イスラエル機、南レバノンの教会を空爆、米は停戦を呼びかけず(アル・アハラーム紙)
2006年07月19日付 Al-Ahram 紙

■ 7日目のイスラエル爆撃で24人死亡、数十人の負傷者
■ オルメルト首相、戦争の継続を断言
■ ヒズブッラー、5つの都市に対してミサイル20発を発射
■ イスラエル、ヒズブッラーの軍事力50%を破壊と明言
■ 米、現時点での停戦呼びかけを拒否
■ リヴニ外相、ヒズブッラーの武装解除を停戦の第一条件に
■ 避難家族が身を寄せるレバノン南部のギリシャ正教の教会を爆撃

2006年07月19日付アル・アハラーム紙(エジプト)HP1面

【ベイルート:ファトヒー・マフムード、世界各国の首都:諸通信社】

イスラエルは昨日、7日目に入ったレバノン空爆を継続した。その攻撃によってレバノン人24人が死亡、数十人が負傷した。同時にイスラエルのオルメルト首相は国連使節団に対し、ヒズブッラーに拘束されているイスラエル兵士二人が解放され、ヒズブッラーがイスラエル本土に対するミサイル攻撃を停止するまで、ヒズブッラーに対する闘いを継続すると伝えた。

 ワシントンでは、米政府が停戦を呼びかけることを拒否した。

 レバノン軍情報筋は、イスラエルの戦闘機が首都ベイルートの東にあるレバノン軍に属する兵舎を爆撃し、それによりレバノン兵士11人が死亡、40人が負傷したと伝えた。
さらにレバノン兵士の救出中、イスラエル機は兵舎に対する6度の空爆を連続して行ったと指摘した。

 昨日早朝イスラエル戦闘機は、レバノンの様々な地点に対する一連の空爆を行い、家屋の破壊によって少なくともレバノン市民13人が死亡、同じくレバノン南部でもイスラエルの爆撃によって破壊された家の瓦礫の中から、一家族、市民9人の遺体が収容された。
 同様に軍艦と戦闘機によるバアルベクおよびヒズブッラーの拠点であるベイルート南郊への攻撃も続けられた。
フランス通信社は、ベイルート南郊にあるヒズブッラーの治安拠点が破壊されたと伝えた。

 レバノン情報筋によればイスラエルの爆撃はレバノン南部のギリシャ正教の教会もターゲットにした。それはちょうどラーシャイヤーの住民が空爆を逃れて同教会に避難する最中に起きたという。

 イスラエルの情報筋は、ヒズブッラーの兵力の40%~50%は、レバノンに対する爆撃で破壊されたと語っている。
イスラエルのジェルサレム・ポスト紙によれば、レバノンに対する軍事作戦の支出は一日に5千~1億シュケルに上るという。

 イスラエル軍のモシェ・カプリンスキ副参謀議長は以下のように語った。「イスラエルの戦闘機は、ヒズブッラーのロケット攻撃の拠点となっている130箇所を爆撃した。同じくレバノン南部でヒズブッラーが利用しているインフラ105箇所以上、数十の武器・弾薬庫、加えてヒズブッラーの20の細胞を爆撃した」
またアミール・ペレツ国防大臣は予備役から3個師団を招集し、西岸地区からイスラエル北部への兵員輸送の余地を確保するため、西岸地区に展開させるという。

 イスラエルに反撃して昨日ヒズブッラーはハイファ、サファド、ティベリヤ、ナハリヤ、シャルーミーといった街を目標として、イスラエル北部におよそ20発のミサイルを発射したが、人的被害はなかった。

 イスラエルのハアレツ紙は、ヒズブッラーがハイファに発射するカチューシャ・ミサイルに対抗するため、バラク型の迎撃ミサイルを装備した船舶をハイファ沿岸に配備することをイスラエル海軍が検討中であると報じた。

 イスラエルのシモン・ペレス副首相は「ヒズブッラーは先週の軍事作戦が始まって以来、イスラエルに対し1500発のミサイルやロケットを発射した」と述べた。

 昨日、イスラエル・ヒズブッラー間の危機の火種を取り除くため国連の努力が続けられ、国連の使節団はエルサレムでイスラエルのリヴニ外相と停戦の可能性を模索する協議を行った。
リヴニ外相は協議の後、記者団に対して「まず第一にヒズブッラーの武装解除が必要であり、レバノン南部におけるレバノン国軍の展開、国際決議1559の履行が必要である」と語った。

 ワシントンでは、米国務省のマコーマック報道官が「アメリカ政府は停戦の呼びかけを拒否する。なぜならそれは、長期的な問題解決には至らないであろうから」と発言した。
 フランス通信社は他の米高官の言として、「ワシントンは停戦を呼びかける前に、イスラエルがヒズブッラーを解体させるだけの時間を残しておきたい」のだと報じた。


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( 翻訳者:平寛多朗 )
( 記事ID:3240 )