国連決議1701号に対するアラブ連盟代表団の見解(アル・アハラーム紙)
2006年08月13日付 Al-Ahram 紙

■ 国連決議採択後のアラブ連盟代表団:「決議はバランスに欠けるが受け入れる」

2006年08月13日付アル・アハラーム紙(エジプト)HPアラブ世界面

【ニューヨーク:本紙特派員】

 アラブ連盟が国連に送り出した代表団は、レバノン・イスラエル危機に関する第1701号決議について、受け入れを公表はしたものの、バランスに欠けるとみなしている。

 代表団長を務めたカタールのハマド外相は、一昨晩に行われた採決のための会合で、無辜の流血とこれ以上の破壊がレバノンと地域に及ぶことを避けるため、現状のままで決議を受け入れることを代表団として決定したと演説した。またハマド外相は、決議はレバノン側の利益を十分考慮に入れていないというアラブ諸国の見解があることを明らかにしつつ、代表団の賛成はこのバランスを欠く決議の採択についての完全な満足を意味するものではないとも指摘した。

 ハマド外相は、レバノンと国連軍(UNIFIL)が共同で南レバノンに兵力を展開させ、それと平行してイスラエルが撤退するというこの決議は、レバノンの市民とインフラに対してイスラエルの攻撃が行った破壊の悲惨さに明確な形で触れていないと指摘し、さらに決議ではレバノンへの攻撃におけるイスラエルの人道的・法的責任への明白な言及がなく、イスラエルの拘置所に入れられている捕虜や拘束者の問題についても公平に扱われていない、とも続け、捕虜と拘束者の交換こそがこの問題を解決するための現実的で論理的な方法であると強調した。

 一方でハマド外相は、決議が国連レバノン暫定軍(UNIFIL)の強化にとどまり、同軍の権限を国連憲章第6章の範囲から動かさなかったことについては歓迎の意向を示した。また、決議案の提出国がアラブ代表団に対し、決議は双方に軍事行動の停止とイスラエルのレバノン南部からの即時撤退を義務付けており、戦闘停止から撤退・停戦までの期間中に違反が起こった場合には、1996年の4月合意(訳注:民間人やインフラ攻撃は控え戦闘員・軍事施設への攻撃に限定するというイスラエル・ヒズブッラー間の合意)によって裁定されると明言したと発表した。

 さらにハマド外相は、決議案はレバノン南部の武装戦闘員との交渉責任はレバノン政府のみにあること、またブルーライン(訳注:イスラエル・レバノン間の暫定国境線)からリタニ川までの地域はレバノン政府のみの支配下に置かれることを確認しているとも付け加えた。

 「レバノンと占領地で起こっている事態は中東危機へ客観的な対応をとることに失敗したことから生じている」と強調する外相は、次の9月に中東問題を再び安保理に提起するというアラブ諸国の動きを指摘した上で、安保理に対し、中東紛争の完全で公正な解決のために責任を果たすよう呼びかけた。



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( 翻訳者:山本薫 )
( 記事ID:3268 )