軍事支援の一部停止をめぐりエジプト・米関係が悪化、首脳会談も不調に終わる
2008年01月17日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ 軍事援助問題、政治犯の問題、ガザ地区への密輸用地下通路問題に言及せず
■ ブッシュ大統領の訪問でエジプト・米関係がさらに悪化

2008年01月17日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP

【ロンドン:本紙ハーリド・アル=シャーミー記者】

 昨日のブッシュ大統領のシャルム・シェイフ訪問の失敗を受けて、エジプト・アメリカ関係は険悪化の様相を濃くしつつある。今回の訪問は、エジプト当局がガザ地区との境界線の密輸用地下通路の閉鎖のために十分な努力をしていないとのイスラエルの主張に基づいて先日、米議会がエジプトへの軍事援助の一部停止を決定したことから発生した対立を緩和することが目的であった。

 ブッシュ大統領は昨日、中東歴訪の締めくくりに、その短さにおいて前例のないエジプト訪問を行い、エジプトのホスニー・ムバーラク大統領と会談した。会談は4時間に満たず、エジプトとアメリカおよびイスラエルとの緊張が顕著に現れたかたちになった。

 ブッシュ大統領が歴代米大統領の例によらず、エジプトをアラブ諸国歴訪の最後の訪問先としたことについて、観測筋は「これも二国間の政治的危機の兆候だ」と見ている。

 国王からの勲章や武器取り引き、伝統舞踊の披露でブッシュ大統領を迎えた湾岸諸国とは違い、昨日のエジプトでは大統領を迎えるための式典的な雰囲気はなく、代わりにあらゆる政治勢力が参加しての怒りのデモが行われ、報道によるキャンペーンが張られ、反政府系の新聞社だけでなく、アハラーム紙やグムフーリーヤ紙のような政府系の新聞社とまでがこれに加わった。

 儀礼的で1時間もかからなかった協議の後に開かれた短時間の記者会見においても、エジプトがガザ地区との境界線の地下通路を閉鎖するまで軍事支援のうち1億ドルを一時差し押さえるとの米議会の決定を廃止するため政府が権限を行使するとの発言は一切なかった。

(後略)

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( 翻訳者:桑山沙央里 )
( 記事ID:13042 )