地方議会選で優れた市政公約は見られず ハムシャフリー
2006年12月11日付 Hamshahri 紙

2006年12月11日付 ハムシャフリー

【都市部】一部の専門家たちは本紙の取材に対し、「過去2回に比べて、今期は市政と無関係のスローガンは少なくなってきてはいるが、依然として選挙活動において提示された多くの市政公約は現実味が薄い」と強調している。

 本紙記者の取材によると、最も明確な地方議会の義務は市の行政の監督であり、最も重要な市の義務は都市の公共福祉、交通、都市建設の整備であるのだが、候補者の多くは、貧困撲滅、就業機会の創出、賃貸者への住宅供給、若者への[健全な]娯楽提供などといった、市政の中で実現する事ではないようなスローガンを掲げている。

 報告によれば、市政の領域により近いスローガンを掲げる候補者たちでも、このスローガンを実現するための自身の計画に全く言及していないという。なぜなら、基本的にこれらのスローガンが市政の本質と矛盾している点があり、例えば、住宅開発に向けた法案の現実的な執行は、都市の無計画な拡大を阻止する要求との間に矛盾を孕んでいるのである。

 この事について、エコロジストで大学教授のモハンマド・ジャマーリー博士は、本紙の取材に対し、「テヘランの長期的展望に基づく整備に対する総合計画を練るためには、建築制限、市役所財源増収のための新たな使用税の制定、市民権と市民の義務との均衡化、自家用車使用の本格的な制限の設定、都市の物理的拡大の阻止、禁止地域や他の非認可地域における〔住宅〕建設に対するより本格的な対策、そして都市流入者の制限さえも視野に入れた厳格な法案を合わせて執行することが必要だが、これら各法案は多くの市民にとって大きな問題となりうる」と指摘した。

 同氏は、「地方議会選挙の選挙活動における誠実な公約とは、各候補者が市の今後の展望を示す際、厳密に何が優先されべきであると考えているか(通常、市の問題の全てを一期4年で解決することはできない)、またこの優先事項によって、市民のどのグループがより多くの利益を得て、どのグループがより損害を被りそうかを、きちんと言うことである」と述べ、「市民は一人の候補者を注意深く選ぶことで、都市空間の整備のために何を優先し、それに関するどの損失を自発的に受け入れる用意があるのかを表明することになる」と加えた。

 都市建設に携わっており、科学産業大学建築学教授であるモスタファー・ベフザードファル博士もこの事について、「市議会によるテヘランのような都市の行政のためには、もちろんのこと市議会に参加する人物の政治経歴を看過することはできないが、そのような人物は政治的である以上に、都市に関する知識を持った人物であることが必要であろう。地方議会を一政治基地として見なす事は決して論理的な事ではないからだ」と強調する。

 同博士は、「これまでは政治的経歴のある議員が常に、テクノクラートの考え方を都市行政に適用する人々より優勢であった。イランでは政党政治や民主主義思想がないために、このようなアプローチも正しいのかもしれないが、しかし〔西欧のように〕政党やグループによる秩序だった構造があるところでは、テクノクラートが常に市政運営の軸として、各党派の政治的経験に依拠しつつ、市民によって市政の責任者に選ばれるものだ、ということを忘れてはならない」と述べた。

 さらに、テヘラン大学の同教授は、テクノクラートが他の国々において様々な政党に属し、各政党の政治権力を持つ人々と並んで活発に活動していることに言及して、次のように加えている。「〔西欧では〕市政の責任者を選出する際に、競争の輪の中に入ってライバルと争うのはテクノクラートであり、政治家ではない。しかし、イランではこのやり方が存在しないため、地方議会や市の行政に政治的な勢力が入り込んでしまっている。彼らのこのような存在は常に〔市政の円滑な運営にとって〕悩みの種となっている。なぜなら彼らは、市とその問題については何も知らないまま、政治的な取引にのみ依拠して、ほとんど知らない領域に入ってくるからだ」。

(中略)

 この[都市開発]分野での持続的開発の専門家であるアルミーラー・イールヤーティー博士は、テヘランが現在、都市生活者の非常に複雑な数々の課題に直面しており、その意味で、世界で最も危機的な大都市の一つに数えられていることに言及して、次のように述べている。

 「市の交通は現在非常な渋滞にあり、大気汚染によって年間8千人のテヘラン住民市民が命を落としており、都市の生活圏はひどく危機にさらされている。市の社会的安全は、郊外の居住地が無秩序な拡大を続けているために、日々さらなる脅威にさらされており、教育現場、休暇、娯楽、文化の水準は世界のそれを下回っている。地震も市にとって大きな脅威だ。一部の議会選候補者の選挙活動のスローガンを読むと、彼らはジュネーブ、ウィーン、シドニーの市議会選挙に立候補したかのように思っているようだ。本当に4年でテヘランを幸福な、緑あふれる、美しく住み心地の良い町に変えることができるのだろうか」。


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( 翻訳者:真塩和也 )
( 記事ID:4153 )