャルグ紙5面(外交面)
【外交部:アーザーデ・エフテハーリー】イラン核開発問題の安保理付託と、ありうべき国連制裁に対するロシア、パキスタン、中国の明確な反対表明に続き、ここにきてアメリカと共同歩調をとってイランに対して圧力を強めていたヨーロッパの大国イギリスが、自らの従来の立場から後退する様相を見せはじめている。

 ガーディアン紙はこの点に関して以下のように記している。「イギリス政府は、イラン核問題の安保理付託を推し進めている国々から距離を置くために、イランの核開発計画に対する口調を弱めている。英仏独は2年間にわたり、イランに対して政治的、経済的インセンティヴを提示することで、その見返りとしてイランの核開発計画に制限を設けようと試みてきたが、イランがエスファハーンの〔ウラン転換〕施設でウラン濃縮関連活動を再開したことを受け、イラン核問題を安保理へ報告すると公言した」。ガーディアン紙はその上で、イギリス当局関係者の最近の発言に言及し、「同氏は自らの発言のなかで、イランに対する制裁を強調せず、ソフトな口調を用いていた」と指摘している。

 ガーディアン紙はさらに、「国際原子力機関(IAEA)理事会メンバー国の多くがイランに対する制裁には反対しており、なかでも(国連安保理の常任理事国である)ロシアが明確に反対の意を明示したことで、イギリス政府を取り巻く情勢はより困難なものとなっている」と記している。クレムリンのある高官は、イラン核問題の安保理付託に反対の意を示しつつ、「イランは国際法に違反した行為を行ったわけではなく、制裁を加える理由はない」と述べている、というわけである。

 フィナンシャルタイムズ紙もまた、ロシアが安保理付託に反対していることについて触れ、「ロシアの反対は、イランに対して国際社会のコンセンサスを得ようとするアメリカやEUの努力を損なうものである。実際、プーチン・ロシア大統領は対イラン制裁に強く反対してきた」と記している。

 フィナンシャル・タイムズ紙はさらに、次のように書いている。「イランに関する国際社会の意思決定は、9月19日のIAEA理事会を前に、EUとアメリカが外交的なプロパガンダを通して、イランに対する外交圧力を強めようとしている中で、行われることになる。しかしEUは、イランに対する経済制裁を追求しているのではなく、単にエスファハーンでの活動停止をイランに促すための安保理決議を想定しているにすぎないと強調している」。

 あるヨーロッパの外交官は、「EUは中国とロシアを説得させる方法について、きわめて困難な課題に直面している。というのも、両国とも状況を慎重に見極めようとの姿勢を崩していないからだ」と述べている。その上でフィナンシャル・タイムズ紙は、次のように論じている。「アメリカとヨーロッパは、単純な多数決によって、IAEA決議採択に必要な票を得ることは可能であるが、彼らが狙っているのは、IAEA理事会のコンセンサス、とくにロシアと中国の同意である。というのも、両国とも安保理常任理事国であり、決議案に対する拒否権を有しているからだ。結局、ロシア・中国両政府の支持を得ずして国連安保理へのイラン核問題の付託が行われた場合、イランに対して〔国際社会の〕断固たる外交的対応が示される代わりに、行き詰まりに直面するだけであろう」。

 その一方でロイター通信は、いわゆるヨーロッパ・ビッグ3(英仏独)の立場に亀裂が生じはじめていることを報じている。イギリスの後退に続き、ドイツ当局もまた、圧力を増大させるのではなく、外交的な解決方法を模索するべきだと発言しているのである。ドイツ新外相への就任が予想されているウォルフガング・ゲルハルト氏は、「イラン核問題を安保理に送るべきではない」と述べている。

 ロイター通信はさらに、中国が対イラン制裁に反対していることについて、つぎのように記している。「EUと中国の間で開かれる会議では、イランの核開発計画、そして同国の核の脅威を管理することに中国がどのような役割を果たすことができるのかについて、議論されることになるだろう。ハビエル・ソラナEU共通外交・安全保障上級代表はかつて、イランの核への野望を抑えるべく、中国政府の協力を求める発言を行っている」。ロイター通信社はまた、別の箇所で、パキスタン当局も自らの西に位置する隣国イランへの制裁に対して反対の意を表していることを伝えている。

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( 翻訳者:柴田愛子 )
( 記事ID:821 )