レバノン内戦勃発32周年、国内の政治的分断つづく
2007年04月13日付 Al-Nahar 紙

■ ジュンブラート議員「ヒズブッラーが離婚を望むのであれば、我々は合意しよう」
■ 国連がベイルートにミシェル事務次長を派遣
■ ウェルチ米国務次官補がキリスト教徒の状況に懸念を表明

2007年04月13日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

 1975年4月13日のレバノン内戦勃発から32周年にあたり、レバノン国内の政治的局面は、同内戦に区切りをつけたターイフ合意の成立以降最も危険な政治的分断の様相が戻ってきたかに見える。最近はヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長の演説とそれに対する3・14勢力の応酬において事態が深刻化したことにより、危機が固定化され、全ての仲介プログラムに打撃を与えるのではないかとの深い懸念を掻き立てている。その証拠に昨日エジプトのフサイン・ダッラール駐レバノン大使が、アラブ連盟のアムル・ムーサー事務局長は「ただ戻るだけのためにベイルートへ戻ることはない」と明確に発表し、「求められているのはそれ以上のことである。全ての勢力が自らの肩に掛けられた責任を追うことである」と念を押した。

 一方、解決への展望が塞がれたことは、「民主主義会合」代表であるワリード・ジュンブラート議員の言葉に反映された。昨日ジュンブラート議員は、ナスルッラ−書記長の演説が「離婚宣言」であるとの見解を示すに至り、「もし我々が議論している国際法廷問題や治安や防衛計画について[ナスルッラー書記長が]完全な離婚を宣言するのであっても(…)、我々は事態をより好ましい平和的な形で議論しなければならない。裏切りであると非難するのはもう十分である。我々は対話を再開し、どのように離婚するのかについて合意を形成しなければならない」と述べた。

(中略)

■ ウェルチ米国務次官補:法廷問題とキリスト教徒

 ワシントン駐在の本紙ヒシャーム・ムルヒム記者が、ディヴィッド・ウェルチ中東問題担当米国務次官補の言葉として伝えたところによれば、ラフィーク・アル=ハリーリー元首相と側近らの暗殺事件の容疑者らを裁く国際的性格の法廷を設置するために米政府は、「再び国連安保理で協議を行い法廷設置に必要な強制力のある決議を出すことが求められたとしても」、強力な関与を行うとしている。

 ウェルチ国務次官補は、レバノンの憲政機関によって法廷設置をめぐる政府と国連の合意が承認されない場合、アメリカは他の安保理理事国とともに可能な法的選択肢について検討すると述べた。その選択肢には「必要とあれば安保理がこの件に関して決定を下し、国際的な性格を有する法廷の設置について強制力のある法的な枠組みを設定すること」も含まれるという。これはアメリカとその同盟国が、レバノンにおいて現在の政治・憲政上の閉塞状況が続いた場合、法廷設置に向けて強制力のある国連憲章第7章に依拠する可能性を示唆するものである。

 またウェルチ国務次官補は、「アメリカ政府は、国際的な性格を有する法廷の支援などレバノンに関するサウジアラビアの姿勢には何ら変化はないと見ている」と述べ、リヤドでのアラブ首脳会議にシリアのバッシャール・アル=アサド大統領が参加した後にこの件をめぐってさまざまの憶測が流れたことについて、「根も葉もないことである」との見解を示した。また、ナンシー・ペロシ上院議長がダマスカスを訪問してアサド大統領と協議を行ったにもかかわらず「シリアの姿勢や政策に何の変化も生まれなかったこと」についてアメリカ政府としての遺憾の意を表明し、「政治的な社交辞令(ムジャーマラート・スィヤースィーヤ)」はあったけれども、と笑いながらアラビア語で言いつつ、レバノン内政介入やシリア国境を越えてのジハード戦闘員やテロリストのイラク進入、パレスチナ情勢への介入について何の変化もないことを指摘した。アメリカ国務省はペロシ上院議長のダマスカス訪問中止の説得に失敗した後、訪問に際してはシリア当局の人権侵害問題や、国際的性格を有する法廷の設置にシリア政府が協力することの重要性について話題にするよう同上院議長に求めていた。ウェルチ国務次官補によれば、国務省はペロシ議長からシリア訪問について概略の報告を受けたという。

 またウェルチ国務次官補は、「レバノンのキリスト教勢力の内部に意見の相違がある状況について」、米政府の懸念を表明した。これは、ミシェル・アウン議員が代表する政治的運動に対する間接的な批判であり、それがレバノン全体の情勢や「様々な政治派閥や宗派の間での合意にもとづく関係に対して」与える影響を懸念したものである。ウェルチ国務次官補は、一昨日こうした懸念をマロン派教会のナスルッラー・ブトゥルス・スファイル総大司教に電話で伝え、話し合った、と述べた。

(後略)

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( 翻訳者:森本詩子 )
( 記事ID:10696 )