レバノン国内は対話の雰囲気 イスラエルの領空侵犯に非難(アル・ナハール紙)
2006年10月14日付 Al-Nahar 紙

■ ベイルート南部郊外における治安関係者異動 住民支援のメカニズムを本日発表
■ ビッリー国会議長、本紙に「対話が期待できる雰囲気」
■ フランス:レバノン領空を国際的に管理する方向へ

2006年10月14日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

 レバノン国内情勢の晴雨計はいまだ「晴天」を指し示している。それゆえ、列国議会同盟(IPU)の第115回総会に参加するため今日ジュネーブへ出発するナビーフ・ビッリー国会議長は本紙に対し、「ここ10日間は行き詰まりの状況が和らぎ、対話の論理が優勢になっている」と感じていると語った。またビッリー議長は、明日「国民自由潮流」が開催する10月13日記念追悼大会[※訳注:レバノン内戦末期の1990年10月13日、当時のアウン暫定首相率いる反シリア勢力がシリア軍・レバノン軍の総攻撃により壊滅的打撃を受けた。アウン氏はその後フランスへの亡命を余儀なくされ、これによってレバノン内戦は終結に到る]において、「変化と改革ブロック」代表であるミシェル・アウン議員が発言する内容に期待していると話した。

 ビッリー議長はアラブ世界と国際社会の情勢に触れ、「期待できる雰囲気である。しかし私は100%安心しているわけではない」と述べた。「シリア・エジプト会談」および「サウディアラビアとシリアの関係の開放」に期待するとも語り、「吉事を信ぜよ、されば見出すであろう」と締めくくった。

■ サイダのタウミール地区

 スイスへの出発に先立ち、本日午前中ビッリー議長はアイン・アル=ティーナ[※訳注:ビッリー議長官邸の所在地]において、サイダのタウミール地区の状況に対処するための会議を主催する。議長の表現によれば、「レバノンやパレスチナの進むべき方向から逸脱した騒乱の拠点になるのを避けるため」だという。議長は会合の目的は「この地区に法の支配を導入すること」であると説明した。またビッリー議長は治安責任者の会議に参加する予定である。この会議にはバヒーヤ・アル=ハリーリー議員、ウサーマ・サアド議員のほか、アマル、ヒズブッラー、その他パレスチナ各派の代表者が参加する。

 ビッリー議長は、10月16日から18日にかけて開かれる列国議会同盟の総会でレバノンは、「レバノンにおけるイスラエルの諸犯罪」に関する緊急の議題を提出することを目指すと表明した。この議題は「北朝鮮の核爆発実験」に関する緊急議題と競合しており、議題の選択は支持の大きさ次第であるため、レバノンは議題への支持を取り集めるべく取り組むという。

■ セニョーラ首相

 フアード・アル=セニョーラ首相は本日午前11時半に首相府において記者会見を開き、イスラエルの対レバノン戦争の結果、ベイルート南部郊外で破壊されたり損傷を受けたりした住宅のための支援のメカニズムと支援金額について発表した。

 この措置は、イスラエルの攻撃による後遺症を除去するための政府の取り組みにおける最終段階の諸措置の締めくくりとなる。

 本紙の得た情報によれば、本日発表されるベイルート南部郊外の住宅所有者に対する支援の金額は、レバノン南部の住宅所有者に対して決定した支援金額よりも大きく、これは物価や費用や共同所有権の違いによるものである。

■ 治安部隊

 アル=ラムル・アル=アーリーでの事件から始まった事態に対応するため、国内治安部隊本部による措置の一環として、同部隊のアシュラフ・リーフィー長官は昨夜、南部郊外の部隊の異動命令を発表した。異動の内容は以下のとおりである。

(中略)

■ ハリーリー議員

 「ムスタクバル・ブロック」代表であるサアド・アル=ハリーリー議員は、国連事務総長の在レバノン個人代理ゲイル・ペデルセン氏と面会した。ペデルセン氏は、南部に展開している国連レバノン暫定軍(UNIFIL)とレバノン国軍との協力状況は「非常に良い。南部住民との関係も同様に良い」と発表した。ガジャル村問題の解決の実現については「レバノンの利益となる」と楽観的見解を表明し、イスラエルはレバノン領空においてイスラエルの戦闘機が行っている飛行活動を全て停止し、レバノンの主権を尊重する必要があることを強調した。

■ 南部

 さる外交筋の説明によれば、現在レバノンは国連安保理決議第1701号の履行に関するデータの収集に専念している。このデータをコフィー・アナン国連事務総長へ提出する準備であり、アナン事務総長は現状についての報告書を10月19日に安保理へ提出することになっている。

 このデータは、イスラエルによる陸空におけるレバノン主権の侵害に焦点が置かれている。

■ フランス

 パリでは昨日、フランス外務省のジャン=バティスト・マテイ報道官が、「フランスはイスラエル機によるレバノン領空侵犯を非難する」と発表した。

 同報道官は、フランスが「国連においてレバノン領空を管理するための原則づくりに取り組んでいる」と述べた。



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( 翻訳者:森本詩子 )
( 記事ID:3756 )