青少年・少女を狙う逸脱者たちのグループ
2007年07月25日付 Jam-e Jam 紙
逸脱したグループのイメージ(写真:AP)
逸脱したグループのイメージ(写真:AP)

【事件部】学者たちは西暦で言うところの三千年紀を、知の時代と呼んでいる。人間が獲得した知識や道具によって、地理的な距離というものは意味を失った。しかしこのような能力の傍らでは、技術をその掌中に収めた者たちがプロパガンダのための道具を駆使して、つまりさまざまな国に物理的に進出するのではなく、むしろメディアの力を利用して、〔異質な〕文化を〔人びとの心に〕吹き込み、また〔人々の〕嗜好に影響を及ぼそうと躍起になっている。

 例を挙げよう。今日アフリカでは、町の名前よりも商品の名前の方が若者によく知られている、といった現象が生じている。彼らの嗜好にとって、コカコーラやピザの方がなじみ深いというわけだ。どれだけ飢えに苦しんでいても、レイバンのメガネを夢に見ている。そしておそらくは、マクドナルドのチェーン店に行くことも、若者の願望の一つとなっていることだろう。

 今日の世界において、砲声が轟き、国の頭上を戦闘機が飛び回るといったシーンを目にすることは、そうあるものではないだろう。しかし、このような物理的な戦争よりもはるかに破壊的な戦争というものが勃発している。そのような戦争においては、敵は波となって家庭に入り込み、持てるすべてのもの、人類に生を与える諸々の価値や信仰を破滅の淵へと追いやるのだ。

 恐怖の集団

 研究によると、現在1400以上の衛星チャンネルがイランで受信中であるという。若者の嗜好に合致したこれらの衛星放送番組がもつ誘惑に注意を払うならば、逸脱した者たちの集団・グループがキノコのように増殖していることが、一瞬のうちに了解されよう。ラップ、セパルトゥラ〔ブラジルのヘヴィメタル・バンド〕、ウェップ〔?〕、メタリカ、アイアン・メイデン、ラス〔?〕、WASP、ダーク・スコーピオン〔?〕などの、性的に逸脱し、悪魔崇拝に陥ったグループはまず最初に、若者に狙いを定める。こうして知らぬ間にこれらのグループに引き寄せられていった一部の青少年たちは、巨大資本が彼らを標的にしているという事実をほとんど知らない。

 動く看板

 首都テヘラン治安維持軍長官のラーダーン司令官は、一部の青少年のナイーヴさを案じて、次のように本紙記者に語ってくれた。「8年に及ぶ聖なる防衛〔イラン・イラク戦争のこと〕の英雄的な事績において、我が祖国の若者たちは献身的な働きを見せたものである。このことから、イランの若者たちは自らの発展の本質・本源を力に、〔敵の〕略奪的な政策に対する防波堤となることが予定されていた。権力者の下に仕える専門家らが巨額の投資をして、イランの若者たちに狙いを定め、偽りの誘惑によって信仰や伝統を標的にし、低俗さや無知によって若者を囲い込み、そうすることで自らの政策を追求しようとしているのも、このことが理由なのである」。

 テヘラン警察長官ははさらに、次のように言葉を継いでいる。「今日、この国の未来を担うべき青少年たちが社会を規制する慣習に注意を払うことなく、逸脱者集団の動く看板へと成り下がり、ほとんど無秩序・放縦ともいうべき方向へと導かれているさまを目にするのも、このような謀略に対する無関心が原因なのである」。

 同長官によれば、社会的安全向上計画は我が国の子供たちを守ることを、その本質として始められたものであるという。というのも、このような堕落した文化は、家庭に入り込む余地はほとんどなく、社会的な無規律を煽ることしかできないからである。

 倫理的堕落から集団自殺まで

 犯罪学が専門のベフルーズ・ピーリー博士は、逸脱集団との関わりで、次のように述べている。「これらの集団の根っこには、性的関係における放縦・自由がある。西洋では今や、家族という社会の土台が大きく揺らいでいる。不法に生まれた子供たち〔=私生児〕の存在は、西洋諸国の政府関係者を大いに悩ませており、学校の授業として妊娠予防のための教育を行うことが、カリキュラムに組まれているほどだ」。

 同氏はさらに続けて、「それに加え、家庭の動揺の結果、一人親の子供が多くなっている。このような現象は、それ自体社会生活における一つの危機を物語っている」と指摘する。

 犯罪学が専門の同氏はさらに、次のように付言する。「奇妙きてれつな格好をした逸脱集団に引き寄せられることは、〔人生の〕意味とアイデンティティを失っていることを意味するものに他ならない。このような集団に属する者たちの間で起こる集団自殺は、多くの場合、このことが原因となっている。アイデンティティをひどく失った結果、このような集団、特に悪魔崇拝者たちの集団の中には、互いに傷つけ合うといった行動に出るものもある」。

 高い犯罪件数

 テヘラン州刑事裁判所のアリー・デルダーリー検事代表も、このことについて、次のように指摘している。「逸脱集団に引き寄せられるのは、一部の青少年の間で注目を集めているものに対する、根拠薄弱な単なる好奇心によるものだ。調査によると、これらの青少年はある特別な音楽に関心を抱き、ラップやメタリカといったグループに関連するマークや柄の服を身につける。そうすることで、彼らは自分が偉くなったかのような錯覚に陥る。この誇大妄想が、タバコや麻薬、向精神薬へと青少年らを向かわせるのである」。

 デルダーリー検事はさらに、次のように続けている。「司法調書などを調べて分かったのは、犯罪のもたらす影響がこれらの青少年の間で拡大しているということである。これらの〔逸脱した〕青少年は、暫くすると別人のようになってしまい、麻薬やアヘン、向精神薬への中毒が原因で意志の力を完全に失ってしまうのだ」。

 さて、忘れてはならないのは、このような〔ヘビメタ・バンドのマークがついたような〕服装をしたり、類似のワッペン等を付けたりすることは取り締まりの対象となることが、法律に明記されていることだ。

 それゆえ、お子さんをもつご両親には、子供たちにこの手の集団の逸脱行為の実例を示し、この種の問題の隠された現実をしっかりと教えるなどして、きちんとした教育を施すよう十分注意していただきたいものである。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:11492 )