コラム:テヘラン会議とイラクの治安 ハムシャフリー紙
2006年07月09日付 Hamshahri 紙

2006年7月9日付ハムシャフリー紙

【アリー・アスガル・モハンマディー】1991年クウェートから撤退を余儀なくされたサッダーム政権はその後弱体化し、地域の安全とその安定維持の鍵を握るアクターとしての役割を演ずる力を失った。そのような状況の下、〔湾岸戦争後〕イラクの重要な近隣3カ国であるトルコ、シリア、そしてイランの外相が、共同でイラクの動向とそれが地域の平和と安定、安全に与える影響を検討し、自らの外交政策を互いに調整する目的で協議を行なった。

 サッダーム政権の崩壊とアメリカ軍によるイラク占領に伴い、上記3カ国に加え、他の地域諸国もイラクの動向とそれが自国に与える影響を注視するようになった。こうした経緯で、エジプトも交えてイラク近隣諸国の外相が一堂に会することは、これまで以上に必要なものとされるようになったのである。雌伏のときを経て、今再びテヘランでこの会議が行なわれようとしている。

 これらの国々がこれまで注視してきた地域の安全とそれに対するイラク情勢の影響が、おそらく最も主要なテーマとなるだろう。一連の事件を見る限り、イラクで生じている数々の衝突に終わりを望むことなどできそうにないが、しかし体制作りが進み、その強化が図られることによって、イラクにおける治安の危機をかなりな程度コントロールすることも可能だ。イラク社会の支配的な特徴に注目するならば、自らが望むことを実現させることなど、アメリカには不可能である。すなわち、イラクでの政権作りは次第に独自色を帯びるようになり、それは一つの国民的現実へと変貌しつつあるのだ。

 最初はこのプロセスの受け入れに難色を示していたアラブ諸国の一部も、今では現実を受け止めているようだ。マーリキー・イラク首相がペルシャ湾岸協力会議を構成する一部の国々を相次いで訪問し、それらの国々がイラクの治安確立を支援し、合法的に成立した同国政府と協力する用意がある旨表明したことは、まさにこのことを物語っている。

 イスラーム諸国会議機構とアラブ連盟の事務局長も参加するこの会議の開催は、安全保障や政治、経済といった分野での各国間の、そして各国とイラク政府との相互協力のさらなる加速にとって、相応しい機会である。

 しかし、各国の諸問題は互いに切り離すことができないほど、地域諸国の命運は相互に結びついているというのも事実だ。それゆえこの会議では、イラク問題に加えて、シオニスト体制の圧政下にある抑圧されしパレスチナの民の運命にも注意を払い、イスラエルによるパレスチナ国民への侵略を阻止するため、あらゆる政治的手段の活用を模索する必要があろう。

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( 翻訳者:南龍太 )
( 記事ID:2959 )