UNIFIL司令官がレバノン領空侵犯阻止に武力行使を提案(アル・ナハール紙)
2006年10月20日付 Al-Nahar 紙

■ ペジェグリニ司令官、レバノン領空侵犯阻止に武力行使を提案 イスラエルが反発
■ シラク大統領、ハリーリー議員に「第3回パリ会議は必ず成功する」「情勢は危険だがレバノンの一体性に関して取引はしない」

2006年10月20日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

 2007年1月15日の第3回パリ会議開催のための政府の準備活動が活発になっている。フランスのジャック・シラク大統領が「ムスタクバル・ブロック」代表であるサアド・アル=ハリーリー議員とエリゼ宮殿で昨夜行った会談の中でも、パリ会議の件は最も重要な話題の一つになった。

 フアード・アル=セニョーラ首相は昨日の閣僚会議で、パリ会議の準備の一環としてアラブ首長国連邦、オマーン、カタール、日本、ロシアを歴訪することを報告した。いっぽう最近レバノンを訪れた国際通貨基金(IMF)の代表団も同じくパリ会議の準備のため近々ベイルートを再訪するであろうと伝えられている。

 また閣僚会議はベイルート圏における監視カメラ網の設置に合意し、国内治安部隊(交通管理本部)の司令室に直結させることを決定した。最初の段階としてベイルート圏一帯で設置を行い、この試みが成功すれば、他の地域にも高速ファイバー装備の同様の監視網を設置し、この地域の国内治安部隊の設備や司令室と直結させ、ひいてはレバノン全域に広げることになる。

 この二つが今回の閣僚会議の中心的な議題であったが、政権交代を主張する意見がひきつづき提起されるなかで、閣僚会議会合の前後に発表された複数の声明は政治情勢に緊張の影を落とした。

 ヒズブッラー所属の議員と閣僚が昨日表明した立場には、強硬な姿勢と鎮静化を試みるものとの間である種の「役割分担」がうかがわれた。ムハンマド・フナイシュ電力・水資源相は、「国民全体の要求である挙国一致政府の樹立をめぐる相互理解」が成立しなければヒズブッラー所属の閣僚が政府から辞任する可能性を否定しなかった。

 しかしセニョーラ首相はムハンマド・ラアド議員およびヒズブッラーのナイーム・カースィム副書記長の声明に答えて「私たちは今、植民地国にいるのか?私たちは毎日、愛国心について誓言をせねばならないのか?戦争を終結させるために尋常ならざる活動を展開してきたこの政府の中で神を畏れ正しく振舞おう。何人たりともこの政府を非難することは許されない」と述べ、「今日私は、私には決定を行う勇気がないのだという話を聞いた。...もう一度よく考えてみたなら、そんな言葉は言えないだろう」と語った。

(中略)

■ ペジェグリニ司令官

 国連レバノン暫定軍(UNIFIL)増強部隊のアラン・ペジェグリニ司令官は、国連がUNIFILの任務規則を変更し、イスラエル空軍機によるレバノン領空侵犯を阻止するため武力の行使を可能にすることを提案し注目を集めている。

 ペジェグリニ司令官はニューヨークの国連本部で記者会見を開き、国連は現在イスラエル軍のレバノン領空侵犯を停止させるための試みとして外交的手段のみに依拠していることを説明し、「この外交的手段が十分でないならば、その他の手段を用いることもあり得る」と述べ、レバノン駐留フランス軍部隊に装備されている対空ミサイルの使用を示唆した。

(中略)

 しかしある外交官はペジェグリニ司令官の声明が発表された後にAFPの質問に答えて、UNIFIL増強部隊の任務規則を変更することは現時点ではあり得ないと述べた。

(中略)

 イスラエルはペジェグリニ司令官の声明を非難し、イスラエル外務省のマーク・レゲブ報道官はAFPに対して「次から次にイスラエルに要求を突きつけるのはたやすいことのようだが、我々はこれを非難する。我が軍は3週間前にレバノンを撤退し、国連安保理決議第1701号の重要な項目を履行した。...しかし客観的な見方の出来る者ならば、レバノン側は決議を履行していないということを認めねばならない」と述べ、「第1701号決議に反して、ヒズブッラーが拉致したイスラエル軍兵士2人は未だに解放されておらず、リタニ川以南におけるヒズブッラーの軍事力の解体も行われておらず、ヒズブッラーに対する武器の供給はつづいている」と指摘した。

(後略)



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( 翻訳者:香取千晴 )
( 記事ID:3779 )