コラム:米イラン協議開始に向けて
2007年07月24日付 al-Sabah al-Jadid 紙

■ 不在のイラク、バグダード米イラン協議

2007年07月24日付サバーフ・ジャディード紙(イラク)HP社説面

【ハージム・ムビィーディーン】

米イラン協議の前、イラク側の動きは、イラクの治安情勢が今回の協議における最重要事項であることを示すものだった。マーリキー首相は、イラン代表団との会見後、今回の米イラン協議がイラクの安定に向け、良い結果をもたらす事を希望すると述べ、イラン並びに米大使と個別に会見したタラバニ大統領も、まず第一に治安改善、テロ対策においてイラクを支援するよう要請した。特にイランに対しては、イランに近いイラク国内派閥との関係を有効活用するよう呼びかけた。

また大統領は、第二点として政治プログラムに触れ、イラクの民主主義的歩みを妨げる各種の障害について述べ、政治状況を改善し真の国民合意に至るためには、緊急に、全派閥との連絡を密にする必要があり、そのうえで、保留されている問題の解決策を示し、派閥間の協力関係を確かにすべきとの見方を示した。

明らかにイラク政府は、ワシントン・テヘラン間の懸案事項が、イラクの治安問題解決に向けた協議に影響を及ぼすのを恐れていた。イランと地域諸国との28年間にわたる闘争は、イラクにつけを払わせる結果にしかならなかったと述べ、協議が脇道に逸れずイラク問題にのみフォーカスされる事を希望するとしたイラク政府の声明にも、それは表れている。

(5月に行われた)第一次米イラン協議は、イランの核問題及び、イランがイラク国内民兵を武装させ米軍を攻撃させたり、宗派間暴力を煽っているとの米側の確信にも関わらず、それらに触れることなく、長年反目していた両国間の「より原則的」交渉であったと評された。今回アメリカは、イランの行動から、何らポジティブな変化は得られないと既に結論付けている。一方テヘランは、イラク国民の利にかなうよう、その苦難の軽減、治安の強化が実現する事を望むという発言を繰り返している。

しかし結局のところは、イラン側もイラク側も、テヘランの為政者達とコムのアヤトッラー達がイラクの派閥に直接の影響を及ぼしていることを承知している。バグダードでイラクの治安を協議しつつ、イラン代表の目は湾岸を航行する米戦艦を見ているだろう。彼の耳では、対イラン用の米軍事演習が間近というニュースも繰り返されているかもしれない。イランはこれを阻止すべく、あるいは備えるべく、ダマスカス、ベイルート、ガザの盟友に注意を促したところだ。

さて、イラクの努力は、両者の対話を設定し期待を表明するに留まるのか。あるいはイラク政府は、何か他に使えるカードを持っているのだろうか。テーブルの上であれ下であれ、この国と国民の血を取引材料にすることなく合意に達すよう、双方に圧力を行使できるようなカードを?

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( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:11479 )