米との直接交渉を歓迎:ラーリージャーニー シャルグ紙
2006年06月14日付 Sharq 紙

2006年6月14日付シャルグ紙2面

【政治部】アリー・ラーリージャーニー国家安全保障最高評議会書記は昨日、エジプト及びアルジェリア両国への外遊を終え、帰国した。

 同書記の外遊は、イラン核活動に対するアラブ諸国の懸念の払拭を目的としたものであったのと同時に、IAEA理事国である両国の政府当局者とイラン核問題に関して協議するという目的も合わせ持っていた。

 同書記はそれ直前には、イエメンも訪問していた。しかし同書記の3日間にわたる外遊先としてもっとも重視されていたのは、エジプト訪問であった。イランとエジプトの冷えきった外交関係の中で、アリー・ラーリージャーニー書記とホスニー・ムバーラク大統領は地域の諸問題、中でもとくに核問題を最重要問題として話し合った。とはいえ、この会談の内容については、短いニュースとして報じられているにすぎない。

 核問題について話し合うために、国家安全保障最高評議会書記とその随行員を乗せた飛行機が向かった二番目の目的地は、アルジェリアであった。同国は、昨年のバフマン月15日〔2006年2月4日〕のIAEA理事会決議では、エジプトとは異なり、棄権票を投じていた。

 エジプトはラーリージャーニー書記の最近の外遊先であるアラブ三カ国のなかで、もっとも中心的な位置を占めており、会談では核問題だけでなく、イラン・エジプト両国の国交正常化問題も話し合われたと指摘されている。このような指摘に対し、ハミード・レザー・アーセフィー外務報道官は定例の記者会見で、イラン・エジプト国交正常化問題は、核問題とは別のチャンネルで行われると表明している。

 ともあれ、先週水曜日にスタートした外遊の訪問先であったエジプト及びアルジェリアの政府当局者との会談において、ラーリージャーニー書記はイランの核計画は平和利用を目的としたものであり、地域諸国に危険を与える者ではない旨、またイラン原子力計画に対するアラブ諸国の懸念を払拭すべく努力する旨、表明した。サウジアラビア、オマーン、アラブ首長国連邦、カタル、バーレーン、及びクウェートからなる湾岸協力会議(GCC)は、ラーリージャーニー書記が外遊をはじめる前の週、イラン核計画による自然環境の汚染の危険性について、懸念を表明していた。このような懸念は、これまでも何度か表明されている。

 ▼われわれは懸念を払拭する用意がある

 ラーリージャーニー書記は月曜日、アルジェリアにて「イランは核計画に関し、西洋諸国とあらゆる建設的かつ理性的な協議を行うことにも反対しない」旨強調した。同書記はまた、「ウラン濃縮活動は、イランと西洋諸国との協議においてもっとも重要な問題である。もしウラン濃縮活動の停止が提起されるならば、協議は問題の本筋から逸れてしまうだろう」と述べた。その上で、ラーリージャーニー書記は改めて、「イランは核爆弾の製造を追求してはおらず、そのようなものを獲得する意思はまったくない」と説明した。

 同書記はアルジェリアの首都アルジェでの滞在期間中、アブドル・アズィーズ・ブーテフリカ大統領とイラン核問題について意見交換し、その後「アラブ世界の全ての国は、イランの側についている」と明言した。ラーリージャーニー書記はまた、「イランは核計画をめぐるあらゆる懸念を払拭する用意がある」と語った。

 ▼米との直接協議を歓迎

 ラーリージャーニー国家安全保障最高評議会書記は、アルジェリア訪問においてもう一つの重要な内容を語っている。それは「われわれは、アメリカとの直接協議を歓迎している。ただし、アメリカ政府がわれわれ、そして地域の諸問題に対する自らの言動を変えることが条件である」という発言だ。

 ファールス通信の報道によると、ラーリージャーニー書記はまた、アメリカが他国との関係においてダブルスタンダードを採用しているとして批判し、アメリカ政府とインドとの核協力をその顕著な例として挙げた。

 ラーリージャーニー書記はさらに、次のように語った。「もちろん、インドはイランの友人であり、われわれはインドが他のどの国と核協力を行おうとも、われわれにとって問題はない。インドは核爆弾を保有し、NPTにも加わっていないにもかかわらず、アメリカはインドと原子力協力を行う一方で、イランに対しては、敵対的かつ脅迫的な態度を見せているということが、問題なのだ」。

 同書記はイスラエルによるイランに対する攻撃の可能性について、次のように語った。「もしイスラエルがイランを攻撃するようなことがあれば、それは大いなる過ちとなろう。なぜなら、いまや地域におけるイスラエルの位置は、脆弱だからだ」。さらに「もしイスラエルがこのような過ちを犯せば、われわれの側からすぐにでも、手厳しいしっぺ返しを受けることになるだろう」と強調した。

 ラーリージャーニー書記はまた、イラクのアル・カーイダ首領アブー・マスアブ・アル=ザルカーウィーのテロにイランがかかわっていたのではないかとの主張に対し、それを否定した上で、次のように述べた。「あなた方の目は節穴か?イラクのヌーリー・マーレキー首相がすでに説明したように、ザルカーウィーはイラク市民とヨルダン及びアメリカの情報当局の協力によって殺害された。このことに疑問の余地は一切ない」。さらに「われわれはザルカーウィーのやり方を支持してはいない。〔不正義に対して〕テロ行為によって応えることは、大きな間違いであると、われわれは考えている」と付け加えた。

 こうして、IAEA理事国であり、また非同盟諸国運動に加わっているアラブ=アフリカ2カ国への外遊から、アリー・ラーリージャーニー国家安全保障最高評議会書記は帰国の途に就いたのであった。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:2738 )