ユネスコの世界人権宣言60周年記念式典で、エジプト人視覚障害者の女性オーケストラが演奏
2008年10月10日付 Al-Ahram 紙

■ 世界人権宣言60周年を祝うパリのユネスコ記念式典で、光と希望オーケストラが演奏

2008年10月10日付アル・アハラーム紙(エジプト)HP家庭面

【パリ:ホダー・アル=マフディー】

 世界人権宣言の60周年にあたる今年、ユネスコが催した祭典は特別なものとなった。というのは、エジプト人の女性オーケストラ「光と希望」が選ばれて、式典に参加したからである。このオーケストラは意志と天賦の才をもった視覚障害者女性36人からなる、世界初の視覚障害者女性たちのオーケストラなのだ。

 記者はパリのユネスコ本部で開催されたこの重要なイベントにあたり、オーケストラに同行する機会を与えられた。そして彼女たちが楽譜や指揮棒なしに演奏できるというだけでなく、運営においても優れていることに気づかされた。アーマール・フィクリー副理事長兼国際交流委員長をはじめとする「光と希望」協会理事の女性たちは、グループの能力を引き出すために多大な努力を重ねているのだ。

(中略)

 〔式典で〕壇上に上がったアーマール・フィクリーさんは誇りに満ちた声で簡潔に、オーケストラはサムハト・アル=ホーリー氏の指導の下、1961年に創設されたが、それは「光と希望」協会を創設した故イスティクラール・ラーディー女史からの要請に基づくものであったと説明した。イスティクラール女史は視覚障害を持つエジプト女性へのケアと訓練、教育のための中東で最初の協会設立に尽力した人物である。

またアーマールさんは、視覚障害のある女性たちはエジプト音楽院のアリー・ウスマーン教授とバルキース教授の指導の下、協会付属の音楽学校でブライユ方式の楽譜を学んでいると語った。

このスピーチの後、舞台には沈黙と演奏開始への期待が広がった。コンサートの第一部では、少女たちの黄金の指先から伝統的なオリエント音楽の名作が紡ぎだされ、第二部では世界的なクラシック音楽のいくつかの作品が演奏された。観客の顔には演奏レベルの高さへの驚きが広がり、中にはこの光景に感動して涙を流す姿も見られた。コンサートの終わりには全員が立ち上がって長い拍手を彼女達に送り、シャディヤ・カンナーウィ・ユネスコ大使がアーマール・フィクリーさんに花束を贈呈した。駐フランス・エジプト大使夫人のダリア・カーメルさんも壇上に上がって、意志の力で障害に打ち克てることを証明し、エジプト人の偉大さを見事に知らしめた彼女達に祝福を述べた。

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( 翻訳者:勝畑冬実 )
( 記事ID:14898 )