オフサイドからの脱却‐女性のスタジアム入場の一端で シャルグ紙
2006年04月25日付 Sharq 紙

4月25日付シャルグ紙一面巻頭論文

【ペジュマーン・ラーフバル】サッカーナショナルチームに混じって、キーパーのエブラーヒーム・ミールザープールにペナルティーキックを数本お見舞いしてから一ヶ月半近く。マフムード・アフマディーネジャードは、イラン人女性のサッカースタジアム入場禁止を扱ったジャアファル・パナーヒー監督の映画『オフサイド』がヨーロッパの国々で上映される中、自らの任期二度目の政治‐スポーツ行動を発表する。なんとアフマディーネジャードはオフサイドフラッグを下げるよう副審に求めている。というのも、今後スタジアムは「オフサイドエリア」でなくなるからだ。彼はモハンマド・アリーアーバーディー体育庁長官宛の手紙の中で、女性の厳かさのために正しく適切な計画を立て、ナショナルチームクラスの大事な試合が行われるスタジアムの観客席の中でも最も望ましい部分を女性と家族連れ専用に割り当てるよう指示した。

 これは物議を醸す決定で、すぐさま世界中のメディアで大なり小なり報じられた。イラン大統領からの意表を突く新ニュースである。先月のトップニュースも彼の口から飛び出したわけだが、今度のものはイランの核燃料サイクル達成のニュースと違い、一見逆説的な論理をはらむ見地から注目に値する。というのも、オフサイドルールを修正するような立法者には彼はとても見えなかったからだ。一目で、女性のスタジアム入場を唱えるような人よりずっと原理主義者に映る彼である。

 経緯を説明するため、少し前に戻ろう。イランのワールドカップ進出が決まった(対バーレーン戦の)日、政権の座にある日も残りわずかだったセイイェド・モハンマド・ハータミーは、男衆の歓声が轟く試合の外で「スタジアム入場」の市民権獲得を声高に叫ぶ女性たちの集会が開かれている中、生まれて初めてアーザーディー・スタジアムに足を踏み入れた。注目に値するのは結集した女性たちが改革主義と社会的自由の象徴だったハータミーに期待をかけていた点だ。8年間の大統領時代、スタジアムをめぐるこの要求の実現に向けて努力したその人だったからだ。だが様々な反対に遭い、また言わずもがな過激派勢力との衝突を避けるため、計画を中止した。

 そして今、この人がいることでさらなる制限が増えるかに見えるマフムード・アフマディーネジャードが指示している計画は、モフセン・メフルアリーザーデ元体育庁長官がその実施はイスラーム法学者や大アーヤトッラー(シーア派の最高位指導者の称号)たちの意見次第だと考えていたものだ。ここで触れておかねばならないことは、政権構造の深部に食い込んでいる者ほど当然仕事を遂行する力があるということだ。これはアフマディーネジャードの国政運営に特徴的な点であり、まさにこのことは、対する大統領時代のセイイェド・モハンマド・ハータミーにとって大きな障害となっていたようだ。アフマディーネジャードと違い、ハータミーは権力にあるときも毎日のように、リスクを伴う決定事項を実施するにあたって大きな困難を抱えていた。現大統領はおそらく、バッドヘジャーバーン(着衣が乱れている女性たち)が処分されることになるという噂が高まる中、このような新たな可能性を与えることで、これまでより優越した立場に立つことを期待しているのだろう。

 これにかんし述べるべき点は大いにある。これ以前に権力を握っていて、かつて反対されたことを今言ってくる人々から出てきそうな皮肉に始まり、こんな問いかけまで:権力、権力の存続、そして原理主義の間にはどんな関係があるのか? この新案は原理主義で鳴らしている政府のスローガンに、ある意味相反しているのではないか?


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( 翻訳者:吉村 かすみ )
( 記事ID:2292 )