エグランド国連事務次長:「レバノンは理不尽な戦争により最大の人道危機に直面している」(アル・アハラーム紙)
2006年07月24日付 Al-Ahram 紙

■ イスラエル、国境に追加の部隊を動員、レバノン南部とベイルートへの爆撃を継続
■ ヒズブッラーのミサイルにより2人が死亡、15人が負傷、イスラエル北部住民の半数が避難を強いられる
■ イスラエル政府、NATO指揮下の国際部隊展開を受け入れ
■ シリア、自国国境への接近に対して警告

2006年07月24日付アル・アハラーム紙(エジプト)HP1面

【ベイルート:ファトヒー・マフムード、占領下エルサレム:諸通信社】

 イスラエルはレバノンにおける軍事作戦の継続を決定し、北の国境に陸上部隊を追加動員した。さらに、連続して12日目となる一連の空爆を、ヒズブッラーの宗教施設やレバノン南部とベイルート南郊一帯の橋や道路を標的として行った。

 ヒズブッラー側はミサイルでハイファの町を砲撃し、イスラエル人2人が死亡、他に15人が負傷した。一方シリアは、もしイスラエル軍がレバノンに侵攻し、自国国境に接近した場合、戦闘に加わると公言した。

 レバノン筋の情報によると、イスラエルの戦闘機はレバノン東部のベカー平原を少なくとも12回空爆し、3軒の工場と家屋、複数の橋を破壊した。
また海岸沿いにある、レバノン南部最大の町スールにも、攻撃開始以降初めて爆撃が行なわれた。

 イスラエル軍のラジオ放送が伝えたところによると、イスラエルのアミール・ペレツ国防相はレバノン南部における陸上作戦の継続を決定し、国境には陸上部隊がさらに増強されるという。一方、イスラエル軍のある報道官は、「参謀本部のダン・ハルツ司令官は、レバノンへの大規模な陸上攻撃をまだ決定していない」と述べた。

 国連レバノン暫定軍(UNIFIL)報道官は、戦車部隊の援護を受けたイスラエルの部隊がレバノン南部の国境前線に位置するマールーン・ラアスへの駐留を継続していることを確認し、ヒズブッラー側もマールーン・ラアスをイスラエルが制圧していることを暗に認めた。

 イスラエルのハアレツ紙は、イスラエル政府が少なくとも次の日曜までレバノンへの攻撃を継続することでアメリカ政府からの同意を得ていると確信しているという、イスラエル高官の話を報じた。

 イスラエルの攻撃に対抗して、レバノンのヒズブッラーはイスラエル北部のハイファ市をサンダー2ミサイルにより爆撃した。
イスラエル筋の情報によると、5発のミサイルがハイファに着弾し、2人の死者と15人の負傷者をもたらした。同筋によれば、イスラエル北部の住民のうち3分の1から2分の1にあたるおよそ100万人が、ヒズブッラーのミサイルを逃れて家から避難している。

 さらにイスラエル高官は、アミール・ペレツ国防相がドイツのフランク・シュタインマイアー外相に、イスラエルはレバノン南部の平和維持にあたる強い権限を持った国際部隊の展開を受け入れる用意があり、その部隊はNATOの指揮下にあってもよいとする通達を行ったとも明かした。

 またペレツ国防相は、ヒズブッラーが捕らえたイスラエル兵2名の帰還が、レバノン危機を解決する主要な鍵であると強調、ドイツ外相との会談中に、「イスラエルはヒズブッラーを国境から遠ざけるために軍事作戦を続行するだろう。レバノン南部への侵攻は、限定的な攻撃だ」と述べた。

 オルメルト首相は昨日の閣議で、現在のレバノン危機は極めて長期にわたって続くと明言した。 
あるイスラエル高官は、危機を終わらせるため、適切な時期にレバノン政府と交渉に取り組む用意が出来ている、とのオルメルト首相の発言を伝えた。

 その頃シリアのムフスィン・ビラール情報相は、イスラエルの陸上部隊がレバノンに侵攻し、シリアに接近した場合には、シリアは手をこまねいているつもりはない、と明言した。

 昨日も爆撃にさらされている地域から、数千人のレバノン人の避難が続いた。ヤン・エグランド国連事務次長(人道問題担当)は、レバノンは理不尽な戦争により最大の人道危機に直面している、と警告した。
ベイルート南郊一帯における破壊の跡を視察した同国連事務次長は、「国連は数日のうちにレバノン救援作業を開始するであろう」と述べ、実際に目にした破壊は想像した以上に大きく広範囲にわたっている、とつけ加えた。


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( 翻訳者:新谷美央 )
( 記事ID:3112 )