レバノン各勢力がガザ攻撃を非難、ヒズブッラー書記長はエジプト政府を非難
2008年12月29日付 Al-Nahar 紙

■ 連帯と治安維持へ準備態勢、ナスルッラー書記長はエジプト体制を非難

2008年12月29日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

 イスラエルのガザに対する血塗られた侵略行為が始まって2日目、レバノン国内では各方面が事態に対応すべく準備の態勢を示した。それは、レバノンが今回の侵略によって最も影響を受けるアラブ国家であり、その余波に対して最も警戒感を抱いている国だということを物語っていると言えよう。

 昨日はエジプト大使館周辺でデモ隊と国内治安部隊の衝突があり、同様の事態が繰り返される可能性が懸念されていたが、本紙の得た情報によると、政府高官その他の関係者の間で集中的な連絡協議が行われ、今回の事態に対するレバノンの対応に関して前向きな環境が醸成されるに到ったという。これによって、国内情勢に悪影響が及ぶ可能性は低くなったと言えそうだ。

 政界では、主義主張を問わずあらゆる政治勢力が[攻撃を非難する]立場を表明し、各地でガザとの連帯を表明する行動やデモが行われ、パレスチナ人およびガザへの連帯の波は最高潮に達した。

 政府当局レベルでは、内閣および議会でパレスチナ人とのレバノンの連帯を様々な面で具体化することを目指す動きが前面に出てきた。またミシェル・スレイマーン大統領はイリヤース・アル=ムッル国防相およびズィヤード・バールード内相と会合を開き、現行の治安対策や、治安維持に向けた国軍および治安部隊の準備態勢の強化について協議を行った。スレイマーン大統領は会合の席上、「パレスチナの一般市民に対して敵国イスラエルが犯した虐殺について、アラブ諸国が一致して実効性のある立場の表明を行う必要がある」と強調した。

 今回の会合は、国内情勢の安定化を課題に行われたものであった。スレイマーン大統領はその後、政界の各勢力や有力者らと一連の連絡協議を行い、ガザ地区情勢に対処するとともにレバノンへの悪影響を阻止すべく調整に務めた。関係者筋によると、こうした一連の協議の結果、レバノンに悪影響が及ぶことはなさそうだという。スレイマーン大統領が先週土曜日に南部を視察したことも、レバノン国内情勢の安定化に寄与し、イスラエルがレバノンを攻撃する口実を全て無効化することに一役買ったという。

■ ナスルッラー書記長の演説

 こうしたなか、ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長はルワイスの「第一の殉教者」センターでアーシューラーの行事初夜にあたっての演説を行い、人々の不安を抑えるよう努めるとともに、イスラエルがレバノンを攻撃する可能性を警告した。

 ナスルッラー氏は、「誰も不安にさせたいとは思わないが、騙すわけには行かない」と述べ、イスラエル軍がレバノン国境地帯において臨戦態勢をとっていることについて、「予防的な措置」であるか、或いは「敵がレバノンに対して何事かを仕出かそうとしている」という2つの可能性があるとの見方を示した。

 また、「レバノン政府も、国軍も、国民も、抵抗運動も、注意と警戒が必要だ。我々の周りで起こっていることを軽視してはならない」と述べるとともに、ヒズブッラーが数日前に南部でロケット弾発射台を設置したとの非難に対して、「我々は自らの行動の責任を負う勇気をもっており、こそこそ隠れたりはしない」と反論しつつ、ロケット弾設置の嫌疑について「疑わしい内容だ」と述べた。また、「南部の抵抗運動の諸君に対しては、持ち場を守り、備えを怠らず警戒するよう要請した。何故なら我々の目の前にいるのは犯罪的で騙し討ちを常とする敵だからだ。我々はあらゆる侵略行為に立ち向かう用意ができている」と述べた。

 またナスルッラー氏はエジプト体制を激しく非難し、エジプト政府高官らに対してラファハ通行所の開放を呼びかけるとともに、「さもなければ諸君は犯罪と殺人と封鎖と、パレスチナ人の悲劇を作り出す共犯者である」と述べた。また、エジプト国民とアラブ・イスラム諸国の人民に対して、街頭に出てエジプト体制にラファハ通行所の開放を求めるよう呼びかけた。

(後略)

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( 翻訳者:森晋太郎 )
( 記事ID:15444 )