UNIFILドイツ軍艦艇にイスラエル軍機が発砲か(アル・ナハール紙)
2006年10月28日付 Al-Nahar 紙

■ ロシア政府:ヒズブッラーの武装解除におけるUNIFIL(国連レバノン暫定軍)の能力を疑問視

2006年10月28日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

【AP、AFP、ロイター、MENA(中東通信社)、UPI、本紙】

 ドイツ政府高官は昨日、レバノン沿岸において調査データを収集しているドイツ艦の上空でイスラエル軍機が発砲を行ったと明言した。ドイツ、イスラエル両国とも実際に起こったことについて相異なる情報を発表している。ロシアのセルゲイ・イワノフ国防相は、国連レバノン暫定軍(UNIFIL)がヒズブッラーの武装を解除する能力について疑問を呈した。

 ドイツ海軍のトーマス・ラーベ報道官は、ドイツ艦「アルステル」(83メートル級)は、今回増強されたUNIFILの活動の一環としてレバノン沿岸での武器密輸を防止するために同地域へ派遣されたドイツ艦隊のリストに載っていないことを述べ、「アルステル」が沿岸50海里(90km)の水域にいたところ、イスラエルのF16型機6機が上空を旋回し、照準を定めずに空中に射撃を行った、と説明した。さらに、武装していないドイツ艦「アルステル」が現場にいたのは、UNIFILの海軍部隊を護衛するためであると述べ、イスラエル艦船が今夏のヒズブッラーとの戦闘の際にミサイルで狙われたことに想起を促した。

 イスラエルがドイツ艦の上空を飛行した動機について質問され、ラーベ報道官は、「憶測は述べたくない。危険な背景があるとは思わない」と答えた。また、イスラエルには中東情勢を理由とする安全保障上の強い必要性がある、とも述べた。イスラエルがドイツ政府に対してどのように釈明するかについては明確にしたがらなかった。

 イスラエルは声明を発表し、イスラエル機は火曜日に、イスラエル軍への通知なしにドイツ艦から発進した1機のヘリコプターに接近した、と述べた。イスラエル側は発砲を否定している。声明は、「10月24日の朝9時、ドイツ艦1隻とヘリコプター1機がロシュ・ハニクラ(ラアス・アル=ナークーラ)の沿岸近くで目撃された。同ヘリコプターは同地域における飛行通知を行っていなかったため、空軍は同地域へ数機を派遣した」と述べ、「イスラエル機は発砲しなかった。現場にいた飛行機の数について詳細は述べられない」としている。

 ドイツ海軍のラーベ報道官は、このヘリコプターについて質問され、「言うことができるのは、このヘリコプターがドイツ艦アルステルから60kmの距離にいたことだけである」と答えた。UNIFIL参加ドイツ海軍部隊のアンドレアス・クローゼ司令官を乗せていたという。

(中略)

 ドイツの野党である自由民主党のギド・ヴェスターヴェレ党首は記者らに対し、「これこそ、まさに我々がずっと警告してきた状況である」と述べた。

 また自由民主党は、海軍派遣を許可する方向へ議会を誤って誘導したことや、ヒズブッラーへ供与される疑いのある武器への対処を海軍部隊に一任したことについて、政府の責任を咎めている。ドイツでの報道によれば、ドイツ海軍UNIFIL参加部隊の艦船は、レバノン当局の要請に基づき、レバノン沿岸から6海里までの範囲でのみ活動を許されている。

(中略)

■ ロシア イワノフ国防相

 モスクワでは、イワノフ国防相がロシア連邦議会に対し、「国連決議に基づく平和維持軍の任務のひとつは、ヒズブッラーの武装解除である。私は国連がこの任務を実行できるかどうかを実に疑わしく思っている」と述べた。

 イワノフ国防相は、この理由からロシアの軍人はレバノンに派遣されたが、それはレバノン政府との二国間協定の枠内のことであり、UNIFILの任務の一環ではないと説明した。

 ジャカルタでは、インドネシア軍広報本部のアフマド・ヤニ・バスキ局長が、レバノンにおけるインドネシア部隊の展開があらたに11月24日まで延期されたことを発表した。

 バスキ局長は、この851名から成るインドネシア軍の大隊は10月28日(本日)、および11月3日と4日に出発する予定であったが、11月24日まではレバノンへは向かわないことになった、と述べた。

■ ワシントン・ポスト紙

 ワシントンでは、昨日「ワシントン・ポスト」紙が社説で「レバノン・イスラエル国境での戦争行為停止から2ヶ月が経過し、良いニュースは、平静が支配していること、また、しばらくはこのままであろうとみられることである」「しかし悪いニュースは、大小にかかわらず戦闘を勃発させることになった全ての要素に関して情況が好転していないことである。すなわち、ハマースとヒズブッラーはイスラエル軍兵士を拉致したままであり、イランは地域の大国となることを追求している」と述べた。

 さらに同紙は、ヨーロッパ諸国主導のUNIFILはこの地域に戦闘の一時停止をもたらすかもしれないと述べた後、「しかし、イスラエルとパレスチナ人の間で新たに戦闘の火蓋が切られる危険性が高まっている。おそらくイスラエルとシリアの間でも同様である」と述べている。また、自身を今夏の戦争の勝者とみなしているシリアのバッシャール・アル=アサド大統領が、「敵対的な発言を行い、イスラエル・シリア間で戦争が起きる可能性を公然と警告している」と指摘している。これに関連して同紙は、イスラエルが最近シリアのゴラン高原で軍事演習を行ったことや、アサド大統領が「軍事戦略家であるハマースの指導者ハーリド・マシュアル氏」を客人として遇しつづけていることに言及している。マシュアル氏は、6月にイスラエル国内での軍事攻撃を命令した人物であり、その攻撃が戦闘へと発展した。ワシントン・ポスト紙は、このままの状態が続けば、「中東がさらに過激化するよう助長するというイランの目的」に資することになり、それによってイスラエル、エジプト、アメリカ合衆国が損失を蒙ることになると述べ、これら諸国は交渉や信頼構築の時機が過ぎつつあることを認識せねばならない、との見解を示している。



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( 翻訳者:森本詩子 )
( 記事ID:3809 )