コラム:アイマン・ザワヒリのボイスメッセージ
2008年04月23日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ レバノンに進軍するアル=カーイダ

2008年04月23日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HPコラム面

【本紙】

イスラムサイトで公開されたボイスメッセージ中、アイマン・アル=ザワーヒリー博士は、イラクについて事細かに述べ、イスラム国家たるイラク、十字軍とその代理人たちとの戦闘における基本勢力を支援するよう、激しい調子でムスリム達に要請した。しかし本紙の見解によれば、このメッセージで目を引くのは、レバノンに関し、アル=カーイダが彼の地を対イスラエル戦争の出撃基地とするつもりでプランを立てているという点についてである。

メインセンテンスと見られる部分でザワーヒリー博士は、レバノンをムスリム達の第一の拠り所と形容しており、来る十字軍並びにユダヤ人との戦いにおいて主要な役割を担うだろうと述べている。また、レバノンのジハード世代には、レバノン平和維持軍と称する占領十字軍を追い落としパレスチナへ至る心の準備をせよと説いている。

ザワーヒリー博士のこれらの言葉は真剣に受け取られるべきだ。なぜなら、レバノンにアル=カーイダ支部を開設するに相応しい時機が到来しているからである。国家元首も政府も合憲諸機関も失ったレバノンは、いまや挫折国家である。イラクやアフガニスタンに見るように、挫折国家は過激グループの温床となる。中でもアル=カーイダは、その地に跋扈し、地元で可能な限りの兵員を駆り集める。

レバノンの現状、キリスト教徒並びにスンニー派が多数を占める与党陣営と、やはりキリスト教徒もスンニー派もいるがシーア派が多数の野党もしくは反政府陣営との危険な分裂は、アル=カーイダの活動に寄与する。

アル=カーイダ指導部は、与野党どちらにも幻滅し距離を置こうとしているスンニー派の存在を承知している。彼らの多くは、イスラエル占領に対する抵抗活動の戦列に加わる栄誉を得られなかったパレスチナ人、あるいはアラブ系レバノン人である。彼らは、シーア派のヒズブッラーが行ったようなレバノン領内からイスラエル領内に侵入する軍事作戦などから疎外されてきた。

ザワーヒリー博士がレバノン戦線に重きを置くのは、サウジやクウェイトの政府そして同時に合衆国に近い筋からアル=カーイダに向けられた多数の批判のためである。彼らによれば、アル=カーイダはイラクの内外でアメリカそしてイスラム系の標的に対する作戦を行っているが、イスラエルを標的にする事を避けている。従って、あるクウェイトの評論は、アル=カーイダがイスラエルのモサドのために動いているとまで言っている。

アル=カーイダが対イスラエル作戦を行っていないというのは言いすぎであり、これは、アラブ諸国政府や情報機関が後で糸を引いている反アル=カーイダ・キャンペーンの一種である。アル=カーイダは、ケニアのモンバサでイスラエル人が宿泊するホテルを攻撃し、また、数センチの差で外れたが、イスラエル人観光客を乗せた飛行機をロケットで落とそうとした。

しかし、イスラエルを攻撃しないという批判は、批判者たちの望まない結果をもたらしそうである。つまり、アル=カーイダは素早く組織的に反応し、アラブ公式筋に幻滅している各地のアラブ・イスラム一般大衆の間で人気を博す事となるだろう。

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( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:13646 )