レバノン首相とヒズブッラーの対立緩和の動き(アル・ナハール紙)
2006年09月16日付 Al-Nahar 紙

■ 閣僚会議内部の対立緩和 国際部隊、段階的に増強
■ ドイツ「シリアはヨーロッパの国境監視支援を求めている」
■ セニョーラ首相、ヒズブッラーに「対立は対話によって解決すべき」

2006年09月16日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

 昨日の閣僚会議会合は、このところ激化していた内部対立に翻弄されることはなかった。開会から議論を経て閉会に到るまで対話の空気のなかで進行し、ここ数日間の騒動はすっかり影を潜めたかたちとなった。

 議長を務めたフアード・アル=セニョーラ首相が最初に発言し、戦争中の最も困難な状況のなかで明らかになった「国民の団結のかたち」に依拠すべきだと呼びかけ、「麻痺に陥ることのない対話」を通じて「国内外における我々への信用を取り戻すこと」を呼びかけた。

 つづいてマルワーン・ハマーダ通信相が発言し、「国民議会が対話を主導しておらず、国民対話会議も治安面その他の理由によって機能していない以上、閣僚会議こそが対話のために与えられた枠組みである。ただしそれは、誰かが自らの立場を撤回するという意味ではない」と述べた。

 その後、議論の的になっている事項について協議が行われた。とりわけ国際部隊に参加するドイツ軍部隊が「イスラエルの安全保障」に携わるとのドイツのアンゲラ・メルメル首相の発言や港湾の監視などの問題について話し合われた。

 政府関係者によれば、これらの全ての議題に対して実務的かつ客観的なアプローチがなされ、閣僚の一人は「今回の会合の雰囲気は、これまでよりもはるかに冷静なものだ」と語ったという。

(中略)

■ フナイシュ電力・水資源相

 政府内においてヒズブッラーを代表するムハンマド・フナイシュ電力・水資源相は閣僚会議会合の会場に到着した際、「我々は相異なる政治的立場が存在することに慣れるべきであり、それを尊重すべきである」と語った。また「挙国一致政府の樹立」の立場については、「政府の交代というような問題は...レバノン政治体制の一部分をなす問題である。憲法に基づく手段によるものであれば、それは正当なものである」と述べた。

■ 対立の緩和

 また閣僚会議会合の開催に先立つ内部対立緩和の動きの一環として、ヒズブッラーのナスルッラー書記長が政府およびセニョーラ首相に対して強硬な姿勢を表明した前後に首相がヒズブッラーとの間で行なった協議の内容が明らかにされた。

 イギリスのトニー・ブレア首相のベイルート訪問とそれに伴なう対立の高まりを受けて、セニョーラ首相はヒズブッラー書記長の政務補佐役であるフセイン・アル=ハリール氏に連絡をとって面会を求め、翌日に会談することで合意した。しかし連絡の当日、すなわち先週の火曜日にナスルッラー書記長はアル=ジャズィーラTVの番組に出演して政府およびセニョーラ首相を非難した。セニョーラ首相が番組放映の後ハリール氏に再度連絡をとると、ハリール氏はナスルッラー書記長が首相および政府を非難したため会談の約束がキャンセルされるのではないかと思っていたと伝えた。これに対してセニョーラ首相は「約束はキャンセルしない。必要なのは政治的対立を激化させる動きに立ち向かうことだ。そうした激化によって、国内に望ましくない空気がもたらされることになる。国が持ちこたえることのできないような結果をもたらすことになる。我々は対立の緩和に集中せねばならない。私はナスルッラー師の発言に同意しないが、我々は見解の相違を解消することはないまでも、緊張を緩和して対話を進める方法を模索せねばならない。そうすればこの国が機能不全に陥ったり、必要のない対立に引きずりこまれたりすることはないだろう」と述べたという。

(後略)



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( 翻訳者:森晋太郎 )
( 記事ID:3549 )