5+1提案へのイラン側回答に対する各国の反応 ハムシャフリー紙
2006年08月24日付 Hamshahri 紙

2006年8月24日付ハムシャフリー紙

【政治部】21ページに及ぶイラン側の回答が、5+1提案の提案国〔国連常任理事国5カ国+ドイツ〕に対して示されたことを受け、今度は5+1がイラン側回答を検討し、今後の道筋を選択する番となった。

 ラーリージャーニー国家安全保障最高評議会書記よりドイツ、フランス、イギリス、ロシア、中国、そしてアメリカの利益代表としてスイスの大使・外交官らにイラン側回答が手渡されたことを受け、アメリカ、フランス、そしてEU外交代表から、最初の反応が示された。

 ジョン・ボルトン〔米国連大使〕はイラン側回答を受領したことを受け、次のように語った。「われわれはイランがいかなる段階を選択したのか見極めるべく、提案の詳細を検討するつもりだ。もしイラン側が協力するつもりなら、われわれはすでにそれに対する用意はできている。もしわれわれの要求に応えないつもりなら、われわれは速やかに、イランに対する制裁へ向け作業を開始することになるだろう」。

 その一方で、フィリップ・ドストブラジ仏外相は、イラン側回答を「長く複雑なもの」としつつ、ヨーロッパは速やかに最終的な結論を出し、見解を表明するとの姿勢を示した。またソラナEU外交政策上級代表は、イラン側回答を前向きなものと評し、対話の進展に期待を表明しつつ、EUの見解は近日中に表明されるだろうと述べた。

 イラン側回答が示されたことを受け、今後国連安保理決議1696号はどのような位置を占めるのか、そしてイランは5+1提案に対していかなる回答を行ったのか、という疑問が提起されている。ウラン濃縮活動の停止に関する限り、イラン側の回答は断固たる「ノー」である。しかし、ヨーロッパのある外交官がロイターに対して述べたところによると、イラン側の回答はきっぱりとしたものではなく、イラン側がこれまでも述べてきたように前提条件は認められないものの、回答には柔軟性も見られ、時期が来れば話し合いの一部として濃縮停止に応ずる可能性もあるという。

 他方、中国外務省は声明を発表し、イラン側が期限を守って回答したことを前向きに評価し、5+1の他のメンバー国に対して、忍耐強く事に臨むべきだと示唆した。その一方で、ロシアはより積極的な動きを見せた。ミハイル・カムイニン外務報道官はインターファクス通信に対し、ロシアは従来通り、対話による政治的解決を追求する旨述べ、さらに包括的な話し合いに導くべく努力する用意があると語った。

〔中略〕

 他方、イラン国家安全保障最高評議会は、イラン側回答には問題の解決へ向けた新たな機会が用意されていると強調した。アリー・ホセイニー=ターシュ国家安全保障最高評議会戦略担当次官はIRNAに対し、「イラン核問題の正しい解決の道を台無しにするような諸々の動きが見られたにも関わらず、この回答では、新たな機会を作り出すための試みがなされている」と語った。

 その一方で、先日欧米諸国に対して、「軽率な行動を取ることのないよう注意すべきであり、それが守られない場合にはイランはIAEAとの協力を見直す」旨の警告を発したばかりの、国会の安保・外交政策委員会の委員長は、5+1グループに対して、肯定的な視点からイラン側回答を捉えるよう、またイラン側から出された提案に対して前向きな回答を行うよう、メッセージを発出した。アラーオッディーン・ボルージェルディー委員長はまた、5+1提案に対するイラン側回答でまず第一に前向きなのは、約束を遵守したことであるとして、次のように語った。「イランは約束通りに、公表していた期日に回答を行った。イラン側の前向きな姿勢を示す第二のポイントは、イラン側の言動の誠実さである」。

 他方、アーセフィー外務報道官はイラン側回答を総括して、次のように語った。「イラン側の回答は極めて前向きで明るい点を含んだものだ。もしヨーロッパ側、5+1提案国側がこれらの点にきちんと留意するならば、イラン核問題は緊張を生むことなく、話し合いを通して、容易に解決されるだろう」。

 外務報道官はまた、「包括提案に対するイラン側の回答は、極めて包括的かつ完成されたものであり、また提案国側と今後どのように作業や話し合いを続けていくかに関するイラン・イスラーム共和国の見方や見解、疑問点などを含んだものである」と指摘し、さらに「イラン・イスラーム共和国の回答は、さまざまな専門委員会による継続的な努力とそれらの総括作業の結果であり、適切でスピーディー、かつ正確な方法の末提出されたものだ」と説明した。

 外務報道官はまた、「国外の一部のグループより、狭量な見解が出されたこともあったが、しかし包括提案に対してイラン側から提出された回答は、われわれの善意を遺憾なく示すものである」とした上で、次のように続けた。「イラン・イスラーム共和国は、表明していた期日通りに自らの解答を示した。このことは、イランが国際的な約束を遵守する国であること、自らの活動を極めて透明な形で行っていること、そして極めて平和的な目的を追求していることを示すものだ」。

 アーセフィー外務報道官はまた、「包括提案に対して包括的かつ完全な回答を行うことで、われわれは再度自らの目的が極めて明瞭かつ国際的基準に合致したものであることを示した」とし、さらに「ヨーロッパ、及び包括提案国側はイランの回答を正確に検討すべきである。彼らがなるべく速やかに、イランとの交渉のテーブルに復帰することを期待したい」と表明した。

 在モスクワのイラン大使も、話し合いこそ核問題の唯一の解決の道だとの見解を示した。その一方で、モスクワから伝えられるところによると、イラン原子力長次官のモハンマド・ジャンナティヤーンを団長とするイラン側協議団が現在モスクワを訪れており、カリニン原子力発電所を視察する予定とのことである。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:3337 )