イスラエルがガザ封鎖を強化、食糧不足が深刻化
2008年12月24日付 al-Quds al-Arabi 紙

■パン危機がガザを直撃
■半日分の食糧を得ようと列を成す市民

2008年12月24日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【ガザ: 本紙アシュラフ・アル=ハウル】

 火曜日(23日)、ガザ地区では多くのパン屋が小麦粉不足のため操業を停止した。未だ営業している数少ないパン屋の前には、「パン袋」1つを手に入れようと待つ市民の長い列が見られた。

 パン製造組合のアブドゥンナーセル・アル=アジュラミー組合長が明らかにしたところでは、もともとガザにあった47のパン屋のうち27軒が「小麦粉と調理用ガスを使い切ったため」、廃業 したという。

 また組合長は、小麦粉と調理用ガスとはイスラエルがガザ地区への持ち込みを認めている物資であることに注意を促した上で、ガザの「パン危機」は深刻化しつつあると指摘、「ここの人道的な危機状態は日増しに高まっています。製粉所も閉店しました」と語った。

 あるパン屋の女性専用の列に並んでいた40代の女性、マイサルさんは本紙に対し、「家には1切れのパンも残っていないんです。子どもたちの半日分の食欲を満たすパンを手に入れようとやってきました」と述べた。マイサルさんの家族は9人おり、家に小麦粉はない。例え小麦粉があったとしても、調理用ガスは使い切り、停電も頻繁にあるため、家でパンを作ることはできないという。

 パン屋の扉の前には治安維持のため警察官が配置されている。1家族につき1つの「パン袋」の配布に市民が押し寄せたためだ。ひとつのパン袋は3kg入りで、これでは平均的な人数の家族にとって十分な量とは言えない。ガザの家族は大家族であることで知られており、時には20人を超える人数が1つの家に住んでいることもあるのだ。

 先月初めにイスラエル軍による封鎖が厳しくなって以来、ガザの家庭では「エンジンオイル」の名称で知られる灯油を使ったコンロや、簡素な泥作りの窯を使って調理やパン焼きをしていたのだが、小麦粉を使い切ってしまったため、パン焼きはできなくなった。

 こうしたコンロで調理をしていた女性の1人であるウンム・サイードは、「家に小麦粉は残っていません。夫や子供たちが2日前から市場で小麦粉の袋を買おうと努力していますが、今までのところ見つけられずにいます」と語った。

 アジュラミー組合長は、ガザに残る小麦粉は400トンのみと見られ、これはガザ地区の数時間分の需要を満たす量でしかないと指摘 する。そしてこの小麦粉はすべてガザ地区で営業しているパン屋に割り当てられ、住民に分配されることになっていると明かした。

 一方、国連難民救済事業機関(UNRWA)は先週の木曜日に支援活動の停止を発表した。この支援によって、ガザの75万人のパレスチナ人たちが小麦粉や食糧品を受け取っていたが、在庫が底を尽いたため停止されたのだ。イスラエルはその日以降、UNRWAに次の物資を届けるトラックのガザ入りを阻止している。UNRWAの責任者は閉ざされた食糧配給センターの扉に、「在庫切れのため、食糧支援の配給中止」とのお知らせを掲示した。

 イスラエルは先月5日以来、ガザ地区に出入りする5つの商業用通行所を閉鎖しており、限られた日数を除いて開放を許可していない。さらにガザ地区での脆弱な停戦の期間が終了したと先週の木曜日に〔ハマースが〕正式に宣言した後、ガザに対する封鎖を強化している。イスラエルはこの封鎖によって食糧品や医薬品、燃料などを積んだトラックのガザ入りを妨げており、パレスチナの当局者たちは、ガザの状況は「確実な惨劇」に向かいつつあると明言する。

 「封鎖に反対する人民委員会」の委員長のジャマール・アル=フダリー議員は国連のパン・ギ・ムン事務総長に緊急書簡を送り、業務を停止しているUNRWAの要求を確保するための迅速な介入を求め、「ガザ地区は生活必需品の深刻な不足に苦しみはじめた」と伝えた。また書簡でフダリー議員は、医薬品の不足は「病人の生命に大きな危険を与える」と指摘し、ガザで起きている事態は、「集団懲罰の段階から絶滅、さらには封鎖下のガザ地区に暮らす150万の人々の処刑宣告の段階へと」移行したと強調した。

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( 翻訳者:鈴木啓之 )
( 記事ID:15419 )