レバノン閣僚会議、セニョーラ首相の提案を承認(アル・ナハール紙)
2006年07月28日付 Al-Nahar 紙

■ ビッリー国会議長が中心的な役割 外交筋からの憂慮すべき情報が決定に寄与
■ 閣僚会議は分裂を乗り越えセニョーラ首相の計画を採択
■ イスラエルは空からの攻撃を激化し、さらに予備役兵を増派

2006年07月28日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

 イスラエルの対レバノン戦争が始まってから16日目の今日、レバノンはヒズブッラーの合意ゆえに大きな重要性を帯びることになった政治的決定を下した。閣僚会議はセニョーラ首相がローマ国際会議において行ったスピーチの内容について、そこで提示された計画の一部についてヒズブッラーが留保を表明していたにもかかわらず、全会一致で受け入れた。

 閣僚会議の決定は政治的に予期せぬ出来事であり、閣僚の一人は、政府がこの数年間のうちに下した最も重要な政治的決定の一つだと述べた。この決定は今後レバノンに向けられるかも知れないさらなる国際的圧力に対峙するために必要な最大限の支えとなるし、戦争を止めさせ、戦争が国内の統一に及ぼす影響を防ぐため世界に対して声を一つに合わせて語ることを可能にするものである。

 ガーズィー・アル=アリーディー情報相は閣僚会議の公式声明において、閣僚会議がローマでのセニョーラ首相演説の内容を「支持し採用する」と発表した。内閣の情報筋が本紙に対して明らかにしたところによれば、閣僚会議は政府が崩壊寸前になるような危険な分裂の瞬間を迎えていた。夕方になって閣僚たちが会議場に入る頃にはセニョーラ首相の演説に対する立場の違いが表面化していたことからもそれは明らかであった。ところが事態はその後、完全に逆転した。

 セニョーラ首相がローマで得た成果、とりわけ「ローマ宣言」が国連安保理決議第425号の履行とシャバア農場地帯の返還をうたったことは「レバノンにとっては前例を打ち破る成果である」と捉えられた。また、閣僚会議会合の数時間前にセニョーラ首相がナビーフ・ビッリー国会議長と行った会談が、全会一致による決定に決定的な役割を果たしたという。ビッリー議長はセニョーラ首相の演説内容についてはシャバア農場地帯をめぐる提案の部分を含めて熟知していた。しかし会合においては、多岐にわたった議論のなかでも中心的な対象となったのは国際部隊の活動とその任務の性格、規模の拡大についてであった。これについてはヒズブッラー系の閣僚であるムハンマド・フナイシュ大臣とトゥラード・ハマーダ大臣が多くの点で留保を表明し、アマル系の閣僚たちはこの問題については国連安保理に真剣に提議するにあたっては再度閣僚会議を開いて政府の見解を考慮するよう要請した。3・14勢力およびアマル系の閣僚は最終的には、ビッリー議長が既に内容を知っていたことや、全会一致で政府の決定がなされることが必要だとの見解から、セニョーラ首相の提案内容を受け入れる政府統一の立場を打ち出すべきだという点で一致した。

 政府関係者によると閣僚会議では、この機会を捉えて統一の意見を打ち出し危機を脱却せねばレバノンに対する国際社会の圧力が高まることになるだろうという空気が支配的であった。また、先手を打たなければ来週には安保理が全会一致で決議を採択し、レバノンは拒むことのできない課題を押しつけられることになるかも知れないとの情報も流れていたという。

 なおセニョーラ首相のローマ国際会議における演説では7つの項目について論じられ、そのうちの主な3つは、レバノン政府が全土に支配を確立し「武力および権力をレバノン国家が独占する」べきこと、[レバノン南部に展開する]国際部隊の強化、増員、装備増強、任務の対象の拡大、そして国連が1949年の停戦合意に基づく活動を再開するために必要な手続きをとるべきこと、であった。セニョーラ首相演説に対するヒズブッラーの留保はこれらの項目に関するものであり、とりわけ国際部隊の問題と1949年の停戦合意に関するものであった。

■ 16日目

 軍事面では昨日、犠牲者、負傷者、避難民の合計数について政府、国内各機関、国際機関による統計の結果が発表される一方で、戦争の破局的な様相が集約的に示された。

 ムハンマド・ジャワード・ハリーファ健康相は昨夜、身元の判明した死者の数は352人に達し、身元不明の死者は58人、各地の瓦礫の下に100体の遺体が埋もれており、昨夜までの犠牲者の合計は510人になったと発表した。また、病院で治療を受けた負傷者は1850人と発表した。

(中略)

■ イスラエル

 イスラエル軍のダン・ハルーツ参謀総長は、イスラエルのレバノンに対する攻撃が「ヒズブッラー無力化という目標の実現か、戦闘停止命令が発せられる」より以前に停止する可能性を否定した。ハルーツ参謀総長は、イスラエル軍はおよそ3個師団相当の予備役兵、すなわち兵士約15000人を召集すると言明した。そして「この戦線は継続中であり、別の命令を受けるまで、もしくは我々自身が定めた目標を達成するまでは続く」と述べた。また、「ヒズブッラーに与えた戦略的な損害は甚大なものである」が、攻撃にもかかわらずヒズブッラーはイスラエルに対してミサイルを発射する能力をまだ保っていると認めた。

(後略)



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( 翻訳者:香取千晴 )
( 記事ID:3146 )