イスラエル、レバノンへ限定的な侵攻、安全保障地帯設置を準備(アル・アハラーム紙)
2006年07月23日付 Al-Ahram 紙

■ イスラエル、南レバノンに安全保障地帯設置を準備
■ イスラエルによる集中的な空爆と限定的な侵攻続く。ヒズブッラーはハイファにミサイル弾を発射
■ ブッシュ、ライス長官の中東訪問前夜に、ヒズブッラーとの対決による危機の解消を要請

2006年07月23日付アル・アハラーム紙(エジプト)HP1面

【ベイルート、ローマ、ワシントン:ファトヒー・マフムード、ムスタファ・アブドゥッラー、ホダ・タウフィーク】

 イスラエルが陸・海・空からレバノンに戦争を仕掛けてから11日目に入ってもなお、イスラエルの戦闘機はレバノン全土のインフラ破壊を継続している。橋や道路、トラックなどを破壊した後、昨日には衛星放送のアンテナや携帯電話網を破壊、またこれまでの24時間に武器庫やミサイル発射台を含むヒズブッラーの拠点150箇所を砲撃した。レバノンとシリアを結ぶ12の道路も爆撃され、ハイヤーム市街には30回の空爆が加えられた。一方、イスラエルの部隊が国境沿いのレバノン側の村落に拠点を構え、限定的な侵攻を開始した。

 イスラエルの砲撃によって兵士2名を含むレバノン人6名が死亡、他に4人が負傷した。また国境から20キロ以上離れるよう促すビラをイスラエル機が撒いた後、地域から逃げるレバノン人家族が自動車やトラックに殺到、一方で国際的な情報筋によれば、抵抗運動側もこの4日間、イスラエル軍に勇敢に立ち向かった。

 AFPによればイスラエル軍の装甲車10台が国境フェンスを破壊してレバノン側に侵攻、一方で本拠地を置いていた国境の二つの村近くの二つの陣営のうち一つからも、理由を明らかにしないまま軍を移動させた。

 イスラエル軍報道官によれば、「イスラエル軍は南レバノンへの限定的な侵攻を行う。侵攻の範囲は拡大する可能性もある。イスラエル政府は全面的な陸上攻撃の決定はまだ下していない」と述べ、限定的な地上作戦の目的はレバノン南部のトンネルやヒズブッラー部隊の拠点を破壊することにあると指摘した。これまでにイスラエルは予備役3000人を国境に招集していた。

 その頃、米のニューヨーク・タイムズ紙は昨日の報道で、イスラエルがレバノンへの戦争を開始したと同時に米政府に要求していた精密誘導爆弾の移送を早める決断を政府が出したと報じた。この爆弾は人工衛星とレーザーによって誘導される。
 同紙が明らかにしたところでは、この措置はイスラエル政府がレバノン国内の爆撃目標をまだ多数準備していることを意味する。
 他方、駐米イスラエル大使は、これまでにヒズブッラーの兵力の40パーセントを破壊したことを認めたが、ヒズブッラーはまだ短距離ミサイル数千発を保有しており、報復としてイスラエル北部にミサイル弾10発を発射して10人の負傷者を出し、二軒の家屋にも損傷を与えた。またハイファ市も砲撃して2名に怪我を負わせた。

 外交的努力の一環としては、国連のアナン事務総長がイスラエルによる侵略は紛争をさらに激化させるだろうと警告、またイスラエル政府は過去に南レバノンに安全保障地帯を作る意志はないと公言したことを受け、もしも(安全保障地帯を築いたならば)それは占領であり、抵抗を激しくすると語った。(中略)

 またライス米国務長官の中東訪問を今日に控えた前夜、ブッシュ大統領は、危機の終結には攻撃を仕掛けた「テロ集団」とそれを支援している国家との対決が求められるということをライス長官は明確に示すだろうと述べ、イスラエル兵2名を拉致したヒズブッラーが危機を仕掛けた張本人だ、と語った。(後略)


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( 翻訳者:山本薫 )
( 記事ID:3077 )