ラーリージャーニー「アンカラでの協議で興味深い案が提示」
2007年04月28日付 Iran 紙


【アンカラ:ジャラール・バルゼギャル特派員】2度にわたる国連安保理による対イラン制裁決議の採択、そしてイランによる核燃料の産業生産段階の達成という展開に続くかたちで、核問題をめぐるイランとEU(実質的には5+1グループ)の協議が双方の代表者によって再開されたことは、極めて重要な意味合いをもっている。一部のメディアや政治関係者らがアンカラでの協議内容について、さまざまな憶測を早くもめぐらせ、双方の合意について言及しているのも、恐らくこのためであろう。

 実際には、ラーリージャーニーとソラナが自ら認めているように、この協議では初期案が提示されたにすぎず、それは今後さらなる検討を施し、鍛える必要がありそうだ。ある意味で、これらの案そのものよりも重要なのは、イラン・EU双方が対話を続けることで一致した、ということにある。つまり、アンカラでの核協議をめぐるニュースでもっとも重要なのは、双方が数週間以内という近い将来に、再度協議を行うことが予定されていることに求められるのである。

 さまざまな政治的曲折を経た現在、特に問題解決の可能な唯一の方法としての話し合いの必要性が、これまで以上にはっきりしてきた感がある。


 ☆ ☆ ☆

 ソラナEU代表と3回にわたる協議を終えたラーリージャーニー国家安全保障最高評議会書記は木曜日、アンカラでイラン国営通信(IRNA)とのインタビューに応じ、ソラナEU共通外交代表とのアンカラでの協議がどのような経緯で始まったのかについて、次のように述べた。「最近になって、われわれはソラナ氏と3度連絡を取り、当方の論点を彼に再度説明した。彼もまた、新たな状況全体を視野に入れたかたちでの話し合いを準備することに関心を示していた」。

 ラーリージャーニー書記はさらに、「われわれも、この問題の解決方法は、現実的・建設的な話し合い以外にはあり得ないという意見であった。このような準備段階があって、アンカラでの協議が実現した」と付け加えた。

 同書記はまた、次のように語った。「われわれの核活動には、〔譲ることのできない〕原則がある。それは、法的な枠組みを遵守すること、そしてイラン国民の権利を実現すること、である。もし誰かがこの点で疑念を差し挟むようであれば、それを取り除く必要がある。われわれはこのような疑念に対して、話し合いを行う用意がある。それゆえ、われわれが述べてきたのは、イランの核活動が平和目的から逸脱しないようにする方法を探ることが、話し合いの内容となりうる、ということなのである」。

 ラーリージャーニー書記はその上でさらに、「イラン国民の合法的な権利に対して、〔それを限定するような〕補足を付すことは、誰にもできないはずだ。これを基本として、われわれは話し合いの開始を提案してきた。これは今に始まったことではない。イランは前から話し合いをする用意があったのである」と付け加えた。

 ▼ 次回の協議は約2週間後

 ラーリージャーニー書記はまた、「もう一点申し添えておくと、今回の協議でいくつかの案が提起された。これらの案はいずれも、初期段階のもので、今後鍛えていく必要がある」と語った。

 同書記は次回の会談場所については、「まだ決まっていない」と述べるにとどまった。その上でラーリージャーニー書記は「問題をあまり単純に考えるべきではない。誤った期待を惹起することは望ましくないだろう。しかし、良好な最初の一歩が踏み出されたことは事実である。これ以上のことは、判断を差し控えさせて頂く。次の段階で彼らが何をしてくるか、見守る必要があろう」とし、さらに「もし彼らが次回の協議で、これまでと同じ話を繰り返すなら、最初の一歩もそれより前に進むことはないだろう」と付け加えた。

 ▼ 興味深い案が提示

 ラーリージャーニー書記はまた、アンカラで行われたトルコCNN放送とのインタビューの中で、ソラナ代表との協議の内容について、「核問題をめぐるさまざまな事柄について、深く新しい議論が行われた。このような変化・議論を背景として、新たな案が進展を見せた」と述べた。

 同書記はさらに、「これらの案は、今後時間をかけて発展させていく必要がある。いまのところ、これらの案は非常に興味深いものである、とだけ述べておこう」と語った。

 ▼ 《ウラン濃縮活動》に政治的定義はない

 ラーリージャーニー書記はまた、ソラナ代表との協議で《ウラン濃縮過程に関して新たな定義》が行われたのか、との問いに、次のように答えた。「ウラン濃縮過程には、新たな定義など必要ない。ウラン濃縮は技術的な問題であって、政治的な観点から、この内容に変更を加えることはできない」。

 ラーリージャーニー書記はEUのソラナ代表との2日間にわたる協議を終え、木曜日の夜、アンカラを離れ、テヘランに戻った。

 ▼ ラーリージャーニー書記とソラナ代表、アブドッラー・ギュル外相の大統領選出馬を歓迎

 アリー・ラーリージャーニー国家安全保障最高評議会書記は、ハヴィエル・ソラナEU共通外交代表との話し合いについて、良好かつ建設的なものであったと評した。

 同書記は木曜日、ソラナ代表及びトルコのアブドッラー・ギュル外相との三者会談を終えた後、三者による共同記者会見に臨み、次のように指摘した。「ギュル氏も述べているように、イランとトルコは友人であり同胞、隣人である。この協議がトルコで行われたことは、われわれとトルコの友好関係の深さを示すものである」。

 ラーリージャーニー書記はまた、「トルコで行われたこの協議とときを同じくして、アブドッラー・ギュル氏がトルコの大統領候補となったことは、実に喜ばしいことである。私は前もって〔ギュル氏の大統領選出に〕お祝い申し上げる。新たな立場から、トルコの変革と地域の平和・安定・幸福を先導して頂くことを期待したい」と述べた。

 ソラナ代表も、交渉の推移に満足しているとした上で、「ラーリージャーニー氏とは、重要な話し合いをもつことができた。もちろん、過度の期待は禁物だが、しかし進展はあったし、これがラーリージャーニー氏との最後の協議というわけでもないだろう。むしろ、今回の話し合いは今後の協議の序曲のようなものだ。話し合いに関して、良好な雰囲気が生まれている」と述べた。

 トルコのギュル外相も、「我が国はヨーロッパとの関係を極めて重視しており、同様にイランもトルコの友人・同胞・隣人である。イラン核問題に関する協議が外交的な対話によって解決することを望みたい。トルコは常に、いかなるものであれ、自らに課された責務を遂行する用意がある」と述べた。

 ▼ ライス国務長官:イランに対する27年間の政策を変更する用意がある

 他方、ライス米国務長官は「米政府はイランとの接触を復活させる用意がある。それには、イランがウラン濃縮を停止させ、西側と核問題の解決に向けた話し合いを始めることが条件である」と述べた。

 ファールス通信の報道によると、コンドリーザ・ライス米国務長官は、オスロで行われたノルウェーのヨーナス・ガール・ストーレ外相との会談後、記者団を前に「アメリカは〔1980年の対イラン国交断絶以来取り続けてきた〕27年間の政策を変更する用意がある」と述べた。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:10754 )