イスラエル閣僚「我々には勝利をもたらす能力のある軍事指導者が欠けている」(アル・アハラーム紙)
2006年07月28日付 Al-Ahram 紙

■ レバノンでの犠牲を受けてイスラエルをショックとヒステリー状態が覆う
■ イスラエルはミサイルが発射されるすべての村の破壊と追加予備役の召集を決定
■ ヒズブッラーは化学工場を砲撃、イスラエル北部へ40発のミサイルを発射
■ イスラエル閣僚:「我々には決定を下し、勝利を実現する能力のある軍事的指導者がいない」

【ベイルート:ファトヒー・マフムード、占領地エルサレム:諸通信社】

 イスラエルがレバノンに対する全面戦争を開始してから16日目、イスラエルが被った予期せぬ犠牲はヒステリーとショックの状況を引き起こし、政府とイスラエル軍指導部を揺さぶった。イスラエル政府および軍指導部は、ミサイルが発射されているすべての村を破壊するとして、破壊の範囲を拡大することを決定した。
また昨日の縮小閣議では、予備役兵からなる新しい師団の召集と、地上作戦拡大の代わりに空爆を強化することを決定した。一昨日の地上作戦でイスラエルは、レバノン抵抗勢力側の推定では、4人の将校を含む兵士13人が死亡、一方イスラエルが認めたところによれば4人の将校を含む兵士9人が死亡、その他25人が負傷、という犠牲を被った。
英紙ガーディアンの報道では少なくとも兵士14人が死亡しており、この数はレバノンでの戦争開始以来、一日での最大のイスラエル軍犠牲者数である。また昨夜までにビント・ジュバイルでの戦況には何の進展もないという。

 ヒズブッラーの戦闘員は昨日、イスラエル北部のサファド、カルマイール、ルーシュ・ビーナー、シャルーミー、マアールートなどの町に40発以上のミサイルを発射し、またイスラエル軍情報筋によると、キルヤト・シェモナの化学工場も砲撃した。

 イスラエル放送はある閣僚の発言として、イスラエル軍は勝利の実現からはいまだ遠く、ゲームの規則を変更せねばならないし、必要とあればレバノン南部の村落を破壊しなければならないとの内容を伝えた。一方、イディオット・アハロノート紙も主要閣僚の発言として、「イスラエルには現在レバノンで進行している戦争において、決定を下し勝利を実現できる軍事指導者がいない」との発言を報じた。

 レバノン治安消息筋によると、イスラエルの戦闘機はレバノンの北部、東部、南部に一連の空爆を行い、レバノン人7人が死亡、負傷者多数が出た。同様にイスラエル戦闘機はトゥッファーハ地方で30回以上の空爆を行い、ヒズブッラーの拠点や事務所、トゥッファーハ地方の村落を結ぶ道路を標的とし、多数の被害を出した。

 またスールではイスラエル戦闘機がアマル(訳注:レバノン抵抗軍団の略称。レバノンのシーア派系政治組織)に属する4階建ての建物を破壊、ナバティーアとベカーア高原のヒズブッラー拠点も爆撃された。イスラエルの空爆は首都ベイルートの北30キロに位置するアムシートのレバノン軍所有の軍事基地とレバノン・ラジオの放送局をも標的にしたという。

 さらに消息筋によると、イスラエル戦艦がスール南部に位置する村を砲撃し、同様に砲撃は、レバノン南部の国連暫定軍(UNIFIL)の指令センター、サディーキーン、マアリーヤ、ハニーヤといった村々の位置するナークーラ丘陵にまで及んだ。

人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは、レバノン民間人に対するクラスター爆弾の使用についてイスラエルを改めて非難した。ピーター・バウカート緊急事態部長は、イスラエルがレバノンの居住地域をクラスター爆弾で爆撃したことを証明する決定的な証拠があると述べた。


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( 翻訳者:田中裕子 )
( 記事ID:3143 )