核問題の国連安保理への再提出に対するラーリージャーニー書記の声明全文 シャルグ紙
2006年07月22日付 Sharq 紙

2006年7月22日付シャルグ紙1面

【政治部:エフサーン・アブタヒー】イラン核問題が再度国連安保理で審議されることを受け、ラーリージャーニー国家安全保障最高評議会書記は木曜日声明を出し、いかなるものであれ、イラン国民の当然の権利を限定するような措置が採られるならば、イスラーム共和国としては核政策を見直す以外に方法は残されていない、と警告を発した。

 ラーリージャーニー書記によって発出されたこの声明では、「ブリュッセルでのソラナ代表との予備協議が行われた後、特にこれといった出来事は起こっていないにも関わらず、相手側の一部、言うならばアメリカが、話し合いの道から国連安保理〔でのイラン核問題の協議〕という道へと方針転換し、外交と話し合いの道に障害を設けようとしている様子を目撃することは、イラン・イスラーム共和国にとって実に驚くべきことである。もちろん、ヨーロッパとの話し合いの道は公明かつ正しい道であり、成果を生むことも可能である」と述べられている。

 ラーリージャーニー書記はまた、協議の相手側に対して、話し合いのテーブルへの復帰を求めている。さらに同書記は声明の中で、5+1包括提案に対する回答期日はモルダード月31日〔8月22日〕であると表明している。

 ▼ 声明全文

〔中略〕

「下記の通り、

A.イラン・イスラーム共和国は決定済みの計画に従い、2万メガワットの原子力発電を行うために、今後20年間で一部の核燃料を国内で生産する計画を立て、必要とされる燃料の供給へ向け努力している。

B.イラン・イスラーム共和国はつねに、核不拡散条約(NPT)が定める責務に従ってきた。これまで行ってきた活動は、核エネルギーの平和利用という、自らのNPTにおける明瞭かつ当然の権利に基づくものであり、他国もまた享受している、NPTで規定された諸権利以上のものを要求してはいない。

C.イラン・イスラーム共和国は過去三年以上に亘り、核に関する包括的保障措置協定に基づき、IAEAと完全に協力し、追加議定書を自主的に実施し、さらにそれが求める以上の協力を行ってきた。こうして、我が国は追加査察の対象となった、イラン各地53箇所以上に対する延べ約2千回の査察の実施のために、必要な便宜を図ってきた。同様に、イランのすべての核活動及び核施設は、IAEAの監視下に置かれている。

D.IAEAの報告によれば、未報告の核物質はイラン国内にはまったく存在しない。イランに存在する核物質はすべてIAEAに報告されたものであり、IAEAの検査を受けたものである。同様に、イランの核活動が核兵器製造の方向へと逸脱していないことは、IAEAによって明確に言明されている。

E.IAEA事務局長が表明しているように、未報告の核活動及び核物質が存在しないことをIAEAが確認することは、どの国であれ時間のかかる作業であり、イラン・イスラーム共和国に限ったものではない。〔IAEA理事国〕36カ国、就中西欧14カ国もその例外ではない。

F.イランの核活動に対する国際社会の懸念とは、限られた一部の国の懸念にすぎない。非同盟諸国116カ国の外相がマレーシアで採択した声明、イスラーム諸国会議機構57カ国の外相がアゼルバイジャンで採択した声明、イランの平和的核活動を支持するためにD8が採択した声明などは、国際社会の大多数が、〔先進国の〕これまでの差別的な方法に異を唱え、平和的核技術を獲得することを大多数の国から奪い取ろうとする不当なやり方に懸念を表明していることを示すものである。

 それゆえ、

1.イラン・イスラーム共和国は、外交的な方法を通じた話し合いによる解決の模索が重要であると強く信じており、きちんとした目標のもと、双方が合意する時間的枠組に則って話し合いを行う用意がある。

2.イラン・イスラーム共和国は当初より、新たなイニシアティヴから出された包括提案を歓迎してきた。そして、この提案を前向きに捉えつつ、国内の複数の専門検討委員会で真剣に検討してきた。この作業は今も続いている。このような提案を検討するには、それなりの時間が必要であることは当然である。専門の諸委員会で同提案を真剣に検討するため、モルダード月31日〔8月22日〕が見解の発表期日として設定されている。

3.ブリュッセルでのソラナ代表との予備協議が行われた後、特にこれといった出来事は起こっていないにも関わらず、相手側の一部、言うならばアメリカが、話し合いの道から国連安保理〔でのイラン核問題の協議〕という道へと方針転換し、外交と話し合いの道に障害を設けようとしている様子を目撃することは、イラン・イスラーム共和国にとって実に驚くべきことである。もちろん、ヨーロッパとの話し合いの道は公明かつ正しい道であり、成果を生むことも可能である。

4.もし話し合いの道の代わりに、対決の道を選択するならば、そしていかなるものであれ、イラン国民の当然の権利を限定するような措置が採られるならば、イスラーム共和国としては核政策を見直す以外に方法は残されていないだろう。また、イラン・イスラーム共和国は緊張を望んではいないが、しかしもし誰かが困難で緊張した状況を作り出そうとするならば、すべてが困難に直面することになるということは留意ありたい。

5.イラン・イスラーム共和国は話し合いと対話、相互理解の道こそ、問題の解決にとってもっとも合理的な道であると考えており、この道を進むことを真剣に決意し、また強調もしている。われわれは協議の相手側に対し、話し合いのテーブルに復帰することを求める。」

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:3065 )