イスラエル軍がレバノンを包囲、大規模爆撃(アル・ナハール紙)
2006年07月14日付 Al-Nahar 紙

■ 7月13日、イスラエルがレバノンを包囲・爆撃 ヒズブッラーと「領土爆撃戦争」

2006年07月14日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

 2006年7月13日。イスラエルはこの日付を、中東における戦争とレバノン侵攻の歴史の新たな一頁として刻み込んだ。陸上部隊による大規模侵攻が実際に行われたわけではないけれども。

 昨日から今日の早朝までひきつづいた戦争状態は、1996年の「怒りの葡萄」作戦以来レバノンがヘブライ国家との間で経験する最も激しい衝突である。イスラエルは陸上部隊で「ブルーライン」を侵犯するには到らなかったが、レバノンを世界から孤立させるべく海と空から集中攻撃を行い、全面包囲作戦に乗り出した。イスラエル軍は空港への爆撃と南部各地に残された橋梁の破壊では飽き足らずに集中砲撃を行い、1日目の時点で、複数の家族が全員虐殺されたことが明らかになった。最も残酷だったのはドゥワイルの町で、イスラエルの砲撃によって12人家族が全員殺害された。また、スール郡とビント・ジュバイルでも複数の家族が犠牲になった。

 イスラエルが空と海からレバノンを完全に包囲する方針を固めていることは明らかだ。その証拠にイスラエル軍は、昨朝ベイルート国際空港の全ての滑走路を爆撃して使用不能に陥れた後、空爆によって代替空港の使用も完全に不能にするため、リーヤーク空軍基地とアッカール郡のクライアート港を爆撃した。

(中略)

■ 閣僚会議

 レバノンでは観光客が姿を消し、湾岸国民数千人が昨日ダマスカスへ向かうなか、政府はアラブ諸国、ヨーロッパ諸国、アメリカ合州国および国連とのあらゆる外交上の連絡経路を動員して停戦に向けた努力をつづけた。

 レバノン当局は、政府内部で動揺が繰り返し発生するという重大な危機に直面している。そのため閣僚会議のマラソン会合が2度にわたって開かれ、現在の事態をめぐる政権の分裂が明るみに出るようなことのない立場を表明するべく、最低限の合意を形成する努力がなされた。

 こうした試みは最終的に、7箇条からなる閣僚会議声明に結実した。そのうち第6項目は重要な意義を有する項目であり、政府が祖国と国民の保護および安全と平和の維持に責任をもつこと、レバノン全土を統治し主権を行使し、国内外の問題に対する国家としての決定を下す権利と義務を有することが確認されている。

(中略)

■ 国際社会の動向

 レバノン・イスラエル間で激化している戦闘は国際社会の関心を集め、国連安保理は今日、イスラエルの侵略について協議するための会議を開催する。また、悪化する情勢は明日からロシアのサンクトペテルブルグで始まるG8サミットの議題にも取り上げられる。

 国連とEUは中東に特使を派遣し、地域全体を炎上させることになるかも知れない危険な事態について協議を試みる意向を表明した。一方、「ブルーライン」を挟んでの戦闘において「イスラーム抵抗運動」がイスラエル軍兵士2人を捕虜にして以降のイスラエルの軍事行動の激化については、各国の反応は異なっている。アメリカのジョージ・ブッシュ大統領は、現在起こっていることはイスラエルの自衛行為であるとしてイスラエルの行動を正当化し、シリアはヒズブッラー支援の罪によって裁かれねばならないと強調した。

 国連安保理議長国であるフランスのジャン=マルク・ドラサブリエール国連大使は、レバノン政府およびアルジェリアの要請に基づき緊急会合が開催され、レバノン・イスラエル両国の国連大使が出席する予定だと述べた。

 また国連のコフィ・アナン事務総長は、危機解決の支援を試みるためビジャイ・ナンビアール特別政治顧問を団長とする高レベルの代表団を中東に派遣すると発表した。

(後略)



Tweet
シェア


現地の新聞はこちらから

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:香取千晴 )
( 記事ID:3040 )