論説:イラク市民団体の不正行為
2007年04月20日付 al-Sabah al-Jadid 紙

■ 避難民に対する侮辱、私腹を肥やす架空の団体

2007年04月20日付サバーフ・ジャディード紙(イラク)HP国内面

【リヤード・アル=ガリーブ】

サッダーム政権崩壊後のイラクで顕著な現象として、「市民団体」がある。非政府組織、NGOとして知られる類の団体であり、独裁体制から脱却した国々の多くで、この市民団体の成長という現象が見られる。民主主義的政治文化における「市民団体」は、「個人と国家の間を仲介するもの」である。つまり、イデオロギーを標榜する伝統的政党に代わるものであるが、国民の立場から政府を監視し、問題があれば照会することにより、国家の統治運営に個人の参加を促す役割を果たす。

イラクでも過去4年、この市民団体が爆発的に増え、その数は3千を越える。しかしそれに伴い、偽造書類や虚偽の映像をドナーとなる国々や国際組織に提出して寄付金を得ようとする団体も多く現れた。そうして得た資金が個人のポケットを膨らませつつある。これらの団体を監視し、会計監査を行うような組織は存在しない。

そのような団体(念のために、我々は全ての市民団体に嫌疑をかけているわけではなく、その内のいくつかについて述べている)が最近、避難民問題を、国際機関や支援国に訴え、私腹を肥やす格好の機会とみなし始めている。それらの団体は、住民一人一人に支給される資金を横取りすべく密室で策を凝らしている。

ある組織により避難家族への救援物資が配給されるというので取材に行ったジャーナリストは、人々が広場に集められ配給の様子をビデオで撮影される、そのやり方を「避難民を辱める行為」として糾弾し、人の痛みを取引に使い侮蔑するような行いには関わりたくないと述べた。

このような喜劇を終わらせるため、国際ドナー機関はイラクの現状を詳細に調査すべきである。多くの新聞が、資金繰りに苦労しながらもイラクの報道シーンで活躍を続けている。これらの新聞が人々に最も近く、またその業務内容も明らかである。しかしドナー機関は、特定の個人と、その個人しか代表していない団体への資金供与を続けている。政府は、市民との仲介役となる代わりに人々をだしに使うような、これらの団体の活動を監視すべきである。

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( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:10703 )