コラム:石油高騰の利益をイラク国民に還元せよ
2008年06月14日付 al-Sabah al-Jadid 紙

■石油価格の高騰で利益を得るのは誰?

2008年06月14日付サバーフ・ジャディード紙(イラク)HP1面

【サーミー・ハサン】

最近、世界の石油価格が一気に11ドル跳ね上がり、1バレル139ドルになった。将来的には150ドルに届くと言われており、今年中に1バレル250ドルに達するという予想すらある。

政治・経済アナリストたちは、イランが核開発計画を停止しなければ攻撃するとのイスラエルの脅しと、世界各地での紛争勃発とが、石油価格上昇の原因だと見ている。それでは一体、この継続的な石油価格上昇によって利益を得るのは誰だろうか? もちろん産油国であろう。わずかであれ、生産量を増加させるとすればばなおさらだ。つまり、石油輸出国のひとつであり、世界で二番目か三番目の石油埋蔵量を持つイラクは今回の価格上昇を活用して、旧体制打倒を目指したアメリカの侵攻によって破壊され、あるいはここ数年の間にテロリストや武装勢力によって破壊されたインフラの再建に充てることができるはずなのだ。

しかし見たところ、アメリカはイラクの石油収入〔の使途〕に課している制約を撤廃せず、それを長期〔治安〕協定に署名を迫るための切り札にしようとしている。イラク人はこれを拒否しており、むしろこの〔治安〕協定のために反目しあう党派同士がしばらくは一致団結して、アメリカ政府の圧力や思惑の下でこの協定が承認されることのないよう、国民戦線を結成し始めているとさえ言える。

この点と石油収入の増加とに鑑みて、我々はこれまで法を制定し治安を安定させてきたイラク政府に対し、飢えと貧困と失業に大いに苦しんできたイラク国民を救済する義務を果たすよう願うものである。それには国家再建計画の遂行と、農業・産業・投資といったあらゆる分野で成長を実現できるような戦略的プロジェクトの立ち上げが必要だ。国内外から資本を集めて集合住宅を建て、荒れてしまった農地の改良計画を策定し、製造業を再び蘇らせて膨大な数の失業者を吸収し、長い間抑圧と貧困に苦しんできた人々のために自由で尊厳ある生活を実現せねばならない。

 もう一度言おう。国中にはびこり、とても黙ってはいられないほど出鱈目な状態にまで暮らしの隅々に浸透している汚職を、どんなに時間がかかろうとも根絶することで、国家の権力と威信とを示す時が来た。「それをどこから手に入れたのか」と問い、盗み取った財産や富を国民に返還させる法律を、再び機能させなければならない。それらを享受するに最もふさわしいのは国民だったはずなのだ。しかし彼らは長きにわたり、貧困と欠乏を抱えて眠りについていた。そして今日、ようやく彼らは目覚め、より良い暮らしへの期待と希望を見出している。その希望の光が差しているのが長いトンネルの果てであろうとも。

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( 翻訳者:梶原夏海 )
( 記事ID:14197 )