アラブ系市民の声を国政に届けるため、イスラエルのアラブ系諸政党は団結を
2009年02月10日付 Al-Ahram 紙

■アラブ系政党…現段階でのスローガンは「分裂」

2009年02月10日付アル・アハラーム紙(エジプト)HP国際問題面

【本紙:ムハンマド・フアード】

イスラエル国会[クネセット]におけるアラブ系諸政党と、同国選挙におけるアラブ票 は、常に論争の的になってきた。多くの人が、アラブ票は幻想にすぎないイスラエルの民主主義というイメージを見せつけるための幻想の覆いであるとみなしており、国内のアラブ系住民 に立候補や投票の権利を認めることは、彼らの平等を主張するイスラエルのためになっている と考えている。イスラエルはアラブ系に選挙権を認めてはいるが、それと同時に、尊厳ある生にとって最低限求められるものを彼らから奪っている。投票の権利を与えはするが、彼らに対しあらゆる種類の人種差別を行っているのである。〔訳注:イスラエル国民のおよそ2割が、建国以前からパレスチナの地に居住していたアラブ人/パレスチナ人とその子孫であり、ユダヤ系市民との格差や差別的待遇に苦しんでいる。〕

辛い真実であるが、イスラエル国会におけるアラブ系議員は、これまで常に見せかけだけの存在 にすぎず、イスラエル国会でのパワーゲームに参与することができなかった。アラブ系議員には政府を倒す力はまるでなく、政府の一員でも野党の一員でもない彼らには、政治的な力などないのだということを、国会内での彼らの立場が示している。さらに辛い事実をいえば、アラブ系議員は彼らを選んだアラブ系住民たちに奉仕することもできない。彼らの立場は、イスラエルが民主主義国家であるとのイメージを見せつけるのを補完する、看板 にすぎないからだ。アラブ系議員はこうした従来のあり方のうちに留まり、長い間その運命に屈服して、イスラエルの政治体制によって押し込められた型への抵抗を試みないでいる。

しかし、事態はこれに留まらず、今月10日に予定されているイスラエル国会選挙に参加する意義をめぐって、アラブ系の政治勢力や政党間に激しい分裂状態が生じている。ラーイド・サラーフ師率いるイスラーム運動は、「選挙はイスラエルのうわべを糊塗し、民主主義国家であるように見せかける手口である」として、同選挙への参加を拒否している。一方、そのほかのアラブ系政党は、極右政党が国会の重要な議席を支配する道を断つために、この選挙への参加は極めて重要であると指摘する。国会選挙に参加しようとするアラブ系の諸政党は、「議会活動はパレスチナ闘争の形の1つ」と考えているのだ。〔訳注:すでに終了した選挙でアラブ系諸政党は1議席増やし、120議席中11議席を獲得した。〕

このような状況の中、アラブ系政党は勢力を統一させ、あるいは少なくとも連立し、〔アラブ系住民の〕数的な規模にふさわしい議席を得ること が求められる。もしも人口の15パーセントを占めるイスラエル領内のパレスチナ人マイノリティーが団結することができたなら、国会で18議席を得ることができるかもしれないということを意味する。これはイスラエル労働党の勢力に匹敵する。そうなれば、アラブ系政党はイスラエルの決定に影響を与える重みを持つことになり、どの政党もアラブ系議員を考慮に入れることなしに組閣することができなくなる。彼らはあらゆるイスラエルの政治的決定に影響を与える可能性を持つようになるのだ。

実際、国会の半数を超えない弱い政府を率いた90年代はじめのイツハク・ラビン首相の時代、同首相は当時始まった和平プロセスに関する決定を通すのに、たった5人しかいなかったアラブ議員を頼みの綱 とした。そしてアラブ系議員の投票のおかげで、ヨルダン川西岸地区とガザ地区からの撤退に関わる決定が可決された。アラブ票無くして、ラビン首相は和平プロセスの開始と継続を行えなかったのである。

(後略)

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( 翻訳者:平川大地 )
( 記事ID:15832 )