シリア国営TV、「ムスタクバル潮流」との繋がりに関する「ファタハ・アル=イスラーム」メンバーの「自白」を報道
2008年11月08日付 Al-Nahar 紙

■ シリア系組織「サーイカ」がバッダーウィー難民キャンプで「ファタハ・アル=イスラーム」メンバー2人を拘束
■ 「シリアからの嫌疑」が閣僚会議の議題に
■ ロシアのプーチン首相がハリーリー氏に:「レバノンはかつての地位を回復すべきだ」

2008年11月08日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

【本紙、中東通信社(MENA)、UPI】

 レバノン国内では昨日、一昨日夜にシリア国営テレビが提起した問題が様々な反響をもたらした。9月27日のダマスカスでの爆破事件にメンバーの関与が疑われている「ファタハ・アル=イスラーム」の資金調達に「ムスタクバル潮流」が関係しているという報道である。この問題は今日午前中にフアード・アル=セニョーラ首相を議長として首相府で行われる定例閣議で取り上げられる。本紙が得た情報では、議事日程になかったこの問題が取り上げられることになったのは、明後日月曜日のズィヤード・バールード内相兼地方行政担当相のダマスカス訪問への影響を考慮してのことだという。閣僚会議は、この件に関してとるべき対応の決定権をもつ行政機関として、適切な立場を表明する予定である。

 最新動向に詳しい政府および政界の関係者は本紙に対し、当然の流れとしては、送検して検証できる事実関係が存在しなければならないが、現時点ではそれは存在しない、と述べた。また、シリア国営テレビが放送した「ファタハ・アル=イスラーム」の逮捕者らのこの所謂「自白」を国際調査委員会に移管し、この件に関する調査と、2005年2月14日のラフィーク・アル=ハリーリー元首相暗殺事件を筆頭にレバノンを揺るがせた一連の犯罪と「ファタハ・アル=イスラーム」との繋がりや周辺事実の特定を同委員会に委任する立場を政府としてとるように主張する者もいる。

 また昨日バールード内相は、ダマスカス訪問の準備のためシリア・レバノン最高評議会のナスリー・フーリー事務局長と協議を行っている。

■ バッダーウィー難民キャンプ

 シリア国営テレビが「ファタハ・アル=イスラーム」について放送したのと同時に、昨日はバッダーウィー・パレスチナ難民キャンプで同組織のメンバー2人が拘束され、国軍情報部へ引き渡された。治安関係者によれば、拘束された2人のうち1人は「アブー・ワーイル」と呼ばれ、トリポリやバフサースで国軍に対する攻撃を行ったテロ細胞のリーダーであるアブドゥルガニー・ジャウハル指名手配犯にも劣らない重要人物であるという。逮捕された2人はレバノンの治安機関による捜査の対象になっていたが、昨日、シリア系のパレスチナ組織「サーイカ」が難民キャンプ内で家宅捜索を行ってこの2人を拘束し、国軍情報部へ引き渡した。この作戦で同組織のメンバー1人が死亡し、エルサレム・モスクの導師であるハムザ・アル=カースィム師が逃走した。ある政府関係者は、指名手配中の2人の逮捕を「重要な進展」と評し、「国軍情報部はこの問題に対して司法当局と全面的な調整の下で活動している」と述べた。

■ 反応

 「ムスタクバル潮流」と組織「ファタハ・アル=イスラーム」の関係についてシリア国営テレビが提起した問題への反応として、モスクワ訪問中の「ムスタクバル・ブロック」代表サアド・アル=ハリーリー議員は、「この件については、それを言い出した側にそっくりお返しする。私はいまロシアにおり、この国に敬意を払っているので反論したくない。しかし私がレバノンへ帰国するときには、この虚偽の嫌疑に対して明確かつ率直な反駁が行われるだろう」と述べた。

 「レバノン軍団」のサミール・ジャアジャア執行部議長は、ビキルキー[※マロン派総大司教座の所在地]を訪ねた後、「なぜ(シリアにいる)被勾留者2人を国際調査委員会に送らないのか?」との問いを発した。

 一方、3月14日勢力の事務局はこの嫌疑について、「国際調査委員会の報告に先手を打って、暗殺事件関与の責任から逃れるためのシリア体制による新たな試みであるのは明らかだ」との見解を述べた。

 ヒズブッラー系の「アル=マナール」TVは、「3月14日勢力は、ファタハ・アル=イスラームの分子の自白を前に動揺している」と伝え、「シリアとレバノン両国の治安は共通の利害であり、この問題については然るべき対応が必要だ。これまで繰り返され、国際調査が始まってもいない時から繰り返されてきた政治的な非難とは切り離す必要がある」と述べた。

(後略)

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( 翻訳者:森本詩子 )
( 記事ID:15323 )