レバノン北部で爆破事件、シリア大統領は「レバノン北部は過激派の拠点」と発言
2008年09月30日付 Al-Nahar 紙

■ アサド・シリア大統領、レバノン北部は「過激派の拠点」との見解
■ ハリーリー議員、フランスにシリア体制の行為を受け入れることの危険性を警告
■ トリポリで国軍を繰り返し狙う流血の祭日の贈り物
■ 選挙法、政治勢力の枠を超えた立場で採択される

2008年09月30日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

 8月13日に起こった攻撃から46日後の、国軍を狙った昨日のトリポリでの2度目のテロ攻撃は、新たな不安を引き起こしている。その不安は国内の治安という側面に留まらず、国内で徐々に広がりつつある和解の気運が標的にされることへの懸念につながっている。また、今回の爆破にともなって、最近の北部国境地帯におけるシリア軍の活動を北部の情勢と結びつけようとする発言がなされていることに関して、疑問が高まっている。

 この不安を倍加させたのは、シリアのバッシャール・アル=アサド大統領の発言であった。ムルヒム・カラム編集者組合委員長が一昨日、アサド氏との会見の後に報じた発言のなかでアサド氏は、「レバノン北部はシリアへの脅威となる過激派の真の拠点になった」と述べている。アサド氏とレバノンのミシェル・スレイマーン大統領が行った首脳会談以来の短い期間のうちに、アサド氏の同様の発言が報じられるのは3度目のことである。

 アサド大統領のこの発言によって、レバノンとシリアの論争が再燃することになった。レバノンのフアード・アル=セニョーラ首相は昨夜、アサド大統領に反論して「レバノンが攻撃を受けたのと同様に、つい先頃シリアも攻撃を受けている。シリアに脅威を及ぼしているのはレバノンではない。レバノンはシリアにとって良いことしか望んでおらず、治安が確立するよう望んでいる」と述べた。また、先日のシリアでの爆破と昨日のトリポリにおける国軍のバスの爆破について、「シリアとレバノンはこのような攻撃に影響を受けてているが、それはこのような行為が相互に結びついている証拠があるという意味ではない」と強調した。

 しかし、「ムスタクバル潮流」代表のサアド・アル=ハリーリー議員は「(シリア大統領は)レバノン北部地方に対してシリア国内の治安情勢への責任を転嫁している」と激しく非難した。ハリーリー氏は、「アサド氏は北部にテロの嫌疑をかけたが、その言葉はアサド氏本人と、国境を通してレバノン領内への過激派分子の密入国を組織的に行うべくアサド氏の命令によって活動している機関とに、そっくりお返しする」と述べ、シリア軍が今回北部国境地帯に展開していることについて、「レバノンを脅かす一連の行為と切り離せない企てだ」と表現した。また国際社会、「特にフランスの友人たちに対し、レバノン情勢に対するシリア政府の直接的、間接的な介入を認めてしまう危険性」を警告し、アラブ連盟に「レバノンに対する一連の威嚇を止めさせるために責任を果たし、両国国境地帯の状況に関して公式のアラブ連盟調査団を派遣する」よう呼びかけた。

■ トリポリ

 イード・アル=フィトル[ラマダーン月明けの祭日]を前にトリポリが受けた流血の祝福は、爆破テロの方法が変わった点では異なるものの、軍人10人と市民4人が死亡した8月13日の爆破の再来であった。今回は、バフサース地区の道路の右端に駐車してあったルノー製の自動車に爆発物が仕掛けられ、トリポリからベイルートへ向かう途中の兵士25人を乗せたバスが通りかかった際に遠隔操作によって爆破された。爆破によって軍人4人と市民1人の合計5人が死亡し、軍人および市民28人が負傷した。

(中略)

■ 選挙法

 (トリポリでの)新たな爆破事件が政治情勢全般に影を落としたものの、議会は2日目の長時間にわたる集中的な議論を行い、土曜日と月曜日の昼夜に開かれた4回の会合を経て昨夜、新選挙法を可決した。議会が2日目に可決した最も重要な項目は以下のように要約される。

― 選挙費用および選挙公報に関する2条項は、違法行為を犯したメディア機関に対する刑罰についての改正を経て承認された。この改正によって、当該機関に対しては先ず3日間の政治番組放映停止措置がとられ、これに違反した場合には3日間閉鎖されることになる。
― 選挙費用額は候補者1人当たり1億5千万レバノン・ポンドに、内相の提案により決定される選挙区の有権者数に応じた変動額を加算することが決定された。この変動額は、投票の際には有権者1人当たり3000レバノン・ポンドと決定されていたが、議会はこの決定を削除した。
― 投票所前での選挙候補者リストやビラの配布の禁止、選挙10日前以降の世論調査結果の公表の禁止が決定された。
― 選挙区ごとの統一公式投票用紙の採用に言及した第87条については、第3回会合の終わりと第4回会合の初めに広範な議論が展開された。この条項によれば、用紙には選挙区の全候補者の氏名が記載され、氏名の横には候補者の写真と、内務省の決定する要領に基づいた政見と経歴が掲載される。ナビーフ・ビッリー国会議長は委員会を設置し、夜の会合までにこの件の決着をつけるよう委任した。同条項に反対する勢力は、手続きの複雑さに鑑みて2013年の選挙において統一公式投票用紙を採用するよう提案した。ビッリー議長はこの条項を挙手投票にかけたが、過半数の賛成を得るには至らなかった。この条項に関する意見の対立は、多数派勢力と反対派勢力の区別とは一致するものではなかった。「変化と改革」ブロック[※アウン派]が統一公式投票用紙の採用を支持したのに対して、「開発と解放」ブロック[※アマル系]、「抵抗への忠誠」ブロック[※ヒズブッラー系]、「ムスタクバル」ブロックおよび「レバノン軍団」ブロックは反対に回った。同条項は否決され、封印のされた封筒を使用するという従来の条項が引き続き適用されることになった。
― 投票にあたっては、選挙人証、パスポート、または身分証明書を使用することが決定された。
― 国外移住者の投票に関する条項については、次期選挙での実施は見送られ、2013年の選挙で適用されることが決定された。

 ビッリー議長は、作業日程に上っている他の22法案について検討を続けるための審議の期日を10月8日水曜日に決定した。

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( 翻訳者:平川大地 )
( 記事ID:14902 )